2度目。ーー前世で言う所のオリエンテーションです。・2
大変遅くなりました。
そんなわけで翌朝ジュストに直撃です。何しろ後ろの席ですからね。
「おはようジュスト」
「おはよう」
「ねぇ。私がヴィジェスト殿下の筆頭婚約者候補者の座から降りられない理由って何?」
「は?」
朝からなんだ? という顔をするジュストに淡々とヴィジェスト殿下からの手紙の件を教えました。ジュストは「あー」と言ったきり暫く無言で頭を抱えています。
「なに?」
「んー。簡単な話で。ヴィジェスト殿下の興味を惹く令嬢がいなかった」
「えっ? それだけ? それだけで私は未だ筆頭なの⁉︎」
「後はまぁ政治的な絡みだな。例のヴィジェスト殿下が苦手な侯爵令嬢サマが居なくなって、ケイトリンが身分上は一番だ」
「そうね」
「そのケイトリンが筆頭の座に居るのが解っているのに下手に動けない」
あー。そうかぁそういう事かぁ。要するにセイスルート家は王家に忠誠こそ誓っていないものの、現在のタータント王家より旧い家であるのは確かで。王家よりもその気になれば国を統治出来てしまう。……お父様は脳筋ではあるもののカリスマ性はそれなりに有りますからねぇ。簒奪も有り得ないことでは……。
そう考えると成る程私を押し退けられる程の人はいない、でしょうね。うーん。これはやはり早急にロズベル様を探し出す必要があります。ロズベル様にヴィジェスト殿下の元へ戻ってもらい、私の契約を無しにしてもらわなければ。
「うん。分かった。ロズベル様を早急に見つけよう。そしてヴィジェスト殿下の婚約者になって頂こう」
「ちょっと待て」
私の完璧(?)な計画にジュストが突っ込む。なんでよ。
「なに?」
「どうしてロズベル嬢とやらを君の代わりにしようとする? 前回、彼女はヴィジェスト殿下と相思相愛だったことは認めよう。だが。何故2度目も互いが思い合っている、と思っている?」
「何故って……。そうとしか思えないから?」
私の発言に驚くジュストに、私は淡々と答えた。思いの外私自身は冷静だった。
「そう。としか?」
私の反応にジュストが不思議そうだが、それ以上は何も言わなかった。
「……あまりこういったことは得意ではないのですが」
ジュストが改めて私に謝罪をするので。私はただ黙って謝罪をヴィジェスト殿下の代わりに受け取ることにしました。
お読み頂きまして、ありがとうございました。
かなり短めで、すみません。




