表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
キーマン探しを開始する魔法学園の留学生活。
281/400

2度目。ーーキーマンとなるのは、やはりロズベル様みたいです。・8

いつもお読み頂きましてありがとうございます。


ライルの家名【カッタート】が【タッカート】になっていた、とご指摘下さった方、ありがとうございました。

ドミーが戻って来たところで、ロズベルの話に戻る。……タニアさんに心の裡を指摘されて、ようやく私はヒロインに“様”付けを……過剰に敬う気持ちを抑えた。多分卑屈になっていたのだろうな、と指摘された今なら解る。向こうは、私に割り込む隙は無くて後から現れただけの人間という認識だったと思うけれど。私からすれば正式な婚約者という存在の私から奪った人という認識で。いくら政略で恋だの愛だの無いと頭で理解していたって、思い知らされるのはまた別の問題だった。


だから私は予防していたんだと思う。


ヒロイン・ロズベルを過剰に敬う事で、私に不利益が起きないように。前世とか乙女ゲームとか知らない時は、下手に動いて不興を買わないように。前世を思い出して、ドミーが教えてくれてからは、娼館行きも国外追放も無いように。我が身が可愛かったし、守りたかった。そのためなら無意識に彼女を過剰に敬っただろう。


でも。今の私にはそんな必要は無い。私は、もう怯えない。


「ロズベルさんは、この国にいると伺っています。所在はご存知ですか?」


私が切り出せば、ドミーもタニアさんも驚いてから微笑んでくれた。敬意を払うのは良いけれど過剰になる必要はない、と割り切れた私に気づいたのだろう。


「残念ながら居場所までは把握していない。ただ。俺が声の魔術師として存在しているからか、魔術師のネットワークから噂は聞いている」


「噂?」


「自分はヒロインでヴィジェスト王子と結婚する、と言いふらしている」


ああ、うん。やはり転生者でしたか。しかもなんだか面倒くさいタイプの。ヤダなぁ。関わりたくないなぁ。見つかりませんでしたー。とか言って帰国しちゃダメかな。そんな私の心情を知ってか知らずか、更にタニアさんが追い討ちをかけてくる。


「悪役令嬢・ケイトリンの魔の手からヴィジェスト王子を救えるのは、ヒロインの私しか居ないのに! なんで私がシオン帝国に居るのよ! だそうだ」


やけに具体的な内容。


「えっ、それ本当に噂なんですか? 本人から聞いたんじゃないんですか?」


思わず胡乱な目でタニアさんを見ても仕方ないと思う。


「いや。俺自身じゃなくて、彼女に接触した事がある魔術師からの情報」


しれっと言ってますけど、それ噂じゃないじゃないですか! というか、その人問い詰めればロズベルさんの居場所解るでしょー!


「残念ながら居場所を問い詰める事は出来ないから」


タニアさんが私の考えが理解出来たように釘を刺してくる。私が単純なんじゃなくて、そう思うだろうって事だよね。自分にそう言い聞かせつつ「何故です?」と尋ねる。


「ロズベルが帝国に来た経緯って知ってる?」


「ドナンテル・ノクシオ両殿下経由で、かの国の国王陛下がシオン帝国にロズベルさんの事を頼んだ、と」


「つまり?」


そのちょっと意地悪そうなタニアさんの表情に、私は物凄く嫌な予感に襲われる。


「国同士の密約とかが関係してくる、と?」


まさか、ね。と思いながら恐る恐る尋ねる。


「ご名答」


イタズラが成功したような満面の笑みを浮かべてますけど、正解なんぞしたくなかった。そんなん、滅茶苦茶面倒くさい立ち位置に居るじゃないですか、ロズベルー!


「なんだってそんな面倒な立ち位置……」


私が思わずボヤけば、ドミーがすかさず説明してくれる。


「ロズベルの発言が危険だからだよ」


「危険?」


私からすれば単なるお花畑思考の発言だけど?


「ヴィジェストと結婚して王子妃になる、とかって程度なら妄言で済ませられたんだけど。この世界は乙女ゲームの世界で、私には日本人の記憶があって……なんて発言もまぁ妄言と切り捨てられる。でも、タータント国どころかシオン帝国の内情に詳しかったら?」


「帝国の内情?」


「魔術師は少ない。が、この帝国には魔術師が集っている。そしてシオン帝国皇帝陛下を含む国の中枢が魔術師という事は、帝国でも上位貴族の当主しか知らない」


私だってそんな国家機密、今知りましたよ! というか、絶対喋っちゃダメなやつ! なんで私にバラしたんですか、タニアさんっ!


「もしやロズベルさん、それを知ってる?」


「うん。というかね。君は、あのゲームをプレイしたことが無いから知らないかもしれないけど、1がそこそこ評判良かったから、2。つまり続編を作ったんだ」


「その舞台がまさかシオン帝国とか?」


そんなわけないよね? と一縷の望みをかけながらタニアさんを見れば、とてもイイ笑顔で


「そのまさか、なんだよね」


と爆弾発言。それって、もしかしてもしかしなくても、シオン帝国が魔法大国……つまり魔術師たくさんで、更に帝国の中枢が魔術師だらけって設定にしていた、とか?


何にせよ、またもや発覚した事実に知恵熱出して寝込みたくなった私は絶対悪くない。

アンケートにお答え頂きましてありがとうございます。引き続き実施中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ