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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
2度目の人生を送る事の原因と意味と結果。
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2度目。ーー帰国命令が出た皆様と見送る私。・4

さて。私も今後の事を考えねばなりません。ちょっとアリシャを訪ねてみましょうかね。


「デボラ。アリシャを訪ねたいから先触れをお願いしてもいいかしら。今日でなくていいけど急ぎで、とカードに記すから」


寮内の友人同士でも先触れは出すもので、けれど手紙として改まった文章で形式化されたものを出すのも億劫なので、いつしかメッセージカードを使用するのが主流になったそうで、私が転入してきた時点で、そんな話を余談として聞かされていた。


ちなみにそのメッセージカードは、その事を知った学園側が作成したらしく皆同じカードを持っている。さておき。メッセージカードを持ってアリシャを訪ってくれたデボラが戻って「本日でも宜しいそうです」との返事を聞いて、私は早速お菓子を買ってアリシャを訪ねる事にした。お菓子? デボラが買いに行ってくれましたよ。


そんなわけでアリシャの元を訪れました。他国とはいえ王女ですからね。当然ながら専属侍女だけでなく護衛も居ますし、有事の際に直ぐに対処出来るようにもなっています。つまり、部屋が角部屋なんですよ。例えば刺客に襲われるとして、逃げるのに他の生徒を巻き込む可能性が少ないんです。


両隣に生徒が居るより片方だけならその反対側に逃げれば良いですからね。ちなみにその片側は壁だと思いきや非常口なんですね。ということで非常口に逃げられます。非常口から刺客が入って来られますが入って来られるなら刺客を避ければ直ぐに逃げられますよね。


まぁセキュリティがしっかりしているので刺客なんかは可能性が低いですけど。どちらかと言えば非常口が側にある……つまり災害等に直ぐに逃げられるわけです。どちらかと言えば其方の想定で角部屋なんでしょうね。で、その角部屋のアリシャの部屋は王女が住まうに相応しい品格の内装です。他の部屋には無いシャンデリアとか重厚なテーブルとか。このテーブルってどう見ても樹齢何百年ものの樹木から作られてますからね。そしてこの樹木は帝国より北に位置する国で見かけるものです。……どんだけ金が掛かっているんでしょうね。


羨ましいというよりは、大変だなって気持ちですけどね。学園の運営費で部屋を維持するわけでしょ? 頻繁に帝国の皇族や他国の王族が学園に入学するならともかく。そうでないなら無駄金ですよ。でも維持をしておかないと、いざという時に使用出来ません! じゃ笑い話にもならない。……やっぱり学園側に同情しますよ。


「急に会いたいなんてどうしたの? ケイトリン」


いつも教室で会っているでしょ? というアリシャに微笑んで私が持って来たお茶菓子でお茶を飲んでます。ややしてから、ハッキリと口にしました。


「ジュストが帰国命令をもらったの」


アリシャが微笑みは消さないけれど、真剣な目で先を促してきた。


「ヴィジェスト殿下が探していた相手が見つかったの。そしてその方も帰国する。だから彼女を探すために留学していたジュストは帰国するのよ。私もこの学園に留学してきたのはそのためなんだけど。アリシャは王女だから隠す方が良くないから話すわね。色々あって、探していた彼女が魔術師団に監視をつけられていた事を知ったの。それで魔術師団と交渉して彼女はタータント国へ帰国する事を納得してもらえたの」


「そう、だったの。詳しくは」


「ごめんなさい、話せないわ。それでね。まぁ色々あった中で。魔術師団の魔術師長様が私の伯父様だと知ったの。全く知らなかったから驚いたわ」


「シオン帝国の魔術師長が、ケイトリンの伯父⁉︎」


あ、珍しくアリシャが取り乱したわね。でもまぁ驚くよね。それは分かる。でも侍女の方に咳払いされてる。これ、注意されてるわけだよね。アリシャもハッとなって空咳してるわ。


「ごめんなさい、王女として恥ずかしいわ」


「見なかったことにしておくわよ。それでね、此処からがアリシャに尋ねたい事なのだけど。アリシャは今後どうするのか教えてもらえないかしら。今も言ったように魔術師長様が私の伯父だと解って。私も初めてその存在を知ったわけなんだけど。その伯父とは学園を卒園してしまえば会えないと思うから、私は卒園までは此処にいるつもり。でももう1年もないでしょう? それで上学園を目指すかどうか迷い中なのよ。上学園の情報も知らないし。だからアリシャが目指すのか目指さないのか知りたいし、上学園についての情報も教えて欲しいの」


私の真摯な訴えに耳を傾けてくれていたアリシャは、「ああそういうことね」と納得してくれた。


「それで私を訪ねてきたのね」


「ごめんね、急に」


「いいえ。友人として頼ってくれて嬉しいわ。そうね。夏期休暇に入る前に話しておく方がいいわよね」


そうしてアリシャは今年卒園したら上学園を目指す事を教えてくれた。卒園しても、ドナンテル殿下と婚姻するのはまだまだ先になる。アリシャがあちらの国に行ってドナンテル殿下を支える事にはなっていても、婚姻の1年程前から王子妃教育を受けるので良いそうだ。つまり数年は妃教育すら無い。だから上学園で更に勉強をして少しでもドナンテル殿下の役に立てるように頑張りたい、とのことだった。


それと、上学園の詳しい情報も教えてくれた。それを聞いた私は夏期休暇に帰国した時にお父様と話し合う事を決めた。

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