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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
3年目の学園生活は留学の留学からスタートです。
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2度目。ーー新たな留学先は通称魔法学園と呼ばれています。・14

お待たせしました。ようやく登場です。

翌日朝食を摂って早々に私とジュストはお迎えに来てくれたバレンザさんと共に案内をしてもらう事になりました。シオン帝国の帝都である此処モリールですが。魔法大国であるシオン帝国の活気に満ち溢れた部分が強調されるわけでなく、自然に解ってしまいます。それは人々の表情を見れば一目瞭然。前世の記憶で紛争地帯の人々の顔をテレビで見た時。彼等は必死で生きていました。生きる事に精一杯の表情で……それは裏を返せば、常に死と隣り合わせだったのではないでしょうか。


こう考えられるのは、私がケイトリンとして2度目の人生を過ごすなかで培った経験が元になっています。何しろ生死の境目を無理やり身体に叩き込まれるようなものですからね、辺境伯家の訓練って……。1度目じゃ考えられない程、死を間近に捉える日々ですよ、2度目は。


そして、前世のテレビで見た記憶の彼等は必死で生きる事に精一杯の目をしていたんです。裏を返せば死と隣り合わせだという事も知らず、そしてそれは生きる希望を失っているようなもの、という事を前世の私は知らなかった。想像すら出来てなかった。でもケイトリンの人生を送っている今なら想像が出来た。


そしてその人達の顔が分かるからこそ。明るく元気な表情で前を向くシオン帝国の人達が活気溢れた国だと教えてくれています。これは国自体が平和なのもそうでしょうが帝国を治める皇帝が良い方とも言えるのでしょうね。


「どうかしたかしら? セイスルートさん」


「バレンザさん。どうぞ、ケイトリンとお呼びして下さい。……帝国は平和で尚且つ現皇帝陛下は良き治政者なのだろう、と」


「あら何故?」


「この国の人々の顔です。……中には険しい表情の方もいらっしゃるけれど、概ね明るく元気な表情です。シオン帝国が良い国の現れでしょう?」


「さすが、留学生ですね。ケイトリンさん。そういった事に気付けるというのは大切だと思いますよ」


朗らかに笑ってバレンザさんが、「では、先ずは打ち合わせ通り学園へ向かいましょう」と促してくれたので、歩き出す。私達が通う学園は正式名称をシオン帝国第三代皇帝ページル学園魔術研究学園と言うそうです。最後の魔術研究学園は何となく分かりますが……何故に皇帝陛下の名前が入っているのでしょう?


という私の疑問にバレンザさんは苦笑して教えて下さいました。どうやら第三代皇帝・ページル陛下は、文献に拠れば自分を自分で讃える事、他人から讃えられる事が何より大好きな方だったようです。幸いにもそのために帝国を良く治めるのも頑張れる人だったので、ページル陛下が廃されるとかは無かったようですが。……所謂ナルシストだったんですかね? まぁそのために帝国を良く治めていたなら文句は言えないですよね。


学園設立もどうやら讃えてもらうため、という動機だったようで……そのために学園設立ってアレだけど、まぁ結果的に多くの学生が学んだわけで、おまけに少ないとはいえ魔法が使える魔術師の学び場があるというのは、良いことだし。結果オーケーってヤツですかね。


でもまぁ通っている学生からすると、設立した皇帝とはいえページル陛下の名前のある正式名称は“ちょっとな……”という気持ちのようで。通称魔法学園の方がまだマシという事で、どこの学園出身ですか? と尋ねられたら魔法学園です、と答えるのが主流だそうです。後年の人々には名前を呼んで讃えてもらっていない事、ページル陛下はあの世でどう思っているんでしょうね。


そんな話を苦笑しつつ教えてくれるバレンザさんの案内で、ジュストと私は学園までの道を覚えます。なんでもページル陛下の考えで、学園は徒歩で入学し、寮生活を送るように、なのだそうです。……いや、なんで? 寮生活は遠い所から来る学生のために、とか理由は解るけど、入学時は徒歩で、という拘りが解らない……。


「学園の場所が問題なの。帝都にあるのよ? 馬車で正門まで行ったら通行の邪魔になってしまうわ。設立当時には学園までの道は主要だったから余計よね」


そりゃあ確かに馬車は無理ですね。徒歩推奨になるわけです。そんな事を聞いていたら見えて来ました。大きな門です。


「あれが学園の正門よ」


坂道を登るのが大変ですけど、何となく正門が見えると着いた! という気持ちになりますね。でも正門をくぐってからまだ歩くようです。正門に到着してからその先を見れば、結構な距離の向こうに学舎が見えました。……有るな、距離。


取り敢えず場所は覚えましたから、今度は学生達に人気の店がある通りを紹介してくれる、とのことで、正門から坂道を降りながら来た時は真っ直ぐに登って来ましたが、途中で右に曲がります。この通りが寮生活を送る学生の憩いの場だそうです。学園で使用している物があるお店があったり、お茶が出来る店があったり、本屋があったりするそうです。


その通りを説明されながら歩いていた、私の視線の先に。


ーーあれほど会いたい、いえ、会わない方がいい、やっぱり会いたい! と願っていたドミトラル様がいました。……但し、女性に腕を組まれていて、それもドミトラル様は笑顔を女性に向けてました……。

お読み頂きまして、ありがとうございました。


彼の登場、長かったですね……。こういう再登場なのは決めていたのですが、もし、モヤモヤする! という方がいらっしゃいましたら、一昨日の活動報告のコメント欄を空けておきますのでご自由にモヤモヤを吐き出して下さいませ。


居なければ別にいいんだけど、1人でも吐き出したい! と思う方がいらっしゃいましたらご利用下さい。尚、夏月は一切返答しませんので悪しからず……

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