2度目。ーー自称・ヒロインさんは私とは関係ない主人公?・1
「頭のおかしな令嬢ですが」
……クルス。もう取り繕う気もないのね。はっきり言ってしまってるわ……
「どのような事を仰っているの?」
「先ずは年齢は13歳ですね。プラチナの髪をしたそれなりに目を惹く容姿ではあります。可愛いと言われるような。お嬢様の方が美しいですけど」
「お世辞は要らないから必要な事だけ話しなさい」
あなた、どんな贔屓目ですか。
「お世辞では無いのですが。……その令嬢は我が国の子爵家の令嬢で第二王子殿下とは乳兄弟だ、と」
「ちょっと待って⁉︎」
それってロズベル様の事では有りませんこと⁉︎ クルスが私を訝しむように見てきますが、私はそれどころじゃ有りません。
「お嬢様?」
「第二王子殿下ってヴィジェスト殿下という事ですわよね?」
「左様でございます」
「乳兄弟って。ヴィジェスト殿下は私より2歳下。対してその令嬢は私の2歳上では有りませんか?」
「左様でございます」
えっ? どういうこと? 何故ロズベル様がヴィジェスト殿下より4歳上なんです⁉︎ しかも何故隣国の学園に入っているんですか⁉︎
「多少年齢差があっても乳兄弟とは言える……わね、そういえば」
「ああ、お嬢様は年齢差に驚いておられましたか。左様でございます。年齢差は関係ない事ですからね」
「いえ。年齢差だけでは無いわ。何故我が国の子爵家の令嬢が隣国の学園に入学しているのかも分からないし、そもそも子爵家の令嬢が第二とはいえ殿下の乳兄弟という事も経緯が不明だわ」
クルスが深く頷く。私の疑問は尤もだという事でしょう。
「お嬢様の先の質問は不明ながら後の質問にはお答え出来ます。その頭のおかしな令嬢が第二王子殿下の乳兄弟なのは間違いないのです」
「妄想ではなく?」
私もつい辛辣な事を聞いています。
「はい。王家に居る我等の同胞が調べています」
「つまりヴィジェスト殿下には子爵家の者が乳兄弟としている。乳母は子爵夫人だ、と?」
「左様でございます」
「とはいえ、その影が実際に隣国へ行ってご令嬢を確認しているわけではないから騙りの可能性もあるわね」
私が信じられない、と首を振りつつ指摘すればクルスもその辺は考えていたのかアッサリと頷いた。
「後程顔の確認をします。入れ替わり等の可能性も考えておりましたので」
まぁ普通は考えるわよね。我が国の子爵令嬢が隣国の学園に入学しているんだもの。それにしてもこの話から察するに、どうしてもロズベル様としか考えられないのですが。
「その令嬢、名前は?」
「ロズベルとか言っていましたね」
名前を問えばあっさりと答えが出た。……ロズベル様。えっ? 本当に? 一体どういう事ですか? 混乱を抑えつつ私はクルスに先を促す事にしました。




