表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
2度目の人生を送る事の原因と意味と結果。
312/400

2度目。ーー現実を知るということは、悔やむだけでなく省みること。・3

すみません。更新したとばかり思っていました。大変遅くなりました。

脅したわけじゃないですが、まぁ結果的に脅して今日のところは引き下がりました。とはいえ、どうやら魔術師団長様も今度は傍観しているわけにはいかないようで。学園のある平日にも関わらず、日程をそこにするよう直々のお手紙がやって来ました。さすがシオン帝国の学園です。魔術師団長からの手紙の威力は皇帝並みのようで。


強制的に学園をお休みにさせられました。あの日からおよそ10日。再びロズベルさんと会うのは、帝国の皇宮にある一室です。……何故ですか。いきなり待遇が改善されちゃいましたよ。


「ようこそ」


私・ドミー・タニアさん・ジュストが案内された一室。あ。今回はクルスは置いて来ました。護衛も不要でした。だって皇宮からの馬車なんだもん。馬車の周りに護衛もいるのにクルスを連れて行く意味がない。そんなわけでお留守番です。


さて。案内された一室の扉の向こうで私達を出迎えてくれたのは……お会いした事のないはずの、けれども懐かしい顔立ち……いえ、実家に居る間は毎日見ていた人の、顔。


「お父様?」


違うと解っているのに私は呆然と呟きました。私の呟きにその方が苦笑されます。


「似ているか?」


そう問われた声はお父様そのもの。どういう事か、と問いたいのに声が出てこない。


「ケイトリン・セイスルートだね?」


穏やかに問われた声に頷けば、その人に促されて私達はソファーに腰掛ける。さすが帝国の皇宮だ。程良い柔らかさで座る者を疲れさせない。などと余計な事を考えてしまっていた。


「私はシオン帝国の魔術師団長を務めているシーシオ。君からすると君の父親の兄にあたる」


「伯父様?」


初めて聞いた事実に頭がついていかない。


「そうだね」


「そんな。お父様から聞いた事がない」


「そうだろうね。私は成人した頃にはセイスルート家を飛び出してしまったからね」


お父様にお兄様がいらっしゃるなんて知らなかった。私が知っているお父様のご兄弟は、叔母と叔父で。ずっと3人兄妹だと思い込んで生きていた。


「昔話よりも“現在”について話し合おう」


伯父にあたるその方が顔を引き締めたので、私は深呼吸をした。そう。ロズベルさんと母のマリベルさんの今後についてを話し合うのが先決だった。

そのロズベルさんとマリベルさんは、伯父である魔術師団長が1人掛けのソファーに腰掛けていて、私達4人はその右横。その真正面に2人が座っていた。あの監視役は居ない。


「ああ、あの監視役はいないよ」


私の表情には出ていないと思うけれど、視線で誰かを探しているのは気付かれたのだと思う。直ぐに言われた。


「そうですか。クビに?」


「そうだ」


まぁ前回、然りげ無くロズベルさんに爆弾を落とされた上に私に脅しをかけられましたものねぇ。報告の義務がある以上、隠し通す事も出来ない。となれば、自分のやらかしを調査され……結果クビにされた、と。まぁ同情の余地はない。いくらロズベルさんが研究対象であっても、だからといってどんな扱いをしても良いわけじゃない。そこを忘れていたのか、それとも元々()()()()性質だったのか。それは知らないけれど。さて研究対象だとしても人間としての最低限の生活を保証しないのは、傲慢な人ではないのか。まぁその辺は魔術師団長様にでもお任せしましょう。


「では。帝国側の意見をお聞かせ下さいませ」


私は魔術師団長の目を見ようとそちらを向いてニコリと微笑んでみせた。

夜の更新は遅くなります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ