表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
3年目の学園生活は留学の留学からスタートです。
228/400

閑話・1度目。ーー本当にこれで淑女なのか、と疑いたくなる苦手な女。・2

お待たせしました。

引き続きジュスト・ボレノー視点です。

最初はかの令嬢が断る気持ちも分かる、と思っていたのだが。色々あって関わる内に寧ろ何故ヴィジェスト殿下は、かの令嬢を婚約者にしたいのか頭を抱えることになった。確かに所作は美しい。知識や教養もある。1度目とやらの記憶から王子妃教育を受けたというのも納得がいくほど、国内外の政や情勢に詳しい。


けれど。

その完璧な淑女教育をどこに置き忘れて来たのか聞きたくなるほど……何というか令嬢に言うのは失礼かもしれないが……野生的なのだ。正直、あんな野生的な姿を見ると、ヴィジェスト殿下の婚約者には相応しいとは思えない。もっと素敵な令嬢は山程居ると思う。そんなこんなで学園に入学する年齢を迎えた私は、様々な事情から隣国の学園へ留学する事が決まった。


そこにはセイスルート嬢も一緒だという。知識や教養がある事は理解していたが、正直留学出来る程の学力は無いだろうと勝手に思っていたので、留学先でセイスルート嬢を見かけた時は本当に驚いた。不正を疑ってしまって、それはさすがに失礼か、と思い直した。……思い直して正解だった。同じ教室内で共に勉強をしていると、彼女の学力の高さが窺い知れた。一瞬でも疑った自分を恥じる程に。


だが、セイスルート嬢は些か……いや割と……いやかなり? 自由な行動が多く、やはりヴィジェスト殿下の婚約者に相応しいとは思えなかった。だが、何故かドナンテル第一王子殿下並びにノクシオ第二王子殿下に気に入られていて、ヴィジェスト殿下といい、何か王子に気に入られるような秘訣があるのか、と首を捻っていた。


それから2年の間にヴィジェスト殿下から命じられていたロズベル嬢という女性を探していたが、中々見つからず。もちろん勉学は手を抜くわけにもいかず、課題もこなしてその合間に探していたのだが。私がそうやって必死になっていたのに。


かの令嬢・セイスルート嬢は、勉学に手を抜く事も無いにも関わらず、独自に色々と調査をしていたようで、いつの間にかこの国の中枢に君臨するコッネリ公爵を追い詰めてしまっていた。私が話を聞いたのは、かなりコッネリ公爵を深く追っていた頃で……更には話の直後に彼女やコッネリ公爵に連なる令嬢が拐われてしまっていたようで。


私がアレコレと話を聞かされた時には、もう一件が片付いていた。その過程でかの令嬢が毒を飲んだと聞いた時には、何もそこまで……と唖然としたものだ。こんな令嬢など私は今まで見た事がない。本当にこれで淑女なのか、と疑ってしまう。行動も考え方も発言も全てにおいて、私の知る令嬢とは掛け離れていた。私は苦手な人物だ。


だが。

だから、というのも変かもしれないけれど。とても興味が湧いた。苦手なのに、どうしても興味が湧いてこの好奇心を満たしたくなってしまう。何故か心のどこかで彼女に近付かない方がいい、と思うのに。ーーきっとそれは彼女が私の知る令嬢とは全く違うからだろうけれど。近付いて彼女をもっと知りたい、という欲求に抗えないのだ。


もしかしたら、殿下方はこういう気持ちをセイスルート嬢に抱いたから、近寄っていたのだろうか。尋ねた事がないから不明だが、とにかく私はどうしても彼女に近付きたい、もっと知りたい、という欲求に従いたかった。


結果。彼女がシオン帝国に留学する事を知った私は、ヴィジェスト殿下に依頼されていたロズベル嬢探しも兼ねて、セイスルート嬢を追うことに決めた。……いや、追うのではなく、最初から彼女と共にシオン帝国へ向かえば良いのではないか、と思い至り……今日、王都のボレノー家を出てセイスルート辺境伯領へ出立するところである。……というか、その出立でさえ、そんなに遅くて良いのか? と思うくらいのんびりで、益々興味深い。私の好奇心をどこまで満たしてくれるだろうか。

お読み頂きましてありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ