2度目。ーーやらかしてくれた配下の始末は主人の務め。・1
クルスが伯父様の手足となって動くために私の側を離れてから既に5日は経っていた。ちょっと寂しい……なんて感情が沸かない程に、今の私は怒りまくってます。ねぇ、アレジ、ガリア、デボラ。あなた達、私の命を聞いてたかしら⁉︎ このやらかしの後始末を私がやるわけ⁉︎
「はーい、これがどういうことか、説明してくれるよねぇ」
笑顔で尋ねてあげているのに、ガリアとアレジが顔を痙攣らせて怯えまくり、デボラは私の視線から顔を逸らしてる。でも、私の大好きなお菓子を並べて来る辺り、怒りは解っているらしい。その賄賂は有難く受け取ってあげるけど、これで許されるとは思っていないよね⁉︎
「お、お嬢、落ち着いて!」
「アレジ。私は落ち着いているわよ」
「怒ってるじゃん」
「んんん? ガリア、何か言ったかしら?」
「いえ、何も」
「説明、してくれるよね?」
「お嬢が潰すなって言ったから潰してないじゃん」
「ガリア、あなた達は限度ってものを知らないのかな?」
私の怒りを理解しているのか、アレジとガリアは目を逸らす。デボラも今は無言。
そうなのだ。
この3人、きっちりやらかしてくれた。あれほど、中枢部と事を構えるのは面倒くさいから潰すなって言ったのに!
「私、中枢部と事を構えるのは面倒くさいって言ったよね⁉︎」
「だから潰してない」
「アレジ。騎士団と文官の監察部が表向き存続しているから、潰してない。って子どもの言い訳かっ! 壊滅してないから潰してないって言い訳が通るわけないでしょ⁉︎ 半壊なら許されるわけないでしょーっ」
私の叫び声に、この場にいたアリシャが何とも言えない表情を浮かべる。アリシャには、サヴィの監視についてを説明していたところだ。アリシャも当然気付いていたけれど、私から話を聞いて納得してくれていた矢先のこと。ついでにちょっと色々あって(色々は詳しく話さなかったけど)帝国の文官の下っ端さん達が私をお花畑令嬢だって思っているらしいって事も話しておいた。何でそう思われているのかって指摘は、笑みを浮かべて交わしたのだが……。
「ケイトリンがお花畑令嬢だったら、世の中の令嬢は大抵お花畑よ」
ってアリシャの言葉に、彼女が私に対してどう思っているのか、その片鱗を垣間見た気がした。それはともかく。そんな話をしながら上学園の課題をこなし終えた所で「ただいま」って満面の笑みを浮かべてアレジとガリアとデボラが帰って来たのを見て、なんだか嫌な予感がした私が、彼らを問い詰めた。
そして冒頭に戻る。
「ケイトリン、落ち着いて」
「落ち着いているわ、アリシャ」
「そんな怒りまくった笑顔を浮かべていたら落ち着いているとは思えないから! 取り敢えず、起きたものは仕方がないわ。そこまでの流れを説明してもらって、中枢部と折り合いを付けるしか無いじゃない?」
「その折り合いを私が付けるんだけど?」
「うーん。それなんだけど。まぁデボラ達の話を聞いてから、だけどね。シオン帝国の中枢部対ケイトリンじゃなくて。我が国を巻き込んではいけないかしら?」
「は?」
私は新たな爆弾をアリシャから投げ込まれました。えっ。この爆弾処理を私がやるの⁉︎
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