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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
2度目の人生を送る事の原因と意味と結果。
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2度目。ーー2度目の人生の目標は、長生きです。・3

本日は連続投稿です。連続投稿2話目。

少々長めです。

「もちろんこの話はここだけの話でお願い致します」


と今更なお願いをしつつ話を続けましょう。


「それで。他にも少々不穏な動きが有るとの事でそのまま筆頭の座に着いていた私ですが。同時に国外へ出て勉強をしたい、と留学を希望しておりました。そこへヴィジェスト殿下から、ヴィジェスト殿下の想い人が行方不明になっている事をお伺いしまして、どうか探して欲しいとお願いされたのです」


「まぁあああ! 仮にも婚約者の候補であるケイトリン嬢にそのような……」


あら? ドミーのお母様がご立腹でしょうか? あれ? 私、何か間違った事を話してましたっけ?


「いえ、私は先程も話しました通り、この話をお断りしていましたが、殿下の周囲が怪しい事を知って受け入れていましたので、殿下の想い人探しは喜んで引き受けさせてもらいました」


なんだかご立腹のドミーのお母様に本音を溢したのですが、ドミーのお母様は「なんて健気な……」と却って私を良い方に受け取ってくれました。何故でしょう? まぁドミーのお母様に気に入ってもらえるのは有り難いですけどね。嫁・姑関係って永遠のテーマですよね。


「ケイトリン嬢、それで?」


ドミーのお父様が話の続きを促します。


「それで隣国に留学して探したものの手がかりが帝国に行ったというものでして。それで殿下に話した所帝国へ行って探して欲しいとのことで」


「まさか、それでシオン帝国へ留学しましたの⁉︎」


私の話の途中でドミーのお母様が食い気味に質問してきました。私は「え、ええ」と頷きます。


「なんて健気なのですか……!」


えっ? 健気な部分ありました?


「それで帝国で殿下の想い人を魔法学園に留学している傍ら探していた折にドミトラル様にお会いしまして」


間違った事は言ってない。話してない部分は多いけど。


「色々と話し合ううちにドミトラル様が同国の方と知って交流を深めまして。そうしているうちにドミトラル様のお陰で、殿下の想い人も見つかりました。私は……その、ドミトラル様と交流している間にドミトラル様をお慕い申し上げまして……」


なんだか話していて恥ずかしくなってしまって俯く。絶対顔が赤いはず。だって頬とか熱いもの。


「まぁ、物語みたいね」


その声に顔を上げればドミーのお義姉様がキラキラとした目で私とドミーを交互に見てます。えっ、物語みたいですか? まぁ再会した時は物語みたいでしたけど。それでそれで? とドミーのお義姉様に続きをせがまれたので続きを話します。


「その。ドミトラル様も私と同じ気持ちだと伺って。でも私は第二王子殿下の婚約者候補者でしたから。きちんとその座から下りられたら婚約したい、と仰って下さって。それで帰国して殿下にお会いして話し合ったところ、殿下の周りの不穏な動きも収まったとのことで。殿下の想い人の方を見つけた労と共に婚約者候補者から外れましたの」


最後だけは違うけど、まぁ殿下からプロポーズされた事は別に言わなくてもいいですよね。


「その報告を受けて、兄さんにケイティに婚約を申し込んで欲しいって頼んだ」


ドミーが最後を締め括れば、なんだか雰囲気が変わってました。私とドミーの婚約が歓迎ムード一色です。何故。


「ケイトリン嬢は、婚約こそしていなかったものの婚約間近と言われていた殿下との間にそのような辛い事があったにも関わらず、殿下に尽くしたとは……。こんな息子で良いのかわかりませんが、セイスルート伯、ケイトリン嬢が息子を望んで下さるのなら私の方こそよろしくお願いします」


ドミーのお父様……。私、辛くもなかったですし、尽くしてもいませんが。何故そんな誤解が……。私、何か誤解されるような話し方をしたかしら。


「あ、あの、私、ヴィジェスト殿下をお慕いしていたわけではないので、辛くなかったですし、尽くしていたわけでもないです」


なんだか盛大な誤解をされている気がして慌てて言ったのですけど。ドミーのご両親も長兄様とお義姉様も、何故か「そんなにまで殿下を庇うなんて、心優しい……」と言われました。えー。どうしてそんな誤解になるのでしょう?


困った私がドミーとタニアさんを見れば、ドミーは苦笑しているしタニアさんは面白がった表情を浮かべてます。いやいやいや、盛大な誤解を何とか解いて下さいー。


なんだか言えば言う程墓穴を掘りそうなので、結局それ以降私は黙っている事にしました。ヴィジェスト殿下、ごめん。なんだかレード家の方達はヴィジェスト殿下が悪者のように思ってます。……そんな話はしてなかったんだけどなぁ。私の話し方の何が悪かったんだろう……。


殿下、ごめんね。


この件が耳に入ったら謝る事を私は自分に課しました。その後はトントン拍子に婚約の話が進み……。私がシオン帝国でもう少し勉強をすることにしたため、上学園卒園後に結婚する事で話が決まりました。18歳で卒園してその後すぐに結婚式の予定なので、長期休暇はこちらに帰国して式の準備を進めていくという予定になりました。


ドミーも私の卒園に合わせて帰国して、結婚後はどうするか? という話では。


「実は元アウドラ男爵家の領地をケイトリンとドミトラル君に任せたいと思うのですが」


というお父様の提案に、一も二もなくレード家が頷いてくれたので、私はセイスルート辺境伯の当主ではなく、元アウドラ辺境男爵の当主となります。ドミーはその婿。お父様は私とお兄様のどちらかを跡取りにしようと考えていたそうで。でもお兄様の方が強い意思を感じたとのことで、お兄様を後継にすると仰ってました。まぁそれならそれで良いと思います。


そんなわけで、私は将来的には、元アウドラ女男爵です。アウドラの名前ではなく、多分違う名前になるとは思いますが。そんな風に具体的な話を詰めて晴れて婚約者になった私達は、お父様の合図でお母様・お兄様・お姉様・ロイスの挨拶を終えた事を機に、2人っきりにしてもらえました。


そんなわけで現在辺境伯家の庭をドミーとお散歩中です。なんだかあまりにもトントン拍子だったので本当に婚約出来たのか不思議な気分ですね。まぁ貴族同士の婚約で有る以上、陛下の許可をもらわないと、ですけど。まぁ申請すれば余程の事がない限りは受理されるので大丈夫でしょう。


ようやく私はドミトラル様の婚約者です。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

明日は朝と夜の更新に戻せる……と思います。多分。

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