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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第一章:四十代から入れるダンジョン

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12:たまには外食もする。

ダンジョンで潮干狩りを

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 また一時間が経過した。処理したスライムの数は八十六匹。ドロップはスライムゼリーが二十八個、魔結晶が十二個得られたようだ。


 スライムゼリーのドロップ率は三十%、魔結晶が十四%ぐらいだな。

 仮に千匹のスライムを倒すことができたなら、スライムゼリーが三百個、魔結晶が百四十個手に入ることになり、千匹当たりの収入は二万三千円になる。


 小西ダンジョンは二十四時間営業ではないのでおそらく一日で達成することは難しいだろうが、一つの指標として扱うなら十分な収入を確保できるラインだと考えられる。


 俺はここで一旦入口に戻ることにした。持ち物が増えてきたのも理由だが、まとめて素材を持ってこないでくれと査定カウンターで言われたことを思い出したからだ。


 出口まで行って査定に出して現金を受け取り、またここに戻るのは時間的ロスが多いが、日の光を浴びながら飯を食いたい気分だった。


  ◇◆◇◆◇◆◇


 出口で退出確認をすると「あ、今日はお早いお帰りですね」と声をかけられた。

 午後からもう一回来ますよーと返答し、探索者証を一旦返してもらった。


「すいません査定お願いしまーす」

「はーい、今伺いま……ってスライムのおじさんじゃないですか」

「スライムのおじさん……」


 あれか、コンビニでいつも頼むものが同じだから「ファ〇チキの人」みたいな感覚で覚えられてしまったのか。気楽でいいが少し恥ずかしいな。


「今日もスライムの素材ですかー?」

「えぇ、とりあえず午前中の分だけ持ってきました」

「午前中の分……ということはこの後またダンジョン潜られるんですねー勤勉ですねー」

「そういうわけではないんですが、今日は無理をしないと決めていたので」

「そうですかー、ちょっとお待ちくださいねー」


 査定は十分ほどで終わった。査定金額の書かれたレシートを支払いカウンターへもっていく。

 午前の収入三千九百十五円なり。


「あら、スライムのおじさま。今日はお早いお帰りで?」

「同じことをあっちでも聞かれたんですが、とりあえずここまでの分という事で持ってきました」

「じゃあこの後また行かれるんですね。頑張りますねぇ」

「半分趣味でやってる事なので苦痛に感じることはないですね」

「お昼なら、ちょっと歩きますが道路まで出るとおいしい中華屋がありますよ」

「中華ですか、良いですね行ってみることにします」

「お気をつけて~」


 もうすっかりスライムおじさんになってしまったようだ。いずれスライム以外を狩るようになったら何と呼ばれるんだろう。やっぱりスライムおじさんのままなのかな?


 探索者ギルドから徒歩十分ほどのところにその中華屋はあった。

 昭和を感じさせる暖簾がまたいい味を出している。

 入ってみると地元の人なのか、楽しそうに店主とみられる爺さんと会話しながらチャーハンを食っている。


「すいません一人ですけどいいですか?」

「おー、いらっしゃい。その恰好は探索者かい?」

「はい、そうです。ここがお薦めとギルドのほうで教えてもらって」

「おぅ、今日の日替わりは鶏のから揚げ定食だ。それ以外でもいいがササっと食って探索に戻るならこれが一番早いがどうするね?」

「それでお願いします」

「おぅ、ちょっとまっててくれ。ササっと作るからな」


 水とおしぼりを出されておしぼりで顔と首筋をくまなく拭くと、よく冷えた水を飲んだ。

 どうやら結構水分を欲していたようで、一息で飲み干してしまった。


「兄ちゃん探索者ってことは、素材をいろいろ手に入れたりするんだよな?」

「えぇ、まぁ、それなりに」


 スライムしか狩ったことないとはちょっと言いづらかったので適当に濁した。


「今度肉を落とすようなモンスター狩ったら、肉はぜひこっちへもってきてくれ。俺は買い取りもやってんだ」

「覚えておきます」


 一番近い階層だとグレイウルフの肉になるのかな。いくらで買い取ってくれるかも気になるが、味も気になる。手に入れる機会があったら爺さんに頼んで一品作ってもらおうかな。


「あいよ、鶏のから揚げ定食だ。いっぱい食ってくれ」


 しばらくして料理が運ばれてきた。鶏のから揚げは鶏半分ぐらいの量がある。確かにボリューミーだ。

 早速唐揚げからいただくとしよう。


 鶏のから揚げはサクサクカリカリで中からはジワリと油があふれてくる。ショウガとニンニクの風味がさらに食欲を誘う。付け合わせのキャベツの千切りで胃もたれを防ぎつつ、主食であるチャーハンを掻き込む。チャーハンは程よくパラパラで油分が多すぎず多少辛めの味付けだったが、これもまたうまい。

 箸を休めるためにとき卵のスープを飲む。


 むふーっ。


 結果的に言うと少し多すぎた。でも食事を残すのは俺の矜持が許さないので、最後のほうは無理やり詰め込んだ感がある。


「どうだったい兄ちゃん、美味かったろ?」

「あぁ、確かに美味かったよ。でも今度来るときはもう少し少なめにしてくれると嬉しいな」

「はっはっは、覚えとくよ」


 これで八百五十円はお得だと上機嫌で俺は店を後にした。

 さぁ、午後も頑張りますか!

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
鳥の唐揚げ定食って、主食がチャーハンだったんだ…知らなかった。 肉を持って来てくれ…鳥の唐揚げ定食の鳥が鶏とは言っていない…鳥系の謎肉? ツナギと万能熊手は、探索者の常備服? スライムを惨殺するのが趣…
肉の買取はギルド通さなくていいのかな? 食事前店主に敬語なのに食事後急にタメ口になるの違和感を感じる
熊手とツナギ装備の主人公を見て探索者か?と問うのはおかしいのではないか。
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