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ケイトリンのほのぼのになったはずの1日

お待たせしました。リクエスト話。

今回は、かなりお付き合いの深い、綺麗な文章表現の同じモノカキである腹黒兎様のキャラクター、アルフレッドとマグノリアを借りてまいりました。(許可もらってます)

僕の婚約者シリーズで活躍する主役の2人ですが、夏月個人はアルがおまけ(失礼)で主役はリアちゃんです(リアちゃん可愛い)

後、夏月の他作品からターナという子を連れて来ました。

出だしだけほのぼのじゃないですが(笑)後はほのぼのです。

「ここ、どこ?」


「ええっと……此処はセイスルート辺境伯領ですが、お嬢さんはどなたですか?」


現在、私、ケイトリンは見たことのない美しいお嬢さんを視界に入れてます。……いや、なんかね、落っこちてきたように見えたから怪我をしていないか心配なんだよね。ただ、それ以前に。


此処、セイスルート辺境伯領の主要の道で切り開かれていて周囲には背の高い樹木なんて無いので。一体何処から落っこちてきたんだ? って話になるんだけど。


「ぁあああああ」


「え」


また上から(さっきこの目の前で呆然としているお嬢さんが落っこちてきた時も上から声がした)声がして、私はつい上を見てしまう。……やはり空から落ちて来たようにしか見えない。なんで?


「ターナ!」


目の前で呆然としているお嬢さんが、上から落ちてくるお嬢さんの名前を呼んだ。知り合い⁉︎


取り敢えず、先程のお嬢さん同様、このままだと地面に追突してあの世行きになってしまうので(美少女損失は世界の危機!)もう一度デボラやクルス達と共に布を広げる。……なんでこんな大きな布を持っているのかも、私も多分デボラ達も解ってないんだけど。いつの間にか持っていたのよ。なんで?


さて2人目のお嬢さんは、1人目のお嬢さんと比べると普通(顔の造作が)。私に近いから親近感が湧く。無事に2人目のお嬢さんを助けた所で、1人目のお嬢さんと2人目のお嬢さんが抱きしめ合ってる。……いーなー。私も混ざりたい。


「ええっと無事を喜んでる所ごめんなさい。私、ケイトリン・セイスルート。このセイスルート辺境伯領の領主の娘。現在17歳」


「あら、ご丁寧に。私はシスティアーナ。年齢は貴方の5倍近く」


「は?」


システィアーナと名乗った少女はどう見ても同じくらいの年齢。初対面でも冗談を飛ばすタイプ?


「冗談でもなんでもないわ。こちらの美少女はマグノリア。リアね。私はターナって呼んで。あなたはケイト?」


「え、ええ。えーと」


「うん。色々混乱しているよね。大丈夫。説明はするから」


ターナ(本人がこう呼ぶように言うんだからそうする)がテキパキと話を始めようとした所で「うわっ」という今度は男の声が聞こえてきた。やっぱり上から。


「アルっ」


リアちゃんの顔色が真っ青で泣きそう。美少女の泣き顔は世界の敵!


「彼を助けるわよ!」


速攻でデボラ達に指示。布を広げたけれど、彼はその前に空中で態勢を整えてトンッと地面に降りてきた。


「あー驚いた。リアっ」


「アル。良かった。貴方が地面に追突するかと思いましたのよ⁉︎」


「心配かけてごめんねー。僕も驚いたけど、魔法が使えるみたいだったから、魔法を使ったら無事に降りられた。リアは怪我をしてない? ごめんね、リアから離れるつもりなかったのに」


「い、いいんですわ! アルが無事なんですもの!」


「ありがとう、リア! 可愛いなぁ」


「……はいはいはい! そこまで。ちょっとさぁ、周り見ようよアルフレッド。こちらの方達呆然としてるから」


「あ、ごめん、ターナ」


何がなんだか分かりません。いや、ほんとに。


「ケイト、悪いけど、何処か落ち着いて話せる場所ある?」


ターナの仕切りで、私は近くのお店に案内する。デボラやクルス達も次から次へと起こったこの現象に黙ったままだ。とにかく、お茶を飲もう。そして落ち着こう。うん、それが良い。……今日はシオン帝国から帰国してのんびりと領地を歩く予定だったのに、どうしてこうなったんだろう。


お茶を飲んで改めて互いに自己紹介した後で、ターナが事情を説明してくれた。


「私はさぁ、此処とは違う世界の人間なのね」


いきなり、それですか。


「ええと」


「まぁ急にこんな事を言われても信じられないだろうけどさ」


「あ、それは大丈夫。私、異世界転生者だから」


「えっ⁉︎ ケイトも⁉︎ 私もなんだよね!」


私か受け入れるとターナが驚く。そこで盛り上がってみれば、なんとターナも元日本人だった。しかも、かなり年上のお姉様だったらしい。……いや、これだと話が進まない。


「話戻すね。……で。私の世界では人間って寿命が300歳程なのよ」


それはビックリ。それで外見は同じくらいだけど、実年齢が5倍近くということらしい。成る程。


「そんでもって、私の世界では元日本人とか結構多いのね。で。皆、神様っていうか、私の世界を作った相手が存在する事を認識してるの。で。私の世界にも魔法って存在していてね……」


ターナの話を要約すると、こうなる。


ターナの世界では、異なる世界がいくつもあるということを知っている者が多い。

そして魔法という概念もある。

……ということで、魔法でターナの世界と異世界を繋げてみよう! と考えた魔術師が現れた。うん、まぁ好奇心旺盛な人って何処にでもいるよね。


「で。繋がったのがこの世界。といっても、この国……タータントだっけ? とは別の国で、リアとアル……あ、アルってベイエットっていう辺境領の領主なんだよね。この2人が居る国に繋がったのよ」


ベイエット領……。他国の事を全部知っているわけじゃないから、私は聞いた事のない地名だった。国名を聞いたけれどやっぱり知らなかった。


「アルはその年齢でもう領主なんだ?」


私は驚く。ちなみにリアは彼の妻だそうだ。羨ましい。私が男だったら、私もこんな美少女を嫁にしたい。


「うん。魔法が得意で魔物を退けるのは魔法だよ」


のんびりとした口調だけど、強いなってなんとなく分かるから見た目や口調で騙されてはダメなタイプなんだろうな。っていうか。


「えっ、シオン帝国の人じゃないの⁉︎」


「シオン帝国? 知らない国だな」


えっ。有名なシオン帝国を知らない? という事は世界は此処でも大陸が違うのかな。私もあまり良く覚えてないけど、確か1度目の人生の妃教育で世界にはいくつかの大陸があるって聞いた気がする。あの時の地理学の教師に尋ねれば判るかもしれないけど、もう、私は関わりのない人だからな。


「話、戻すねー。とにかく、この2人の居る国に繋がった事が、神様にバレちゃってさぁ。しかも、それに私が関わっていることもバレちゃって。いや、異世界に繋げる魔法を作ったヤツが知り合いの魔法使いで。その魔法使いは転生者じゃないから、異世界へは行けない。なんかね、転生者以外は異世界へ行けないってルールみたいでね。でも私が転生者じゃない? この2人と会っている事に神様が、そんなに異世界が気になるならあちこちの国を見聞してみなさい、的な感じのノリで」


この国に飛ばされちゃった。


ってターナが笑った。……えっ、それ笑い話なの?


「それって怒られたってこと? ターナ達戻れるの?」


「それは大丈夫ー。いざとなれば、アルはリア連れて自国に帰れる優秀な魔法使いだし。つか、アルはリアさえいれば、ってタイプだから」


「成る程、よくわかった。で、ターナは?」


「私も平気。神様は単に面白がって私と、ついでに私と仲良くなったリアを巻き込んで、この国に連れて来ただけ。神様は私にちょっとやって欲しい事があるって言って頼んできたから。私を自分の世界に帰してくれるのは間違いないよ。だから単に社会科見学みたいな感じかな」


「ああ、社会科見学。随分とスケールの大きい社会科見学だね」


「だよねー」


まぁ要するに、色々と話を聞いた結果、スケールの大きい社会科見学だという事が判明したので、それじゃあという事で、3人を連れて折角なのでセイスルート辺境領を案内する事にした。デボラやクルス達は、ずうっと黙りっぱなしだったけど。多分、理解が追いついていないだけだから、後でいくらでも質問に応じる事にして。


取り敢えず、のんびりと辺境領を見回るつもりだった1日は、随分と騒々しく、そしてイレギュラーなスタートを切って始まりました。


「ねぇねぇ、セイスルート辺境領の名物って何?」


「ウチの名物? 食べ物はフツーなんだよね。名物っていうと辺境騎士団の野営訓練とか?」


「……もしかしてもしかしなくても脳筋とか?」


「ターナ、それは言ってはいけないやつ……。後はねぇ、あ、リアって花冠とか作れる人?」


「え、ええ。幼い頃は作りましたわね」


「じゃあ、あの丘の花畑は綺麗だよ。この時期はガッツリシロツメクサ咲いてるし」


「えっ、じゃあそこに行こう! リア、私とケイトの分を作ってよ!」


「わたくしが、ですの? ターナとケイトも作れば宜しいのでは?」


「私は日本人の記憶が強すぎて作れない。子どもの頃からそういうの作るような子じゃなくて、日暮れまで走り回ってたし。ケイトは作れる?」


「日本人だった頃に作った事は無いし、ケイトリンとして生きている間も無いなぁ。だって、1度目の人生は殆ど妃教育だし、2度目の人生は騎士団に混じって剣の訓練とかだし」


ターナとリアには既に私が2度目の人生を歩んでいる事を伝えてある。ターナは「それはびっくり。でもまぁ私だって人生2回目だしねぇ。大したことじゃないね」とアッサリ。リアは「まぁ、そんなことがあるんですのね……。わたくしも色々有りましたけど、ケイトも色々有りましたのね」と深く頷いていた。うん、2人とも、いい子だ。


あれ? そういやぁ……


「ねぇ、リア。あなたのダンナは?」


「ダンナ?」


「あー、夫。伴侶?」


「ああ、アルは、ほらあちらに」


振り返れば随分と遅れて歩いてきてる。っていうか、ガリアとアレジと盛り上がってる?


「なんかあっちはあっちで楽しそうだね」


「ええ。ですから気にしなくて構いませんことよ。あと、美味しい食べ物があれば、アルはそれで構いませんの」


「へー」


「違うでしょ、リア。アルは、リアが楽しく幸せなら何でもいいんだよ」


「あー、そういうこと。つまり、アルはリアの幸せが自分の幸せタイプか。成る程ね。ちなみに、ターナは好きな人いるの?」


「居ない。っていうか、日本人だった頃にアレコレと恋人達の色々を見ちゃったから、恋愛は寧ろ拒否したい。ケイトはいるの?」


「うん……。実は、ね」


そこで私はこの世界が乙女ゲームの世界だって話を始める。リアが「おとめげぇむ」と言うので、その説明をしながら、自分の立場を話して……そして、現在同じ転生者のドミーとお付き合いしていることも話した。


なんだろう。この2人には素直に話せて楽しいと思える。そんなこんなで、主要の通りにあるサンドウィッチ店で買ったりクッキー店で買ったりしながらちょっとした丘に辿り着いた。残念ながら辺境領を見渡せるような大きさではないけれど、此処は風が心地よく吹くので結構気に入っている。


なんだかんだで、やっぱりデキル侍女・デボラがテキパキと敷物を準備し、買った物を広げたりお茶の準備をしたり、と動いてくれた。やっぱりデボラは素晴らしい。相変わらず心地よく吹く風にのんびりとした気持ちでお茶を飲みながら、クッキーを嚙ってサンドウィッチを頬張って。私達3人は昔からの友達のように他愛ない話を沢山した。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

誤字報告して下さる方、ありがとうございます。


この後は、楽しい1日を送って無事に3人は神様に帰してもらってます。


来週の月曜日にお届けしますのは

【国王陛下の心情】です。(予定)


現在、エブリスタの方で開催されているコンテスト作品を執筆中なので、もしかしたら、来週の月曜日に間に合わない、かもしれないですが……。久々に異世界物じゃなくて現代物にチャレンジ中なので、頭の中を切り替えるのに少々手間取っているのですみません……。

月曜日に間に合わなくても水曜日辺りには更新出来る……と思います。

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