2度目。ーー恋する私と大人の貴方。・2
大変お待たせしました。
別作品を執筆していたら忘れてました……
「コホン。と、とにかくそんな関係です」
コホン、と言いましたよ? 言いましたが何か? 急に咳払いが出来ないくらい動揺していましたけど、な・に・か? アリシャがうふふふふ……と微笑ましく笑っていますが、無視です無視。
「それで? 求婚の返事はしたんですの?」
「いいえ、それはまだ。でも私はまだ15歳ですからまだ結婚は出来ないし、彼の気持ち、ですから。いつかはお受けしようと思ってます」
それ以上は聞かれても答えられない、と私はアリシャに微笑んだ。アリシャも直ぐにこれ以上は話せない部分だと気付いたようで、引き下がった。
「明日、晴れると宜しいわね」
「ありがとう。楽しんでくるわ」
おそらくアリシャがドナンテル殿下と婚姻したなら、私が2度目の人生を歩んでいる件についても解禁出来るだろうけど、今は黙っている事にした。サヴィとベタルターは悪い人間ではないけれど、なんていうか彼らには話せない、と本能で警戒していた。
翌日。待ち合わせへ向かうべくデボラに支度を手伝ってもらい、鏡で最終確認をしていた。髪はハーフアップ。動きやすいワンピースはドミーの瞳の色。良く晴れてしまったので、一応淑女の嗜みとしての日傘も準備してから寮を出て待ち合わせ先まで行こうとしていた。
休日で同じように外出の届け許可をもらって小鳥が囀るようなご令嬢方の会話を聞くつもりもなく、聞こえてしまった会話も忘れようとしながら寮を出た。学園の門に向かっていると前方がやけに騒がしくなっていた。
「まぁとても美しい殿方ですわ。どなたかしら」
「本当に。女性である私達でさえ気遅れしてしまいそうですわ」
「見て。美しい黒のお髪それにこういってはなんですけど、同年代の殿方よりも大人の雰囲気があって……」
「本当に。立ち姿も美しいなんて彫刻のようですわ」
等々、ご令嬢方の囀りは賑やかです。……が。ええと、その内容を聞くに辺り、とてもとてもとても思い当たる人がいるのですが……まさか、ですよね? まさかまさかまさか、ですよね?
門に近づくに連れてその人の姿が視界に入って来る。そこに佇んでいたのは、思い当たったその人、ドミトラル様でした……。えっなんで魔法学園にいらっしゃるの⁉︎ 待ち合わせ場は近くの、学園に通うご令息・ご令嬢方の信を得た喫茶店では無かったかしら⁉︎
「ケイティ!」
私が視界に入ったのだろう。先程までに囲まれていたご令嬢方をものともせずに、私だけを見つめてくるドミー。ちょっぴり優位に立った気分は私の女性としての自尊心を高くしてくれていた。
「ごめんね、待たせた?」
「いや。俺が勝手に待っていただけ。行こうか」
私をエスコートするためドミーが腕を差し出してくる。そっとその腕に手を添えると、しっかり腕に絡ませるように私の手の位置を変えてくる。ここまでされて、私はようやく気付いた。
ドミーはもしや、私との関係を公にする事でさっさと筆頭婚約者の座を下させよう、と動いてます⁉︎ まぁこちらで噂になれば近日中にタータント国にも噂が届きますものね。意外に策士ですわね?
けれど、後日。そう考えていた私にドミーは真実を教えてくれた。
「策士って程でも無いけれど。まぁ噂になるように迎えに行ったのは確かだし、それでケイティに群がる虫共を叩き潰すのは俺の役目だけど、群がるのを未然に防げるかな〜と思っていたから、それは狙ってた。あと噂が広まりまくって、タータント国に解るといいなって」
……私が今回好きになったドミトラル様は、腹黒だった模様です。でも、そんなドミーが可愛くて嬉しくてキュンキュンします。こんなドミーを可愛いと思う辺り、私も相当お花畑になっているのかしら?
お読み頂きまして、ありがとうございました。
明日の更新は確実に遅くなります。午前中も無理、かもしれません……




