表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
394/400

2度目。ーー知らないフリが唯一出来ること。・1

クルスが伯父様と話をしてから、と私を先に帰らせた事に違和感を覚えた。デボラ・アレジ・ガリアが居るからとは言え、私に態々伯父様と話をしてからなんて言わない。必要で有れば、私と帰ってから自分で再び来るはず。私は皆を自由にしているけれど、クルスは1度目の私の人生の事を聞いてから、極力私から離れない。


今回のように離れる必要が有って離れても、私の元に戻って来たなら私の安全が確定出来るまで離れない。

そのクルスが、私を先に帰らせるなんておかしい。

クルス自身はその事に気付いていないだろう。だって無意識だから。つまり、それだけ伯父様に何か有る。それもおそらく私に聞かせたくない類の何か、が。


帰ったら尋ねてはみるけれど。

話さないのなら、十中八九、私は知ってはならないこと。

そこまでは予測出来るけれど。

伯父様に関わる事なのに、私には話すことが出来ない、聞かせたくない、私に知られたくない話って……何?


そういえば……ロズベルさんとお話をした時。ロズベルさんの監視役の人が一緒だったわね。色々有ったし、前世日本人の記憶プラス1度目の人生の記憶に今回の人生の濃い記憶で、些末な事は忘れがちだったけれど。あの監視役の人は、このシオン帝国の人。当然、中枢部に報告……報告? 報告された?


私が誰かに仕えていたら、報告は当然だわ。義務だけど仕事でも有るわけだし。

ロズベルさんと私の話に口を挟んで来なかったからすっかり忘れていたけれど、前世の記憶に魔法も使えない私やロズベルさんが逆行転生していたなら……それは、魔術師大国でも有るこのシオン帝国の中枢部にとって、面白い状況では無いかしら?


いえ、確実に面白いわね。

例えば、人の心を優先せずに、自分の興味を追求する事が最優先な人なら……?

それが魔法の追求だけでなく、不思議な現象に対して、とか含めてみたら……?

私達の話を聞いて、興味を引くはず。私達のことなど慮る事が無いとしたならば……


もしかして。

ロズベルさん母娘とジュストが帰国した時に有った襲撃事件。あれ、偶然とかじゃなくて。本当はロズベルさんを狙っていた……?

それって私も対象になるわよね?


ここまで考えて、嫌でも理解する。


きっと私が帝国の中枢部に囚われていないのは、伯父様が押さえ付けていてくれるから。でも伯父様は、元はセイスルート家の人とはいえ、今はシオン帝国の魔術師団の長。中枢部の命には逆らえないはず。中枢部が、もしも私を欲しがっていたなら? 伯父様が私の事を私が思う以上に大切にしてくれているとしたら?


私の安全と引き換えに、伯父様に何らかの不自由さを強いた、とか? 伯父様に無理を強いている? それにクルスが気付いた?


もし、そうだとしたなら。

クルスは私に話を聞かせたくない、と考えるのも納得がいく。

だって、私が帝国による支配から逃れるために伯父様を犠牲にする事など喜ばない事をクルスは理解している。

多分だけど。帝国は私をこの国に留まらせておきたいはず。でもそれは私の安全とか自由とかを奪うのと同義だと思う。伯父様はそれを断っていたとしたら。伯父様は私を守るために、益々ご自分の不自由さを受け入れるのではないかしら。


それを知った私は……まぁ間違いなく帝国中枢部に乗り込んでいく未来しか見えないわ。だからクルスは、私に聞かれたくないのかもしれない。多分伯父様も私がそういう性格だって理解している。だから伯父様も私には聞かせたくなくて、私が先に帰る事に何も言わなかったのかもしれない。


これって……私、とんだじゃじゃ馬扱いをされているって認識で良いのかしら?

お読み頂きまして、ありがとうございました。

次話は最終話です。今夜7時投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ