表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
3年目の学園生活は留学の留学からスタートです。
232/400

2度目。ーー新たな留学先は通称魔法学園と呼ばれています。・8

昼食の時間も休憩の時間も限られています。なるべく早くに到着したいですものね。長く馬車に乗り続けるのは苦痛ですもの。まぁ休憩の度に身体を伸ばすなど工夫はしておりますけれど。


さて。本日6日目。宿には今のところ泊まれています。というか宿に泊まれるようになるべく急いで走らせていますからね。ということで必然的にジュストと話をする時間は取れず、寧ろ朝食も昼食も夕食もほぼ旅程の打ち合わせ状態です。特にジュストがそれでお終い。


いやぁ……あの細さになんとなく解っていましたが、やはり体力がないんですよ。だから宿に到着すると、翌日の出立時刻を確認しつつ夕食を摂ったら即部屋に消えてます。宿が同じ場合は、ですね。別の時は出立時刻を聞いたら「じゃあ」と消えます。疲労してますって顔ですから、こちらも早々に宿に下がりますよね。


同じ宿の場合は出立時刻に合わせて朝食を摂るので朝食も一緒ですが、殆ど疲れが取れてないような顔で食べているので、話なんて気が引けます。宿が別だと落ち合う場所にギリギリで来る感じですね。昼食なんてきちんとした食堂で食べられたのは1日目だけで、後は携帯食ですから。携帯食は宿で作ってくれる事も有りますが、大概は自分達で持参するものです。干し飯とか干し飯とか干し飯とか。……あまり美味しくないんですよね。だから、私が作る事もありますけど。所謂サンドウィッチですね。


ところで……2日目の夜から常にこんな感じで疲れているんですよね。大丈夫ですかね、ジュストは。特に今日からは宿に到着するまで道端で休憩(昼食込み)していくだけだから、疲労は更に蓄積されると思うんですよね。体調不良にならなければいいけど。


そう考えていたのが悪かったんですかねぇ。私の思考は完全にフラグでしたよ。ジュストは綺麗に回収してくれました。……ええ、昼食時に熱を出して倒れましたよ。一刻も早く次の宿に到着せねばなりません。ジュスト付きの侍女と侍従に馬車内で介抱してもらい、うちの馬車の御者であるクルスに一晩ではなく二晩泊まれるように交渉するよう、先に行かせました。


うちの馬車の御者はデボラに交代です。ウチの使用人は全員馬車を難なく操りますよ。万能ですよね! 私も覚えたいなって思ったら、使用人一同から「お嬢様は我々の仕事を奪う気ですか!」と一喝されたのは良い思い出です。なんでもやれるのは良いことだと思いますが、確かに私が全てやってしまうのは、ある意味使用人の仕事を奪うのと同じですね。反省したので、御者は出来ないままでいようと思い、未だに馬車は操れません。


さて。私達が宿に到着した時には、ジュストは既に意識朦朧。ジュストの侍従と護衛が即座に部屋へ連れて行き、侍女が看病する事でしょう。無論、ウチの出来る影・クルスは2日どころか余裕を見て3日宿泊出来るように交渉してました。元より時期的なもので旅人はあまりおらず空きがあるから寧ろ歓迎だそうです。お祭りの時期なんかだと空きが無いそうなので、良かったというべきですかね。


そんなわけでジュストの体調が良くなるまで、この宿で足留めですね。疲れもあるのでしょうし、痩せてるから体力も無いのでしょうし、後は慣れない環境に身体が追いつかなかったのでしょうね。……こういう時ってお腹も空かないでしょうし。けれど、食べる事で治そうという気力も湧きますよね。


侍女と侍従と護衛も交代で食事を取ったら休憩を取ったりしたいはずです。夕食を終えた私はデボラと共にジュストの様子を見るついでに、ジュスト付きの供に食事や休憩を取らせます。


で。ジュストの方は宿の台所を借りてリンゴに似た果物を擦り下ろした物を食べさせました。殆ど意識が無いので、声をかけて意識させながらスプーンで口に運びましたけれど、結構大変でした。その後、デボラ特製の解熱剤を無理やり飲ませて終了。この間に影達には情報収集に出かけてもらってます。ジュスト付きの供が戻ったところで、クルス・アレジ・ガリアが帰ってきました。


労いのために私がお茶とお菓子をデボラと共に準備しておくと、報告より先にそっちへ手を出す3人。……子どもですか。現在地はまだドナンテル殿下とノクシオ殿下がいらっしゃる隣国ですが、既に国境付近。明日の夜頃には小国との国境の町に辿り着く予定でした。そこで小国の様子を確認するつもりだったのですが、ジュストが熱を出したのでこの機会に国境の町へ行って、様子を見て来てもらったわけです。


「結論から申し上げますと」


クルスが真顔で報告しようとする傍ら、アレジとガリアが美味しそうにお茶を飲んでますね。まぁいいでしょう。クルスに再び視線を向ければ、クルスが咳払いをしてから続けます。


「結論から申し上げますと、国境の町に変化は有りません。小国の方ですが、今のところ問題は無さそうです」


「そう。ではジュストの体調が良くなり次第、出立で大丈夫そうね」


報告を聞き終えた私は頷くと、デボラにジュスト付きの侍女にでも伝えてもらうよう頼みます。ついでに三晩逗留出来る事も伝えてもらいましょう。ジュストには体調を戻すことに全力を注いでもらう事にします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ