2度目。ーーお茶会は中々に波乱の展開でした・3
さて。これでこの方の対策は一先ず安心ですわね。当たり障りのない会話をしたら引き下がることにしましょうか。この方の派閥と見られるわけにもいかないですし他の方にもご挨拶した方が宜しいですものね。はぁ。シュレン様にお会いしたい……。第一王子であり王太子殿下の婚約者であらせられるシュレン様とは未来の王子妃として前回は割と仲良くさせて頂いてました。おっとりと微笑むあの方にどれだけ癒されたことか。イルヴィル殿下と並ぶと本当に一枚の絵でした……。そんな事を考えつつ他の方にも挨拶を済ませたところで目敏いご令嬢方の空気が変わりました。
……来ましたか。ヴィジェスト殿下が。
まぁ前回のことを踏まえるとロズベル様以外は興味ないでしょうけれどそんな事をご令嬢方に見破られるわけにはいきませんものね。まぁお茶会が始まれば1人ひとりと会話をせねばならないでしょうし。私は今回ヴィジェスト殿下の婚約者も王子妃も興味ないですから出しゃばらずに自分の番が来るまで隅に居たいですわ。出来れば殿下との会話時間も不要なくらいですけれど。
ーー寧ろ国王陛下と王妃殿下が何を考えているのか知りたいですわね。
本当に我が辺境伯家の忠誠が欲しいのかしら。確かに王家の悲願ではあるのでしょう。でも前回のことを考えるとどうしてもそんな気がしないのですわ。もしかしたらどちらでも良いのではないでしょうか。そう考えると公人としてではなく私人として対応するのも分かりますし、ロズベル様とヴィジェスト殿下の関係を放置していたのも頷けます。でも今のところロズベル様はお見かけしませんわね。身分の問題でしょうか。
身分……。ロズベル様の出生の秘密はやはり調べる必要がありますわね。さて。隣国へどのように調査の手を延ばすかが問題ですわね。……あら。殿下の挨拶が始まりましたわね。取り敢えずはこちらに意識を向けておきましょうか。あの侯爵令嬢様の動向に他の方達の動向も知りたいですし。婚約者候補になりそうな方は他に何人か居ますものね。
ロズベル様の身分が子爵令嬢のままの場合、愛妾に迎えても構わないという心の広い女性でないと大変ですわね。それとも隣国の前王弟の娘という身分を前面に押し出してくるかしら。それなら王子妃も頷けますけど。そしてここにいるご令嬢方も納得されるわよね。そういえば……ロズベル様の髪が我が国では珍しいものでいくらか噂があるのに何故か皆様ロズベル様の出生に関して疑問に思わなかったのよね、前回。どうしてかしら。あの侯爵令嬢様ならロズベル様の存在を耳にしたら侯爵様にお願いして素性を洗い出すくらいはしそうなのに……。
もしかして素性におかしな所が何も無かった? それとも素性を洗い出すことさえ頭になかった? いえまさか。でも……。もし誰もロズベル様の素性に違和感が無かったとしたら? それは調査もしませんわね。もし本当にそんな事があるのならば……これは国そのものがおかしいですわね。私の穿った見方かしら? 少し様子を見る必要がありますわね……。




