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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
キーマン探しを開始する魔法学園の留学生活。
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2度目。ーーキーマンとなるのは、やはりロズベル様みたいです。・3

大変遅くなりました。

課題の提出は大体3日くらい猶予がある。逆を言えば1日では終わらない物ということ。今日はここまで、と区切りを迎えて私はアリシャと女子寮に帰って来た。部屋で別れて室内に入ればデボラに着替えを渡されてさっさと着替える。


「デボラ」


「はい」


「ガリアかアレジを呼んで」


「かしこまりました」


2人じゃなくて良かったんだけどなぁ……。目の前でお菓子を頬張りながら目で話を促す2人に脱力しながら、私はなんとか顔を取り繕った。


「どちらか悪いのだけど、タータントへ戻って調べて欲しい事があるの」


「「タータント?」」


私が急に帰国しろ、と言うから2人は首を捻る。


「ジュスト・ボレノーの身辺調査及びライル・カッタートの身辺調査。そして現在のヴィジェスト殿下の動向」


私が端的に言った途端に2人は影としての任務中の顔付きになる。


「何か有りましたか」


デボラに問われて今日の授業後、ジュストと会話した内容を伝えればデボラが顔を顰めた。


「お嬢様に女性らしさが無いから女性扱いしないのは納得出来るけど」


「納得するな」


デボラも大概失礼だけど、そんな失礼な発言をしても許せるだけの絆が私達にはある。対してジュストと私にはそこまでの絆は育まれていない。だというのに、友人というだけで随分と上から目線だ。まぁそこは性格、と割り切れば構わないのだけど。アレでもジュストは宰相の息子。高位貴族のお坊ちゃん。礼儀を叩き込まれた筈。叩き込まれた礼儀を忘れる程、私に心を許していると考えるべきか。それとも……叩き込まれたフリをしているのか。


後者の場合は、色々背景が考えられる。

先ずは虐待。でもこの可能性は無いと思う。ジュストは大切に育てられた雰囲気がある。その他、ジュスト自身のサボり。だけどこの可能性は低いと思う。何しろジュストは真面目で自分にも他人にも厳しい。そんなジュストがサボるのは有り得ない。他に考えられるのは、教育方針。男女を問わず親しくなったところで、敢えて高圧的な態度に変わる。そうする事で相手方の反応を見る。これが実は可能性が高い。


となれば、タータント国でも、ライル・カッタート様とヴィジェスト殿下に対して、そんな態度を取ったのではないか? と疑念が沸く。そうなると、ヴィジェスト殿下に忠誠を誓う理由になったアレコレとやらも本当に有ったことなのか等、どうにも疑いが膨らむ。


そう考えていくと、ジュストの狙いは一体なんなのか? という疑問にも行き当たる。尤も、こう考えている事の全てがただの勘繰り過ぎかもしれない。だからこそ、どちらかにタータント国まで行ってもらい身辺調査を頼みたかった。


「じゃあ俺行ってきます」


アッサリとガリアが名乗りをあげる。


「ですね。俺とガリアならガリアの方が馬の扱いが上手いのでその分だけ早く帰って来ますよ」


アレジも頷くので、ガリアにタータント国まで行ってもらうことにした。


「帰って来たら、前世の記憶引っ張り出してお菓子作っておくから!」


「おー! お嬢のお菓子! それなら尚更頑張ります。じゃあちょっと行ってきますねー」


まるで畑の野菜を引っこ抜いてくるくらいの気負いの無さでガリアは、スッと居なくなった。本当にウチの影達は優秀だわ。


「じゃあガリアが帰って来る間に俺の方は、アリシャ王女とサヴィとベタルターの3人の身辺を調査しておきますね」


アレジがさらりと言うけれど、「えっ」と言葉を失う。


「お嬢らしくないですねー。あの3人だって身辺調査は必要でしょう。特に男2人の方は。どうにも男2人の行動力といい、聡明さといい、裏があると思ってもおかしくない。年齢等の誤魔化しは簡単ですが、それはない、と断言出来る。だとすれば、育った環境なのか、何か企んでいるのか。ちょっと身辺窺いたいですよね」


全くもってその通りなので、寧ろそこに気づかなかった私は分が悪い。おとなしくアレジの提案に了承するしかなかった。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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