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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
2度目の人生を送る事の原因と意味と結果。
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2度目。ーー話が通じないって疲れる以上に怖いです。・4

遅くなりました。

「成る程ね……。君はこの世界が自分とヴィジェスト殿下が幸せになるための世界だと思っているんだね」


「ええそうよ!」


清々しいですけど、2人の事だけなんですね、ホントに。


「君は……自分の母親を含めた家族や、ヴィジェスト殿下の家族とか友人達の事は何一つ考えないのかい?」


「ゲームの世界だもの。私とヴィジェストが結婚出来ればそれで皆がハッピーエンドでしょう?」


タニアさんの静かな質問に、ニコニコと笑いながらどこまでもゲームの中だと思っているようなロズベルさん。その精神構造は異常ではないかと私は疑う。


「そもそもなんだけれど。君はどうして此処がゲームの世界だと思うんだい?」


「えっ? ゲームの世界でしょ? だって。私はヒロイン・ロズベルだし。メインヒーローはヴィジェストだし。ジュストだってライルだっているわ。私はまだ会ってないけどドミトラルだっているし」


そのドミトラルは、私の隣に居るのだけど、全く見えていないのかしら。もしそうだとするなら、やっぱりロズベルさんの精神構造は異常だと思います。それとも視界が異様に狭いのかしら。若しくは……ロズベルさんに話しかける相手だけを認識している?


そう、そうなのかもしれません。


そう考えるなら、ロズベルさんの近くにロズベルさんの母であるマリベルさんがいらっしゃるのに、見向きもしない理由になります。でも、それなら確かに納得出来ますけど、話しかける相手だけを認識している事はやはり異常ではないでしょうか。これだけ人が居るのに関わらず。


あら? でもそれでしたら何故私が視界に入って早々に()()()()()()()のでしょう。私から声をかけるより先に、私を認識していましたよね? もしや……私が悪役令嬢、だから?


例えば。ヴィジェスト殿下が視界に入ったとしても声をかけるより先に認識するのでしょうか。そうだとするなら。彼女は見たいものしか見ないのかもしれません。ジュストやタニアさんは無理やりロズベルさんの視界に入り込んだから認識した。そう考えるなら……彼女の世界には、攻略対象も関係なくてロズベルさんとヴィジェスト殿下と私だけが居る世界なのかもしれない。


それならば、私は2人の仲を必死に裂こうとして逆に愛を深めるための駒。駒が必要だからロズベルさんに認識されている。そういう事でしょう。……そう考えるとなんて狭い世界というより、精神異常な人が考える世界は、マトモだと自負している人間には耐えられないのではないか、と愚考します。


「完全にゲームの世界なんて有り得ないよ。だって、考えてもみるといい。ゲームを進めるための機器が無い。メニュー画面も無いし、相手との親密度が分かるメーターだって無いでしょ。セリフの選択肢だって無ければ親密度を上げるアイテムも無いよ」


私……このゲームだけでなく、乙女ゲーム全般やった事がないので初めて知りましたが、セリフの選択とか、親密度を上げるアイテムとか、そんなものがあるんですか! 乙女ゲーム! 親密度を上げるアイテムってどんなのですかね。攻略対象ごとに違うんでしょうかね? ちょっとだけ興味が有りますけど……うん、まぁいっか。だってゲームなんて出来ないのだから。


そんな事をツラツラ考えている間にも、タニアさんからセリフの選択やアイテムが無い事を指摘されたロズベルさんの顔色が段々と青くなっていきます。おや⁉︎ もしかして、自分の立場が悪いことに気付きましたかね?


「そんな、嘘よ! セリフの選択は表示されないけど、親密度アイテムは有るでしょ⁉︎」


「無いよ。仮に有ったとしても、何処で手に入れるんだい?」


「それは、ゲームに出てきたタータント国の王都メイン通りにあるハートマークの雑貨店・ハルメルに……」


ハルメル? なんですか、そのお店は。ハートマークの付いた雑貨店なんて見た事も聞いた事も無いし、そんな店名も初耳です。辺境領育ちの私ですが、前回の人生は殆ど王都……というか王城にて暮らしていた人間ですよ? そんな店名の雑貨店は聞いた事が有りません。王城から出ない事もなくて、王都なら時々歩きましたから、メイン通りのお店くらい把握してますが、前回は一切見た事も聞いた事もないお店です。


今回も王城に偶に行きますからね、メイン通りのお店くらい把握してますけど、前回の人生と同じお店ばかりです。そしてハルメルという名前の雑貨店は有りません。雑貨店は有りますけど、ハートマークでも有りません。


ゲームに登場したお店なんでしょうかね?

20時の予約設定でしたが書き上がらずすみません。5分程オーバーして書き上げました。


お読み頂きありがとうございました。

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