2度目。ーー早速授業が始まります。外国語の。・1
前話の更新を若干訂正しました。
遅くなりました。
授業が早速始まります。先程のジュストの謝罪は、ジュスト個人のものなのか。それとも……ヴィジェスト殿下が謝る事が出来ない代わりなのか。黙って受け取ったけれど考えてしまいます。多分、両方、なのでしょうが。ヴィジェスト殿下との約束ーー筆頭婚約者候補者の期限の件ーーを反故にされている現状。それを側近としてきちんと理解しているジュスト。だからこその謝罪なのでしょうが。もちろん王族が簡単に頭を下げられないからこそ、ヴィジェスト殿下の代わりにジュストが謝罪をしてきたのは何となく解ります。でも。
約束を反故にしたのは彼方なのに。何故私がそれを受け入れないといけないのか。王家に忠誠を誓っていないからこそ、余計な争いを生まない為に謝罪を受け取りましたけど。私個人としてなら……巫山戯るな、としか言えない。私個人を全無視している今の状況はただただ口惜しいのです。言わないだけで。
いえ、もう謝罪を受け取ってしまったのです。気持ちを切り替えましょう。帝国語は1度目の人生で勉強しましたから(きちんとシオン帝国に3年滞在していた外交官の夫人を招いた本格的なものです)だいぶ理解出来ます。尤も日常会話が出来る程度なので、外交官として生きるなら専門用語を中心的に覚える必要がありますが、この授業では帝国語で挨拶から始まり日常会話が交わせるレベルまで、のようです。
意外と発音が難しいので帝国で生まれ育った国民の方でも帝都から離れた地方では、アクセントがおかしな所で付いている事もあります。前世で言う方言で喋る方も居れば、アナウンサーが良くアクセント辞典をで正しいアクセントを学ぶような方も居らっしゃるようで、帝国生まれ帝国育ちの方でも、四苦八苦しているようです。
教科書は単語にアクセントを付けたものを音読……みたいなタイプではなく、帝国語で書かれた簡単な物語を音読していく感じで先ずは勉強します。分かりやすく前世での勉強方法と比べて言えば、くも、あめ、かさ……的な単語を読むのではなく、日本昔話を音読するようなものですね。更にはノートに英訳した日本昔話を書くようなものです。
この場合は、シオン帝国語で書かれた文章を帝国の学生も他国の学生も世界共通語で書き直せって感じです。前世では英語が主流の国が多かったので英語が世界共通語でしたけど、こちらの世界では帝国語ではないんですよね。共通語をわざわざ作ったわけでもなくて。200〜300年くらい前まで存在していた今は無い大国の言葉がそのまま共通語として残っているんです。
その大国はシオン帝国に滅ぼされてしまったので、帝国語が主流になっても良かったのですけど、大国の言語に慣れていた者達からは帝国語はかなり難しくて覚え難かったために言葉だけが残ったわけですね。シオン帝国初代皇帝モリールもその辺は大雑把だったらしく、別に帝国語が主流じゃなくてもいいだろう、と判断したとかで大国で使用していた言語がそのまま世界共通語になっています。
世界共通語もまぁ1度目の人生で勉強しましたけど、帝国語よりもよっぽど覚え易いですからね。教科書の文章を共通語に直せ、なんてかなり楽ですよ。ちなみに基本的に自力でやるものですが解らない単語等については、辞書を使用したり周囲に聞いたりする事もオッケーなんですよ。教師に尋ねるだけじゃないのは、こちらの世界の勉強の教え方として、暗記よりも思考力を高めることを重点的に置いているからでしょうか。
ただ詰め込んで試験で良い点数を取るだけの勉強じゃなく、実践でどれだけ自分に身に付いているのかを知っていく、という感じです。ある意味暗記しとけば良い点数を取るよりも身に付いているかいないかを実践していくこちらの世界の勉強方法の方がスパルタじゃないかな、と思ってもいます。
お読み頂きましてありがとうございました。




