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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
2度目の人生を送る事の原因と意味と結果。
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2度目。ーー話が通じないって疲れる以上に怖いです。・1

いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。

「あんた! 悪役令嬢・ケイトリンじゃないの!」


ええと。ロズベルさんにようやくお会い出来た私、ケイトリンですが。いきなりケンカを売られています。前回の人生の最期に対面した時も思いましたけど。今ので理解しました。前回も今回も彼女はヒロインの身体に入り込んだ精神は別物です。


だって、ドミーも前世の親友も言っていたんですよね。ヒロイン・ロズベルは明るくて笑顔で努力家で常識を持ち合わせた優しい子、と。少なくても初対面でこんな暴言を吐かないと思う。だって、前回対面した記憶があっても、今回は初めてなのだから挨拶をするのは当然ですよね。それがこの態度なのですから、ヒロイン・ロズベルでは無いのです。


「はじめまして。ケイトリン・セイスルートと申します。ロズベルさん、ですよね。お会い出来て光栄です。よろしくお願いしますね」


多少砕けた言葉なのは、相手が平民だから、ですが。名乗るだけでなくこうして一言を付け加えて挨拶をすることでようやく会った事になるのです。前回、ロズベルさんは私に対してまともな挨拶が出来なかったんですよね。だから会った事にならない。……今回もこの調子では、対面を果たしただけになりますかね。


「はじめまして? あんたがそうやってバグっているからヴィジェストと結婚出来ないんじゃない! しかも何故かシオン帝国に居るし!」


「ロズベルさん。殿下を呼び捨てになさってはいけませんわ。第二王子殿下とお呼びになられるか、お名前を呼ぶ事を許して頂いておられてもヴィジェスト殿下とお呼びになられないと、不敬にあたりましてよ?」


「はぁ⁉︎ 自分がヴィジェストに愛されないからって、そうやって直ぐに私を不敬に陥れるなんて……酷いわね! これだから性悪な悪役令嬢は!」


さっきからロズベルさんの言っている事がおかし過ぎます。悪役令嬢なのにロズベルさんを虐めない事をバグだと言い、かと言って当たり前のことを口にすれば、途端に不敬だとして陥れるのだ、としたり顔。そして性悪な悪役令嬢だと私を貶めていますが。


バグっているなら私だけが異常なのでは無くて他にもバグはあるだろうし、仮に私だけがバグを起こしているなら、寧ろとっとと私は排除されると思うんですけど。何故、そこに気付かないんですかね。そしてバグと言っている時点で、ロズベルさんは、確実に此処がゲームの世界だと思っていらっしゃる。現実だと認識出来ないのですかね。


それに私……というか、まあタータント国の常識として身分が下の者が上の者を呼び捨てなのは有り得ませんけど。しかも平民が王族を呼び捨てなど、不敬だとしてお咎めを受けても何の問題も無いですが。それを指摘しているのに感謝もされずにロズベルさんを陥れる性悪女、と言われるのは心外です。


でも考えてみたら、ロズベルさんの要望通り悪役令嬢をやれているんですかね。常識的な注意をしただけなのに、ロズベルさんを陥れる性悪女ですからね。……でも当たり前の事なんだけどな。例えば2人きりならヴィジェスト殿下を呼び捨てなり愛称呼びなりしても構わないと思うんですよ。ヴィジェスト殿下が許しているなら。例えば2人きりでなくても私的な場所でごく親しい人ばかりがいるなら、やっぱり構わないでしょうね。


しかし! ですよ。しかし、親しい人ばかりが居る私的な場以外なら、名前呼びや愛称呼びに呼び捨てを許されていたとしても、敬称は付けるべきです。だって、誰が見聞きしているか分かりませんからね。そうなるとロズベルさんが非難されるのは言うに及ばず、王族を敬う事が出来ない常識の無い女に、名前呼び・愛称呼び・呼び捨てを許している愚かな王子のレッテルをヴィジェスト殿下が貼られてしまうんですよね。


つまり。ヴィジェスト殿下個人の言動も、ですけどね。その周囲に居る殿下付きの侍従や侍女や護衛の言動も、側近や友人や婚約者の言動だって全てヴィジェスト殿下の批評に繋がって来るわけです。もちろん、婚約者が居るのに婚約者以外の女を常識とは程遠い距離感なのも批評に繋がるし、その女性が将来的に只の遊び相手だろうが、側妃だろうが、愛妾だろうが、その女性の言動すらヴィジェスト殿下の批評に繋がるわけで。


だからこそ、私の注意は物凄く常識的な事しか言ってないんだけどな……である。


そして、前回のヴィジェスト殿下の評価は……当然かなり悪かった。婚約者(わたし)という存在が居ながら、私以外の女性と常識では有り得ない距離感で接していたのだから、そりゃあ王城内での評価はだだ下がりでしたよ。ヴィジェスト殿下本人は気付いてなかったみたいですけど。それもそれでかなりマズイですよね。周りの声が聞こえてないわけですから。


私はなかなか会ってももらえなかったですから、注意のしようがなかったですが。ヴィジェスト殿下付きの使用人は、かなり注意していたでしょうね。常識外れの言動を取るヴィジェスト殿下に諫言も出来ない無能だ、と周りから思われるわけですし。


国王陛下夫妻やイルヴィル王太子殿下も、かなり諫めていたとは思うんだけどね。我が子或いは弟の言動が齎す周囲の評価を思えばこそ、ヴィジェスト殿下のためを思ってこそ、注意しまくってたはずなんだけど。それでも直らなかったヴィジェスト殿下。皆様、相当心を痛めていただろうなぁ……。

昨日は中途半端にアップしてしまいすみませんでした。昨日中に書き上げられてホッとしています。

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