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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
3年目の学園生活は留学の留学からスタートです。
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2度目。ーー何故もっと早く動かなかったのでしょう。・1

大変お待たせしてしまいすみません。明日はいつもの時刻に更新します。

グッと無意識に両手を上へ伸ばしていたのか、全身が引っ張られる感覚で目が覚めた。目覚めた? えっ? 眠っていたの? いつの間に? いえ、私はどこで何をしていたのだったっけ……。


寝転んで目だけが開いたまま周囲を見渡せば、王都にある辺境伯家の邸、の、私に与えられた一室のベッドの上。ゆっくりと上半身を起こすのと同時に何故この邸に来たのか、私は何をしていたのか、鮮明に思い出した。


「そう。そうだわ。ヴィジェスト殿下とのお茶会で筆頭婚約者候補者の座を退きたいとお願いしていて……ドミトラル様が行方不明だ、と伺い、意識が飛んだ」


デボラとクルスが私をここに連れて来てくれたのだろう。ヴィジェスト殿下の驚きに満ちた声で私の名を呼んだ所までが記憶にあった。おそらくそこで意識を失い……此処にいるという事は、2人が連れて来てくれたとしか考えられない。




ドミトラル様が行方不明。




ああ。私は。なんて愚かなのか。彼が私を覚えていないかもしれない、とか。覚えていても私の事を好きではないかもしれない、とか。会うのが怖い、とか。そんなのどうでも良かった。彼が行方不明という事の方が何倍も恐ろしい。私もヴィジェスト殿下も記憶を持っているけれど、他に記憶がある人に出会ってない。それでも。


イルヴィル殿下やシュレン様。タータント国王陛下夫妻にお父様・お母様・お兄様・お姉様・ロイス・デボラ・クルス・アウドラ男爵家の人々・コッネリ公爵……そして、私は未だお会いしていないけれどロズベル様まできちんと巻き戻った時間の中に居るから。

だから。


ーードミトラル様だけが居ない、なんて考えもしなかった。


だけど。ドミトラル様がきちんと存在し(いて)くれるなんて何の保証が有ったのだろう。おそらく巻き戻った時間。本来なら有り得ない現象が起きているのだから、どこかに何かの歪みが有ってもおかしくない。


前世でもそういう話が有ったじゃない。


自分が生まれる前の過去に行った人間の話とか、未来へタイムスリップした人間の話とか。人生が巻き戻った人間の話とか。全部物語だけど、時間という概念において共通しているのは、有り得ない現象が起きているためにどこかに歪みが出る、ということ。


今まで私はその事を忘れていた。確かに時間が、自分の人生が巻き戻っている事に気付いていたのに、そんな有り得ない現象に巻き込まれているくせに、その所為で1度目の時とは違う何かが有るかもしれない、という事を何一つ考えていなかった。想像もしていなかった。知っていたはずなのに、忘れていた。


時間が巻き戻った事の代償が、ドミトラル様の行方不明だと言うのなら……私は死んだままで良かったのに。

なんで私は生き返ったの。どうして時間が巻き戻ったの。何故ドミトラル様が行方不明なの。

私は……私はどうしたらいいの。なんでもっと早く彼を探すと決めて動かなかったの。


ドミトラル様が居ないのに、私はどう幸せになれば良いの……?

お読み頂きましてありがとうございました。

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