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家族から見た2人〜前編〜

お待たせしました。

リクエスト第二弾。

今週は前編。来週は後編でお届けします。

sideドミー父


ドミトラルが、第二王子・ヴィジェスト殿下の筆頭婚約者候補者として名高い辺境伯ご令嬢、ケイトリン・セイスルート嬢に婚約を申し込みたい、と言い出した時には、何を血迷った事を……と気を失いかけた。いや、国王陛下から直々の招待状を頂いた時よりはまだマシだったが、それでも、あのセイスルート嬢だ。殆どヴィジェスト殿下の婚約者で発表を待つばかりだった。いや、やけに発表が遅いな……とは思ったのだが。


ドミトラルがセイスルート嬢の直筆の手紙を見せてくれた時も半信半疑だったし、辺境伯直々の承諾の手紙も夢だと思っていた。というか、失礼ながら辺境伯家へ家族全員で押し掛けた無礼さも咎めず、ヴィジェスト殿下の婚約者だと思っていた私達家族から疑いの目を向けられていたにも関わらず、セイスルート嬢は話せる範囲の事情を打ち明け、誠意を見せてくれた。それどころか、心から息子を慕ってくれている表情を見てしまえば疑いなど消えて行く。


そうしてかなり身分差は有るものの、不肖の三男とセイスルート嬢……ケイトリンとの婚約は調った。


長男の妻や私の妻は、ケイトリンとドミトラルとの出会いを運命みたいに言っていたが、さすがに私はそれをそのまま都合良く受け入れられなかった。おそらく、ケイトリンが話せなかった部分……ヴィジェスト殿下に関する色々な事を通して、なのだろう。それは恐れ多くもドミトラルが陛下から何か使命を受けた事と繋がっているのだと思う。


ケイトリンからすれば、お互いに恋愛感情は無いとはいえ、貴族の結婚が政略的なものと理解している上で、ヴィジェスト殿下に尽くしたのに結果的に捨てられたわけなのだ。いくら辺境伯家の令嬢とはいえ傷つかないわけがない。その心を不肖の三男が癒したというのであれば、ドミトラルを見直すし、両手を上げて婚約を賛成する。


そして、手紙は毎日とは言わずとも頻繁にやり取りをしているようだし、良く2人の時間を過ごしているようだ。我が家にケイトリンがやってきてデートに行く日など、ドミトラルは朝からソワソワソワソワしていたし、やってきたケイトリンもドミトラルに会うために、可愛く着飾っていた。


2人の表情はお互いを思いやり大切にし合っているものでしかなく。身分差など気にならない程の仲にしか見えない。


この婚約は、間違いなく成功だと確信が出来る。そんな2人。ドミトラルの父として嬉しいが可愛い義娘が出来る事も可愛い、とこっそり思っている。




sideドミー母


ドミトラルがセイスルート辺境伯令嬢に婚約を申し込みたい、と言い出した時、何を血迷った事を……と思いました。母として息子の愚かさを止めねばならない、と。ところがセイスルート辺境伯令嬢直々の手紙を見せてもらって筆頭婚約者候補者の座を降りた、と理解した時。


申し訳ないけれど、一応容姿だけはやたらと良い息子を何処かで見初めて身分か何かで強引に息子に迫ったのではないか、と思ってしまいました。

こう言ってはなんですが。セイスルート辺境伯令嬢が第二王子殿下の婚約者になるのも時間の問題だと思われていたにも関わらず、筆頭の座を降りた。降りたというのは聞こえが良いけれど、実は降ろされたというのが正しいのではないか、と。


要するに。彼女に大きな声では言えないけれど王家が見過ごせない欠点があって、それを王家に指摘されて筆頭の座を降ろされた。それを彼女は恥と考えて、何処かで見初めた容姿だけはやたらと良い息子に婚約者になるように無理やり迫った、と。

そう思っていました。


だから家族全員で押しかけるように辺境伯家へ赴き、セイスルート辺境伯令嬢に会った時から失礼な視線を浴びせていた自覚は有りました。たとえ身分は向こうの方が遥か上でも、この婚約は認めない! と息巻いていました。

ところが。


彼女は第二王子殿下の長年の婚約者候補者で有りながら、第二王子殿下は別の女性を好いていた、とか。なんたる事でしょう。政略的なもので、ほかに愛する人が出来たことは仕方ないでしょう。でも。それならそれで彼女を解放するように動けば良かった。

それをしなかったばかりか、行方不明になった愛する人をよりによって正式な婚約発表までもう直ぐと思われていたセイスルート辺境伯令嬢に探す事をお命じになられるなんて……とヴィジェスト殿下には失望しました。


もちろん、王家に仕える貴族である私が、王族にそのような不敬な事を考えるなど、あってはならないのでしょう。ですが口に出してないだけ有り難いと思って欲しいものです。こんな仕打ちを長年殿下の近くにいた彼女にしていいはずが無い。

いくら彼女に殿下への気持ちが無いから大丈夫、と言われてもそういうものではない事くらい、分かります。おそらく相当傷ついたはず。そんな彼女を私の息子が癒した、というのであれば。


そしてお互いを慈しみ合っているように微笑む顔を見てしまえば。


私は反対する理由などありもしなかった。

正しく運命的な出会いを果たした2人。

婚約を認めた途端に幸せそうに笑う2人を見て、この婚約は息子もセイスルート辺境伯令嬢……いえ、ケイトリンも幸せになるのだ、と確信しました。まさか三男にこんな日が来るなんて思いもしませんでしたが。


どうかケイトリンと一緒に幸せになってもらいたい。こんな可愛い義娘が出来るなんて、と今から嬉しくて仕方ないのです。




sideドミー兄


父から代替わりとして私がレード家当主になって早々、弟がとんでもない事を言い出した。弟・ドミトラルは最近なんだかおかしい。何故、弟が……というか貧乏ギリギリの男爵家の三男が国王陛下から直々に城への召喚状をもらうというのか。あの時は、信じてはいたものの一抹の不安でまさかドミトラルに限って……と思いながらも、そうとは知らずに陛下に不敬を働いたのか、と思ったものだ。結果は違った。だが、何故か密命を帯びたと直々の国外に出る許可証を発行されていた。それもデスタニアの分まで。


一体、弟達はなんなんだ。


そう思っても仕方なかった。とはいえ、密命である以上、家族にも話せないのは仕方ない。弟達を信じるしかない、と送り出したというのに。無事に帰国してきたと思えば、今度は第二王子殿下の婚約者として発表されるのも時間の問題、と長年言われ続けていたセイスルート辺境伯令嬢に婚約を申し込みたい、と言い出した。


あの方は第二王子殿下と婚約されるだろう、何を馬鹿な事を……と説教を始めたら、あの方直々の手紙を見せられ、それでも尚渋る私に、ならば直接乗り込む、と言うので仕方なく婚約申し込みの手紙を書いた。正直、この時ばかりは、代替わりしていた事を後悔した。


何も代替わりして早々にこんな大きな事をやらせないで欲しい。しかも、弟の妄想なのに、暴走させないためとはいえ、婚約の申し込み……。絶対セイスルート辺境伯から笑われるか、怒られるか。どちらかだと思っていた。ところが、予想外にも承諾の手紙をもらった時から、今度は弟が女性に慣れていなかったばかりに、年下とはいえ、第二王子殿下の筆頭婚約者候補者だったあの方に誑かされたのか、と弟の不運を嘆いた。哀れに思ってしまいーー弟を守るつもりでセイスルート辺境伯家を訪れたのだが。


結論から言えば、弟は誑かされていなかった。というか、そんな事を考えた事自体、失礼過ぎて弟を思うあまり……とはいえ、紳士としては許されない思考に陥った自分を反省した。


それくらい、ケイトリン嬢の弟を思う心も、弟がケイトリン嬢を思う心も、目に見えていた。寧ろ、何故、この2人はここまで離れ離れになっていたのだろう、と思う程に寄り添っている姿が当然に見えて。


当主となって初の大仕事。

私は弟の幸せと共に、やり遂げられてホッとした。私も妻も彼女が義妹になる事を心から喜んでいる。弟は婿入りみたいな形になるから中々会えなくなるが、それでも何の心配もない関係だ、と安心出来る2人が私の目の前に居た。どうか、この2人に心穏やかな日々が訪れる結婚生活であるよう、願う。


そこには私達レード家もセイスルート家も揃って笑う日々が見えた気がした。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

ということで、前編はレード男爵家(ドミーの家族)から見たケイトリンとドミトラルをお届けしました。色々考えたのですが、ドミーの両親と長兄のみで義姉の視点は入れませんでした。


来週は後編としてセイスルート辺境伯家(ケイティの家族)から見た2人です。リクエストして頂いた方達は来週が楽しみなのかもしれませんが、今週も楽しく読んでもらえましたら幸いです。

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