2度目。ーー偽りの平和と帰国後の難題・3
いつもお読み頂いている皆様、ありがとうございます。
皆様への感謝を込めて、明日より土日祝日のみ1日2ページ(2話というべきですかね)更新をしていこうと思います。……完結まで程遠いので皆様の貴重な時間を割いて頂いていますので、せめてそれくらいしか出来ませんが、感謝になれば良いと思います。
今後ともよろしくお願いします。
さて。サロンに出向けば、お姉様は見当たらずお父様は怒りの表情。お母様は曖昧な困ったような笑み。お兄様は笑顔なのに怒っているのが丸分かり。ある意味怖い。そしてロイスだけがにっこりと笑っている。
このロイスの笑顔だけが癒しだわ。
自然とロイスの隣に腰掛けてお茶をもらいました。口を開いたのはお父様です。
「帰って早々、キャスが済まなかったな」
「お姉様は?」
「ケイトが部屋に行った途端、気分が悪くなった。と母上に甘えて部屋に戻ったよ。母上もさすがにキャスを甘やかすのは違うと思ったようで、侍女にキャスを託したら不貞腐れていたけれどね」
私の質問にはお兄様が答えてくれる。
「そうですか。……改めまして。ケイトリン・セイスルート。隣国より長期休暇のため帰国致しました。学園が始まるまで満喫させて下さいませ、お父様」
「良かろう。後程報告を聞こう」
お父様は私の落ち着いた挨拶に機嫌を直して鷹揚に頷いた。
「ところでお母様にお伺いしたいのですが」
私がお母様に視線を向ければ、お母様が私の視線をそっと受け止める。
「質問の内容はご理解頂いていらっしゃるようですが、尋ねますわ。……お姉様は何故あれほどまでに私に突っかかるのでしょう? あれは、敵意では?」
私の誤魔化しは一切効かない、という決意を声に乗せればお母様が嘆息した。
「そうね。敵意というより……嫉妬なのよ」
お母様が自分の手元にあるティーカップを弄びながら、言葉を落とした。
嫉妬、ね。
「ケイトも知っている通りキャスは身体が弱かった」
「はい」
「キャスはケイトが羨ましかったのよ。ルベイオとロイスは男の子だから未だ諦められた。性別が違う、と。でもケイトのことは……。同じ女の子なのにどうしてこんなにも差があるのか。それに苛立って。自分は身体が弱いのにケイトは丈夫な事が羨ましいのと同じくらい許せなかったの」
……何それ。ただの八つ当たりだよね?
「それで特に私に突っかかる、と」
「キャスの気持ちは分かるわ。でも、そういう事を咎めるのは母である私の務めだった。それをキャス可愛さに放棄して、結局あの子を甘やかすだけだったわね」
そうだね。本当にその通りですよ。お姉様を甘やかした結果が今、ですね。私は「成る程」と大きくため息を吐き出すしか出来なかった。
「お兄様。学園でのお姉様は何とかなっていますの?」
「まぁ入学当初よりは。バートンに嫌われるぞ、と言えばだいぶマシになったかな。バートンは学園でも優秀さを発揮してキャスという婚約者がいても令嬢から声がかかるからな」
ああ、お姉様は婚約者のバートンが好きですからね。前回の時はあまりの我儘ぶりにバートンが婚約破棄を申し渡していましたが。今回は今のところ、大丈夫でしょう。多分。
「取り敢えず被害が私個人に留まるなら、諦めます。学園でも問題児扱いではお姉様が可哀想ですものね」
精神年齢は既に大人ですからね。私が我慢すれば良いことです。まぁ、お姉様の件はどうにもならない事は分かりましたから、ご自分で乗り越えて頂くしかないようですね。……放置ですね、放置。私がどうにかせねば、と動く事では無いですから。
お姉様に対する方針は決まりました。さて次は。お父様への報告、でしょうかね。
お読み頂きまして、ありがとうございました。
明日から別視点を執筆します。




