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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
2度目の人生を送る事の原因と意味と結果。
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2度目。ーー2度目の人生の目標は、長生きです。・2

お待たせしました。

レード男爵家では、本当にセイスルート辺境伯家から承諾の手紙をもらうとは思っていなかったらしく「またもや大騒ぎだった」とドミーが珍しく愚痴を溢していた。今日はまぁ婚約のための話し合いの日、です。辺境伯家の庭をドミーに案内しながら先程までの事を思い返してみました。


約束の刻限にドミーのご両親と現当主夫妻(ドミーの長兄夫妻さんですね)と次兄のデスタニアさんとドミー。


「家族総出で押し掛けてすみません。私はレード男爵家前当主でありドミトラルの父である……」


「ああ、そういった堅苦しい挨拶は抜きにしましょう」


ドミーのお父様が挨拶をしているのに、私のお父様がアッサリと無しにした。ドミーのお父様が固まってます。こんな父ですみません……。


「お父様? きちんとした挨拶は大事だと申し上げておりますのに、無かった事にしないで下さいませ。……はじめまして。私はケイトリン・セイスルートと申します。本日はよろしくお願い致しますわ。お父様は位では辺境伯ですが、堅苦しい事が苦手ですので、どうぞ気楽にして頂けるとこちらも助かります」


私はきっちりお父様に釘を刺しながら名乗り上げ、そのまま応接室へと執事に案内を促します。ちなみに今はお父様と私のみ。いえ、だって、私はてっきり現当主のドミーのお兄様とドミーだけかと思っていましたので。ご家族総出でいらっしゃるとは思わなかったので、お母様とお兄様・お姉様・ロイスはサロンで待機してもらっていたんです。それでタイミングを見てお母様達と会ってもらおうかなって思っていたので……ちょっとびっくりしたのは内緒です。


とはいえ、応接室はあまり広くないので、ドミーのご家族と私とお父様がソファーに腰をかければ、お母様が座る分くらいしかスペースが無いので、やっぱり当初の予定通り皆にはタイミングを見て挨拶してもらうことにしました。


「改めて。セイスルートと申す。これから長い付き合いとなるのでよろしく頼む」


だから、お父様……。軽過ぎますが。まぁ良いです。お兄様の婚約の時もこんな感じだったのはお兄様から伺っていますし。


「あ、いえ、こちらこそ。どうぞよしなに」


お父様が頭を下げたのを見たドミーのお父様もつられて頭を下げられて。それから恐る恐るというように、私をチラリと見てきました。ドミーのお母様に至っては玄関先でお会いしてからずうっと視線が外れませんわね。品定めでしょうか?


「あの、大変失礼ながら。ケイトリン嬢にお伺いしたい。何故ウチの息子と……」


ああ、やはり気になりますよね。


「ドミトラル様のお父様は、私がヴィジェスト殿下の筆頭婚約者候補者だったのはご存知でしょう」


私が切り出せば頷かれる。まぁ第二王子と男爵家の三男だと誰がどう見ても第二王子の方がいいって思うよね。さて。どう話そうかな。辻褄合わせとかしようとも思っていたけれど、なんだか嘘っぽくなってしまうのは嫌で。というか嘘をついてしまうと設定を忘れてしまったらアウトだし。なので、全て話す事はしないけれど、ある程度事実を話す事にしました。


「ヴィジェスト殿下には想い人がいらっしゃいました」


するとドミーのお母様とお兄様の奥様……つまりお義姉様が息を呑みました。あら、同情されてしまったのでしょうか。


「その方とヴィジェスト殿下は色々事情があって婚約が認められず。王家は辺境伯家の忠誠を得るために私と殿下との婚約を提示してらっしゃいました。本来なら断れる立場ではないのが臣下ですが、セイスルート家は現在のタータント王家よりも前から存続している家柄ですので、臣下という立場では有りません。故にお断りさせて頂きました。ですが」


そこで言葉を切ったのは、別に見せ場を作るためでは無いのですけど、結果的に見せ場のようになってしまったようです。


「ヴィジェスト殿下ご本人から、殿下の周囲で不穏な動きが有るので筆頭婚約者候補者を引き受けて欲しい、と頼まれた次第なのです。皆様も覚えていらっしゃると思います。法に厳しいと言われていたエルネン伯爵家の騒動を」


ドミーのお父様が厳しい顔で頷かれました。


「かの家もその不穏な動きの一家でした。私は辺境伯家の生まれ。少々の荒事には動じません。他のご令嬢は荒事とは無縁ですから不穏な動きに対応出来なかったと思われます。そういった事から私は筆頭の座に長らく着いていました」


「では、囮だ、と?」


ドミーのお父様に尋ねられ私は「囮とまではいかないにしても、他のご令嬢では出来ない事では有りますから」と言葉を濁した。さすがに囮って表現はヴィジェスト殿下に悪くて肯定出来ません。まぁ一応そんな感じでは有りましたけれどヴィジェスト殿下はそこまで考えていなかったと思うんですよねー。


単に結果的に不穏なというか、ナイゼルヌ侯爵令嬢を退けようとしたら、エルネン伯爵家のアレコレも芋蔓式に出て来たっていうのが真実だけど。まぁ芋蔓式とは言えないから、不穏な動きと言っておけば間違いないですよね。嘘じゃないし。

お読み頂きありがとうございました。

諸事情により今夜の更新分を続けて公開しますので、2話連続となります。

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