2度目。ーーロズベル様探しは難航中です。・3
いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。
「ヒロ……イン? なんだそれは」
そういえば、ジュストにも私の前世の話はしてなかったなぁ……。首を傾げるジュストを見つつ、さてどうしたものか、とは思ったけれど。此処は知らないフリを通そう。
「何かの単語でしょうけど、分からないわ。サヴィが言うその令嬢がロズベル様かどうか、確認してみましょう」
「それもそうだな。サヴィ、何処でその令嬢を見かけたか、その話を教えてくれた相手に連絡は取れないか?」
「それは構わないよ。さっきの子達の中に居るし。連れて来よう」
向こうの方でウフフと和やかにはしゃいでいる女生徒達の1人に声をかけたサヴィが、少ししてその人を連れて来た。
「あの、サヴィ君から聞いたけれど、ちょっと変わったあの子を探してるって?」
ちょっと変わった……。まぁ確かにそんな発言をしていたら変わってると評してもおかしくない、か。
「そうなの。はじめまして。セイスルートと申しますわ」
敢えて名前は名乗らなかった。そこまで親しい付き合いになるとは思わなかったから。私が名乗った後に名乗った彼女の言によると。
「私は淑女科に所属しているの。で。サヴィ君より2歳上だから、まぁ彼女と同級生なのは解るでしょ? 彼女がシオン帝国に来たのは、2年前。ちょうどあなた達やサヴィ君と同い年の頃だったわ。なんでも留学生として入学したという話だったけれど。とてもそんな優秀な子に見えなくて。それでも仲良くなろうと声をかけたら……」
どうもロズベル様は次のような事を言っていたらしい。
「私はヴィジェスト殿下の恋人なのよ! なのに馴れ馴れしく話しかけないで!」
と叫んだらしい。……それ、更にマズイヤツ。ヴィジェスト殿下の名前出しちゃったら、ヴィジェスト殿下……ひいてはタータント国に迷惑かけまくりの状態じゃない……
えー。ちょっと待って……。ロズベル様ってそんな常識知らずな方だったの⁉︎ 前回、全く関わってないならそんなお花畑思考の持ち主だなんて知らないんですけどー⁉︎
「まぁそんな人だったから私だけじゃなくて皆から直ぐに距離をおかれていたわ。その頃には学園を通じて、実は精神的にちょっと不安定な子ということで話をもらったの。だから可哀想だと同情はしたけどね。仲良しではなかったわよ。それから直ぐに彼女、学園を退学しているし」
「辞めた⁉︎」
退学、という言葉に私は驚く。驚かれた相手も目を丸くしながら「ええ」と肯定した。辞めたのなら、そりゃ学園内を(クルスたち影が)探しても無駄なわけだ。
「彼女、お母様が迎えに来られて、退学していったわ。それから会ってないから分からないけど」
退学した時期を尋ねれば、去年の話だ、と教えてもらった。礼を述べてからジュストと顔を見合わせる。
「マズイな」
「そうね。タータント国内だってそんな目立つ言動を取っていたら色々批判が出ておかしくないのに」
「ああ。他国で異様な言動を取っている上にヴィジェスト殿下の名前を出している。ヴィジェスト殿下とタータント国の評価を下げているようなものだ」
「そこよね。何故、そんな……自分だけでなくヴィジェスト殿下をも貶めるような発言をしているのかしら」
「全く理解出来ないな」
困ったが取り敢えず学園内に居ないことは確定した。けれどそうなると逆にどこを探せばいいのやら。それに気になることを言っていた。
「そうね。それにまだ不可解な事があるわ」
私が考え込めばジュストが「なんだ」と問いかけてくる。
「ロズベル様のお母様の存在よ。あの方、隣国での生活では母親らしい女性が側にいるとは思えなかったのよね。もちろん確認したわけじゃないから、隣国にいた時も一緒だったかもしれないけどね」
「……確かに不可解だな。まぁ探し出せば解るだろう」
ジュストは溜め息をついて気持ちを切り替えるようにロズベル様探しを改めて取り組もうと思っているようだった。私も同じ。それならば私は黙って話を聞いてくれていた3人に、尋ねる事にした。
「ね。3人に聞きたいんだけど。この広いシオン帝国で宛てもなく、闇雲に人を探すのは難しいと思うの。3人なら、何処から探すと効率的だと思う? ちなみに話を聞いて理解してもらったと思うけれどちょっと変わった令嬢と母親の2人で、このシオン帝国に詳しくない場合」
私の質問に3人は直ぐに理解してくれた。そして先ずは「帝都」というのが3人の答えだった。まぁそうよね。土地勘が無い国なんだもの。先ずは国の中心地から探すべきだよね。
前後編で終わる短編作品【「真実の愛」って言葉は、一番嫌いですわ。】を執筆・公開しました。異世界恋愛ランキング39位に入っていた感謝を込めて後程オマケを追加しようと思っています。
お目を通して頂いた方がいらっしゃいましたら、宜しければオマケにもお目通し願います。




