2度目。ーー新たな留学先は通称魔法学園と呼ばれています。・13
すみません、予約投稿の日にちを間違えました。
入国を果たした私達は、寮に入るまでは宿に泊まる事にした。その宿の受付の方にバレンザさんへの連絡を頼めば良い。連絡の取り方は手紙に記されていた。
「指定された宿があって。そこならば寮長さんへの連絡も取れるみたいなんだけど」
「それなら、その宿へ行くか」
シオン帝国の文字で書かれている店名を2人で見て行く。ちなみにこの間に私とジュストを運んでくれた馬車は、帝国の馬車停まりを教えてもらい、そこへ置いて来ている。私達に付いている侍女や護衛達も宿を見つけたら御者を迎えに行ってもらう予定だ。……尤もウチは影3人が交代で御者をしていたから、その気になれば向こうで探して来るだろうけど、ジュストの所の御者はきちんとした(?)御者だからね。迎えに行かないと、分からないよね。
「あ。有った。“子犬のゆりかご”。此処が指定された宿だわ」
シオン帝国の公用語を使った文字に書かれていた店名を読むと、ジュストが「じゃあ入るか」と率先して入る。何故に先? まぁいいか、と後から入ればジュストは店内を見回してから受付へと向かった。……もしかして、宿の雰囲気や危険性を確認していたのかしら。
ジュストが受付にいた女性と会話しているところへ私も向かえば、既に了承しているかのような顔を受付の女性は見せて来た。
「ああ、あなた方がバレンザさんから聞いていた留学生さんですね。私、彼女の後輩なんです。話は聞いていますので、部屋にご案内しますね。もちろん、バレンザさんにも連絡を取りますから安心して下さい」
つまり、この方も魔術師さんという事ですか。魔術師は少ないから年齢に差があっても付き合いは有るようです。では連絡をお願いして、私達は御者を迎えに行く者を見送って部屋に入る事にしました。宿の最上階である3階みたいです。階段を上がりきると、階段が真ん中で左右に廊下。その廊下を挟むように部屋があります。私と影3人とデボラは階段の右側の廊下。一番奥が廊下を挟んだ両脇の2つとも、5人部屋のようで、そこにするか尋ねられたので、2人と3人で分けてもらう事にしました。ということで奥の1つ手前の廊下を真ん中にした場合の左側が私とデボラ。相向かいになる3人部屋にクルス達と割り振ってもらいました。
で。
ジュスト達は階段を真ん中にした場合の左側。廊下を真ん中にした場合の左右1番奥の5人部屋を両方使用と、侍女さん用に1部屋。計3部屋と決定しました。ジュストと侍従1人護衛2人が同じ部屋を使用して、他の侍従と護衛と御者が同じ部屋だそうです。まぁ普通の貴族令息ならば当然なのかもしれませんね。
私が変わっているわけじゃない。断じて違う。……多分。
1時間後に受付集合という事で、割り振られた部屋でのんびりしながら荷物を解いたり窓を開けて景色を眺めたり。時間を待ちました。受付に行けばジュストは既に来ていて、受付の方と話しています。私は宿の入り口を見ていると、寮長さん……バレンザさんが入って来ました。
「セイスルートさんっ!」
私の顔を見るなり駆け寄って来てハグです。わぁお。熱烈な歓迎をありがとうございます。私も「お久しぶりです、バレンザさん」と言いながらハグに応える。益々バレンザさんに力が入るので、少しだけ離れて顔を覗き込めば、気付いたようにバレンザさんが離れました。
「改めて。お久しぶりね、セイスルートさん。良くシオン帝国へいらっしゃいました」
ニコッと笑うバレンザさんは、やっぱり隣国の学園生活を送っていた時に、女子寮で見送って、迎えてくれた寮長さんの笑顔のままでした。
「ありがとうございます。バレンザさん。隣国の学園生活を送っている時は、女子寮の寮長さんにシオン帝国で再び会える事になるなんて想像もしていませんでした」
「それは私もです」
お互い笑い合って、それから私はバレンザさんとジュストの紹介をしました。バレンザさんは「ああ、もう1人の留学生さんですね」とにこやかに挨拶。ジュストも、さすが宰相令息。貴族令息の顔を貼り付けて爽やかに挨拶していました。お互いの挨拶が終わったところで、今日はこの宿で夕食を取りながら明日以降の事を話し合う事にしました。
入国手続きに結構時間がかかって、その後の宿探しに手間取ったので昼食を摂らずに現在夕方なので、早めの夕食ながら昼食を摂っていない私達には助かる提案でした。シオン帝国は、魚介が有名な国でもありますから、宿も魚介類豊富なメニューのようで。私達はバレンザさんお勧めのメニューで夕食を頂く事にしました。
魚介は、日本人の記憶を持つ私としては、焼き鮭やぶりの照り焼きのイメージだったんですけど、どちらかと言えば、アクアパッツァとかパエリア系でした。美味しかったですけどね。
いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。
昨日短編作品を公開しました。気になる方は、よろしくお願いします。




