2度目。ーーロズベル様探しは難航中です。・2
お待たせしました。すみません。
「何処から手を付ける?」
授業が終わり外でランチをしながら話し合おうと、前世で言う所の軽食を取り扱っているランチ店に入る。所謂サンドウィッチ・パスタ・スープサラダセット的な感じのお店で、4人がけの席に案内されて座った所でジュストが切り出した。
「注文してからにしましょ」
ジュストが焦るので私は敢えて答えないでそう促す。私とアリシャがサンドウィッチ。ジュストとベタルターはパスタとスープサラダセットを注文した。それからそれぞれストレートティーやミルクティー等を注文して、飲み物が置かれた所で先ずは協力してくれる2人に探し人について、話そうと考えた。
「探している人について、なんだけど」
私が切り出した所で「あれ?」という声が聞こえて来た。視線を向けて目を瞬かせる。
「あら。サヴィ」
どうやら女性の友人数名と此処に来たらしい。
「課題、出てたっけ?」
「ううん。課題のことじゃないわ」
サヴィが首を傾げて確認するので、私が否定する。
「えっ? じゃあ暇なの? 俺達と遊ぶ?」
「ううん、人探しの件で」
「ああ、課題の初日で話してた?」
「そう。2人が手伝ってくれるって言うから」
「えっ? じゃあ俺も手伝うよ。いつも一緒に課題に取り組んでいる仲だしね」
「でも、彼女達、いいの?」
「皆、ごめんね。また今度遊ぼう」
えー。とか、そんな。とか、女の子達から声が上がるけど、此処の支払いを持つよ、とサヴィが言ったら黙って引き下がった。うん。サヴィは女性の扱いを知ってるわね。確か、彼の家は騎士の家柄よね……。セイスルート家の騎士を普段見慣れているからかしら、なんだか性格は暑苦しい上に軽薄に見えるのよね。偏見は良くないって解っているけれど……。
まあ人手は助かるから、私は改めて人探しの話を始めた。ちなみにサヴィは、隣の席から空いている椅子を持って来て座ってる。
「タータント国の子爵家の令嬢でね。名前はロズベル様。ヴィジェスト殿下とは乳兄弟に当たるのよ。それで何故なのか、私も理由は知らないのだけど。乳母の役目を終えたロズベル様のお母様が下がった後。ロズベル様はどうやらお一人で隣国にいたようなの」
「隣国ってドナンテル殿下がいらっしゃる国ですの?」
食い気味にアリシャから尋ねられて私は首肯する。
「ただ。隣国の学園に通っていたのは判明していたのだけど、結局会えず仕舞い。詳しくは知らないけれど、どうやらこのシオン帝国に隣国から来ていた、ということまでは知っているわ」
年齢は私の2歳上である事も添えておく。彼女を探す理由はヴィジェスト殿下の命だから、という魔法の合言葉で曖昧にした。
「そして、ここからがちょっとした伝手によって聞いた話ですが。学園内にはロズベルという名の女性はいらっしゃらない事。それと身元の怪しい令息・令嬢が何名か居るようだ、ということ、は解っておりますわ」
私の情報開示は以上だ、と言ったところで、皆の食事が届く。(サヴィは後からの注文だからまだ先ですけど)取り敢えず食べましょう、と勧めていた所で、サヴィが「うーん」と首を捻った。
「どうかした?」
私が問えば「んー」と返事を濁しながらもサヴィが応えてくれる。
「実はね、その令嬢のことを知っているかもしれない」
いきなりのヒットに私とジュストが目を合わせてから、意気込んで続きをねだる。
「「詳しく教えて」」
「俺の家・カリオン家は爵位こそ低いもののシオン帝国ではそれなりに有名で敬意を持って接してもらえる家なんだ。で。そういう家だからね、声を掛けて来る家を蔑ろにも出来ない。それが高位貴族のご令息・ご令嬢だと尚更で。こっちから無碍には出来ない。特に高位貴族には。それでまぁこうやってご令息・ご令嬢と親しくさせてもらっているんだけどね。付き合いはきちんとしておかないと色々マズイから。後ろ盾みたいな意味も有るし」
ああ、彼がしょっちゅう色々な方達と親しくする意味が分かった。
「それで。その人達から聞いた話なんだけど。どうやらその令嬢……ロズベル、だっけ? ……彼女は奇妙な事ばかり言っていたらしい」
「奇妙な事?」
「うん……、私はヒロインなのに、なんで誰も居ないの⁉︎ って」
わぁ! そっちの人でしたかー。そりゃ奇妙な事を言う人だ、と納得した。ロズベル様は転生者で尚且つお花畑思考の人だったか!
これは……ある意味タータント国の恥晒しではないのでしょうか。マズイですね……。
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