2度目。ーーその人と会うのは、実は初めてでした。・6
すみません、遅くなりました。
そして短いです。
「それで彼の国でも色々とおかしな……失礼、想像力豊かな発言をしていて周囲に迷惑をかけた結果、国内に居られるのは厄介だから、とシオン帝国へきたわけですね」
来たというより国外追放的な感じでしょうけど。隣国の国王陛下は、あのドナンテル・ノクシオの父です。特に噂を聞くとノクシオの大人版的な。ということで腹黒……もとい策略家な方のようだから色々とシオン帝国と裏で政治的なやり取りをしたのでしょうね。
ということは、この母娘がシオン帝国に来た時から監視は付けられていた可能性が高いですね。でも魔法学園に通っていたわけですから……様子見されていた? そしてロズベルさんは現実を受け入れられないからなのか、シオン帝国に来た事も受け入れられなかったかしら……。ああいえ、確かこの世界を基にした乙女ゲーム第2弾が作られたんでしたっけ? それならばもしロズベルさんの前世の方が第2弾の存在も知っていたならシオン帝国にいることは受け入れられたかしら。
何にせよ、一度はロズベルさんに会わなくてはならないし、ヴィジェスト殿下に命じられてこの国まで来た私とジュストなのだから、ヴィジェスト殿下が探していた事を伝える必要はある。それは、本人に直接言う方がいい、はず。話が途切れた事もあり、私はもう一度尋ねることにした。
「マリベルさん。ロズベルさんには会えませんか?」
先程より穏やかに問いかけたからか、これには執事見習いの方が答えを口にした。
「話を聞いて理解したでしょう。彼女の言動は危険性がある。故に我等は彼女にも監視を付けている」
「拘束をしない理由はシオン帝国の秘密を何故知っているのか、探っているから、ですか」
監視役が口を挟んで来たのならこちらも私が相手をしよう。という事で監視の核を突き付ける事にした。一瞬だけ目を細めた相手に一つこちらの手札を見せる事にした。
「魔術師長様にお伝え下さい。タータント国の国王陛下がお身体を心配されていました、と」
私が監視役さんに視線をひたりと留まれば、彼はジッと私の視線を受け止める。少ししてから空気を緩ませると口角をあげた。
「他にお伝えする事が有りますか」
「それでしたら。私は悪役令嬢ではありませんので物事が単純に進むわけじゃ有りません、とロズベルさんに」
「……ふむ。あなたには色々と尋ねたい事が有ります。ですが、今日の所は」
こちらも無理に押し通す気はない。先ずは撒いた餌にかかった事を把握すれば良い。そんなわけで私達はそれを機にお暇した。
昨夜うっかりやけどしまして、痛みが酷くてあまり集中出来ません。ご容赦願います。




