2度目。ーーロズベル様探しは難航中です。・1
新章ですが年齢は変わりません。
課題と授業をこなして魔法学園での留学生活もなんとか2ヶ月が過ぎて落ち着いてペースを掴めた私とジュスト。いよいよ本格的にロズベル様探しに本腰を入れる事にしました。と言ってもクルス・ガリア・アレジの3人に学園内にロズベル様が居るかどうかは探ってもらっていたんですよ? タータントでは珍しい髪色をしていたけど、所変われば……というやつで、シオン帝国ではロズベル様の髪色はそれほど珍しくないので、顔を知らない3人は探し難かったみたいだけど。
それでも判った事は。
1:ロズベルという名の女生徒は居ない。
2:偽名を使用している可能性が高い人物が男女を問わずに数名居る。(これは学園側も現在身上調査中のようなので、敢えて調べていない)
という事だった。隣国でもシオン帝国に来てからもロズベル様らしき女性を探していたけれど。今のところ影も形も見当たらない。私より2歳年上で2度目の人生を送っているらしいロズベル様。でも顔は変わらないと思うんだけどなぁ。どういうことかな。
「ケイトリン、課題は終わったわけだしお茶をしに行かない?」
「アリシャ。うーん。ちょっと人探しをしたいのよね」
最初の課題から、私とアリシャは仲を深めて今ではお互いを呼び捨てにしていた。アリシャはドナンテル殿下と仲を深めているようで、手紙のやり取りをしているようだ。最近頬を染めている所を見れば、多分アリシャはドナンテル殿下に恋をしているのだと思う。
「人探し……ああ、最初の課題の時に言ってた?」
「そう」
本当に文官科は課題が多くて実は学園の授業が休みの日でもロズベル様探しは難航していた。何しろ時間が無い。グループ課題も有れば個別課題もあって、2ヶ月はあっという間だった。ようやくペースが掴めた所。ちなみにグループ課題は、私・アリシャ・ジュスト・サヴィ・ベタルターの5人で固定されている。カリオン君・ゼフォル君と呼んでいたけど、友人なんだから……という事で名前呼びが決定された。
「私も手伝おうか?」
「気持ちは嬉しいんだけど。その人を探す理由を聞かないなら……」
「話したくない事なのね?」
「というか……私だけじゃなくてタータント国の第二王子・ヴィジェスト殿下の秘密にも関わって来るの。ドナンテル殿下とノクシオ殿下には話してあるけど。それは2人がヴィジェスト殿下と関わりが有るから。でもアリシャは身分上はヴィジェスト殿下と似たような立場だけど、関わりはないでしょう?」
「そうね。お会いした事はないし、個人的な関わりは無いわ。タータントとボターナで国交は有るけれど深い付き合いではないし。そっか。深い付き合いがないと話せない事なのね?」
「ごめんね」
「ううん。国に関する機密事項を話せない、とか、それが王族に関する事なら尚話せないのは解るわ」
「それはこちらも助かる」
私とアリシャのやり取りにジュストが割って入ってきた。
「聞いてた?」
「ああ。アリシャの気持ちは有り難いけど、理由は簡単に説明出来ないからな。それでも良いなら人手は欲しい。手伝ってもらおう」
「じゃあ俺も協力するよ」
ジュストの隣でベタルターが言う。ベタルターの穏やかな気性はジュストも落ち着くようだ。反対にサヴィとジュストはあまり合わない。多分サヴィが暑苦しいタイプだから。
「ベタルター、ありがとう。事情も説明出来ないのに」
「立場的に仕方ないだろう。ケイトリンは辺境伯の娘なんだろう? 国に忠誠を誓って当然だ」
「あら、ベタルター。違うわよ? セイスルート家は、現タータント王家が国の頂点に位置するよりも前から存在している家であるんだけど、その時からセイスルート家はタータント王家に忠誠は誓っていない。監視役みたいなものね。王家が国と民をきちんと守っていけるか、ウチは見守っているの。だから国と民を守るのがセイスルート家の役目」
「王家に忠誠を誓っていない、なんて謀反を疑われないのか?」
「だからこそ、二心を疑われないように多少の王家の命には従っているのよ」
「それがこの人探し?」
「そうね。彼女を探す理由は、私自身にもあるけれど第二王子命令とも言えるわね」
私の話にベタルターは頷いて、アリシャ共々事情は聞かないけれど協力をしてくれる事になった。サヴィは結構あちこちフラフラするから、グループで課題をやる時以外はあまり行動を共にしない。サヴィはこの組だけでなく他の組や他の科にも友人が沢山居る。
多分そういうところもオカタイ性質のジュストと合わないんじゃないかなぁ……と思ってる。悪い人間ではないとは思うんだけど。軽薄に見えるのかもね。
やっと2度目の人生のキーマン探しに移ります。




