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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
キーマン探しを開始する魔法学園の留学生活。
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2度目。ーーロズベル様探しは難航中です。・6

お読み頂きましてありがとうございます。

「おーい。そこの暴走くーん。周りを良く見ようかー。置いてきぼりになっているからー」


私がドミトラル様からのプロポーズに答えるより前にハスキーな声が割り込んで来て、それによって我に返りました。……皆がいたんだった! 慌ててドミーに下ろしてもらってチラリと視線を向ければ、アリシャは満面の笑みでジュスト・ベタルター・サヴィは生温い視線を向けてきてました。


こういうの、日本人の時に覚えた穴があったら入りたい心境ってやつだよね! 知ってた! 居た堪れないのでドミーから離れようとしたら、背中に回された腕が未だ離れなくて困惑する。見上げれば「悪いけど離す気はないよ」と有無を言わさない笑みで断言された。本能で逆らったらいけない、と判断する。


辺境伯家の者として危機管理を本能レベルで理解出来るような環境で育ったことがこんな所で役立つなんて思いもよらなかった……。大人しくドミーの側から離れずに、そういえば……と思い出す。先程のハスキーな声の持ち主について。


ええと。アリシャは甲高い澄んだ声だし、男3人は声変わりしている人としている途中の2人だけど、さっきまで聞いていたから3人の声じゃない事は分かる。となると……残ったのは1人しか、居ない。


そう。ドミーが私を覚えていてくれた事ですっかり頭から抜け落ちていたけど、ドミーの隣には、ドミーと同い年くらいに見える女性が居て……って、改めて見るとドミーと同じくらいの背丈ね。それにタータント国では未婚の令嬢は喉元まで詰まったドレスを着るので未婚の方なのは分かるけど。ドミーと同い年くらいで未婚の女性って肩身が狭い思いをするのよね。……って事はやっぱりドミーの恋人?


「あの、ドミトラル様。その、こちらの女性は……恋人、ですか?」


覚えていてくれた事に勇気を得て、気になった事を聞けば「はぁ⁉︎」と前回から通しても初めて見る顔面崩壊に近い驚愕の表情を浮かべています。ええと。


「何処をどう見たら恋人、なんて見える⁉︎」


「ええと、だって、腕、組んでたし」


1度目も2度目も見かけた時は腕を組んでたという言葉は呑み込んだ。物凄く嫌そうな顔をしていたから。……これで笑顔だったじゃない。って言ったら、どんな顔になるのか知りたい気もするけど、なんだか怖いからやめておく。


「はぁーっ。全く、一向に、違うから! 俺はあの時からケイティ一筋だから! ちゃんと覚えてただろ? それに、忘れてたってケイティに惚れる自信がある。あと、ケイティが忘れていても俺は結婚するつもりだったから」


物凄く恥ずかしい事を言われているので、私の顔が熱い。でも、そう言っているドミトラル様の顔も真っ赤で。嘘では無さそうです。じゃあこの女性は?


「ドミー。いい加減、きちんと紹介してくれないか」


またもやハスキーな声で女性が言う。というか、なんだろう。違和感が……


「そんな格好してるからケイティに変な疑惑を持たれるんだ! しかも、俺が嫌がっているのを解ってるくせに笑顔を強制した上で無理やり腕を組むから、こんな誤解されたんだ……。後で覚えておけよ、このバカ兄!」


「「「「「兄⁉︎」」」」」


ドミーと女性のやり取りに、私だけでなくアリシャ・ジュスト・ベタルター・サヴィも置いてきぼり感半端無かったけど、ドミーの最後の一言に、異口同音で声を上げてしまった。私達、仲良しです! いやいやそうじゃない。えっ? 兄? へ? ど、ど、どういうこと?


「ケイティ。こんな姿だけど、タータント国のレード男爵家の次男。俺の2番目の兄だから」


「兄……」


鸚鵡返しに呟いて、マジマジとその人を見る。だいぶハスキーな声。だいぶ高い背丈。それでもそんな女性が居る事は知っているから何にも疑ってなかった。だけど。喉元まで詰められたドレスの首元を、ちょっとニヤリと笑ったその人が私の手を掴んで喉元を触るように促される。女性には無い喉仏の出具合は……


「だんせい……」


にしか、思えませんでした。えっ。本当に男性? という事は女装をされている? だって綺麗な金色の髪が……もしや鬘⁉︎ で、でもあまりにも美しくて本物みたいなんですけど、えっ⁉︎


「髪の毛は地毛だよー。ドミーと髪の色が違うのは、俺が母方の祖母そっくりだから」


私の疑問に気付いたように、その方はニッと笑って言ってくる。そんな言い方をして俺という一人称を聞くと、完全に男性です。姿は女性そのもので、こういってはなんですが、ドミーのお兄さんだけあって顔立ちは整っているし、所謂女顔という感じで妙齢の美女にしか見えないんです。だけど、口調とか、ちょっとした仕草を見ると男性にしか見えない不思議……。


なんとなく、だけど。この人は自分という人間の見せ方を知っているような気がしました。頭の良い方のようです。


「疑惑が解明されたところで、ケイティは何故ここに? シオン帝国にいる理由はなんとなく解ったけど、その辺の確認もしたい。後、そっちのケイティの友人達にもちょっと尋ねたい事があるんだよね」


ドミーが真顔で矢継ぎ早に質問をしてきました。……まぁそうだよね。私もドミーが何故シオン帝国にいるのか知りたい。

予告通りコメント欄は閉じました。次に開けるのは300話向けのアンケート時だと思います。


少しずつ2度目の人生の核心へと進んでいます。……かなり遅いペースですが。もっと早い予定でした……。

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