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続・番外編・1

お久しぶりです。


アイリスIF大賞に応募してみました。

なので、完結設定から連載中に戻してリクエストに対応してます。

ふと、私はデボラを見て思った。デボラって侍女だけど。侍女服って……所謂メイド服じゃないんだよねぇ。ちなみに王城の侍女もメイドも日本のメイドカフェで見慣れたメイド服では、無い。多分、タータントの国の侍女やメイドは皆、あのメイド服じゃない。白いエプロン? レース付き? 何それ美味しいの? ってレベルで、そんな服じゃない。じゃあどんなの? と聞かれたら、喉元まで詰められた長袖ワンピースだと思って欲しい。色? 紺。紺一色。つか、この世界、乙女ゲームの世界じゃなかったっけ? えっ? 萌え萌えキュンのレースエプロンは? そんでもってミニスカは?


という事に、やっと気付いた(遅い)私。


「デボラ」


「はい」


「デスタニアさんとこ行く」


「はぁ。ええと……ドミトラル様でなくて、ですか?」


「うん。デスタニアさんの方がいいから」


「かしこまりました」


そんなわけで、デボラ率いてデスタニアさんのとこ行って早速現状を訴えます。


「あー……それねぇ……。ぶっちゃけた話、舞台がさぁ、学園だったのよ」


デスタニアさんの中に居るドミーの前世の先輩は、女装に女性言葉が良く似合うので、喉仏を隠した裏声だと背の高い女性にしか見えないわけだけど、今は女装で女性言葉なのに仕草は寧ろオッサンっぽい。どうやらあの頃の事を思い返している様子。


「それは聞いてますけど」


「うん、だからさぁ。要するに侍女の服とかどうでもいい部類だから、この世界仕様なんだよね」


なんですと⁉︎ つまり、元々こういう服ってことぉーっ!


衝撃の事実だけど。それなら仕方ない、と諦めるわけにはいかない。デボラはウチの影だけど。ハニトラ仕掛けられる程の顔立ちだよ? 日本人の姿のメイド服は可愛らしさいっぱいだけど、ウチのデボラがメイド服着てみな? セクシーなメイドさんだから。


「じゃあ作りましょう」


「あ、やっぱり作る?」


「デボラに着せます」


「うん、そうだろうなって解ってた」


私が言えばデスタニアさんは阿吽の呼吸で納得してくれる。話の早い人は助かるね。


で。

まぁどうせなら、ということでデザインの画力が残念な私なので、デスタニアさんに描いてもらいながら、ザ・メイド服! をデザインしてもらい。デスタニアさんが懇意にしているデザイナーさんの所へ急襲し、お願いして来ました。

普通はね、デザイナーさんにだってプライドは有るから、自分のデザインでもない衣装なんて作りたくないって人が多いんだけど。デスタニアさんのドレスを手掛けているだけあって、斬新なアイディアの服もバッチコイ! らしいのです。いやぁ……何処の世界にも自由な発想の人って居るもんだね。


デザイナーの威信にかけて!


とかって意気込んでいたから、きっと私が望むメイド服が完成するはず。それを着たデボラにお茶を淹れてもらったなら、絶対、日本のメイドカフェの雰囲気が味わえる、はず!


今から完成が楽しみです。


そんな私はデスタニアさんが懇意のデザイナーさんにコソコソと何かを頼んでいる事に気付きませんでした。だから。メイド服完成の知らせを受けて意気揚々とデザイナーさんの店を訪れた私は、あんな事になるなんて、全然これっぽっちも予想していなかったのです。




連絡を貰い、待ちに待ったその日。得意満面の笑みを見た私は、デザイナーさんが全力を尽くした事を悟る。きっと良い出来に違いないわ! デボラのメイド服! 想像だけで滾る! あああ! 早く見たーい! メイド服のデボラに淹れてもらったお茶が飲みたーい!


色はレトロな黒ワンピに白いレースのエプロン。とは言っても裾と肩に付けるだけのシンプルさ。胸元だの脇だのに要らない。デボラの元々持つ素材を邪魔するだけだもの! エプロンに付けるポケットは2つではなく、左側に1つなのがポイントよっ! これは私の拘り。意味は無いけど1つなのは譲れなかったのよ! そう。この日のためにデボラの髪の毛は所謂お団子ヘアーにしてもらってあるの。私の中の由緒正しきメイドさん姿よっ。


……の、はずなのに。

何故か得意満面の笑みを浮かべたデザイナーさんとその助手の方達に、デボラだけでなく私までも拉致られた。……なんで?

そして、フィッティングルーム(だと思うけども、あちこちにデザイン画が散乱し、裁断前の布地が有るから……違うかもしれない)の仕切りの向こうでデボラが「自分で脱げます! 着られます!」 と叫ぶのを聞きながら、私もデボラと同じ攻防を繰り広げていた。


「自分で脱げるし、着られるからぁ!」


いや、というより、なんで、私まで、脱がされ着せられているのっ⁉︎ 着るのはデボラだけのはずなんだけどー?

そんな私の混乱が隙を招んだ。あっという間にワンピースを脱がされ、さっとメイド服を着せられた。……メイド服、着ちゃったわ。いや、なんで? なんで私が着せられているの⁉︎


更なる混乱の間に、何か頭にセットされる。えっ、ちょっと⁉︎ 何を頭に付けたの⁉︎


という私の混乱を他所に着替え終わった私とデボラは、互いのメイド服を見る間もなくフィッティングルーム(多分?)から出された。


「け、け、ケイティ⁉︎」


途端にドミトラル様が目の前に立っていた。えっ。なんで此処に⁉︎ その直ぐ後ろにはデスタニアさん。あー、デスタニアさんに呼ばれたんですね、それは良いけども。


「あ、あの、ドミトラル、さま?」


私を見た途端に目が釘付け……どころか、やけにギラギラした目になっているんですけど、なんなの⁉︎ 怖いんだけど!


「ケイティっ」


「は、はいっ」


「かーわーいーいー。うわぁ。悪役令嬢の猫耳萌えるぅぅううう」


ハイ⁉︎ 悪役令嬢の猫耳⁉︎ えっ、何、どういうこと⁉︎ 悪役令嬢って、え、ええと、私でしたっけ? えっ? 私の猫耳⁉︎


「兄さん、ナイスぅ〜」


「そう言うと思ったよ」


「白いモコモコケモミミ! ああっ! これに尻尾が無いのが残念だけど、可愛い! くぅううう。俺、獣人とか興味無かったけど、ケイティなら有りかもぉおおお!」


えっ、ちょっと、ドミトラル様⁉︎ なんか、キャラ崩壊⁉︎ ケモミミ⁉︎ 獣人⁉︎ 何のことですかっ⁉︎


「新たな扉が開きそうっ!」


えっ、ドミトラル様、その扉、なんだか怖いので、即閉じて下さい! 開かないでっ!


「ケイティ可愛いケイティ可愛いケイティ可愛いっ」


「ドミトラル様が壊れた……」


さすがに愛しい人とはいえ、ちょっと引きます。


「そんなドン引きケイティも猫耳メイド服ケイティならば、受け入れる! よし! この猫耳メイドは、俺がもらう! ケイティはこのまま俺の家においで? いっぱい愛でてあげるからっ!」


は? 何っ? えっ? 猫耳メイド? 誰が? 私?


絶賛混乱中の私にデスタニアさんが、ドヤ顔で全身の映る姿見鏡を見せて下さいました。私の理想のメイド服を着た私……の頭には猫耳カチューシャ的な……って


「えええええっ⁉︎ 私、猫耳メイドぉおおおっ!!!」


思わず絶叫しても仕方ないと思います。まさかの悪役顔の私に猫耳付きのメイド服なんて似合うわけ、無いですよっ! ん? ちょっと待って?

もしやドミトラル様、こんな私の格好を見て理性を飛ばしてます⁉︎


その私の心の声が聞こえたかのように、ギュウギュウに抱きしめて来るドミトラル様は、そのまま私の身体を抱き上げましてお姫様抱っこで、この店から出ようとしています。


「ああ、こんな可愛いケイティをお持ち帰り出来るなんてっ。ケイティ可愛い。ケモミミ、他のも似合うかなっ。俺が飼ってあげるからねー」


ニコニコ爽やかな笑みを浮かべつつ、ドミトラル様が私のおでこや頬や鼻先にキスをして来ます。甘い、甘い、甘すぎますわぁっ。私、どうなっちゃうのー!

お読み頂きまして、ありがとうございました。

リクエストが有る方は活動報告コメントにお寄せ下さいませ。


尚、この後のケイトリンは、同じく猫耳付きメイド服のデボラが助け出します。

お嬢様ラブのデボラですから、たとえケイトリンと相思相愛のドミトラルであっても、お嬢様に不埒な真似をする奴は許しません。さっさとお嬢様奪還です。

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