表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
3年目の学園生活は留学の留学からスタートです。
213/400

2度目。ーー約束の1年が経つので話し合います。・4

深呼吸をして3人を探す。……そういえば普通の貴族って家族間でも先触れを出すんだったっけ。ウチは代々「そんな無駄な事やりたくない」という方針らしくて先触れなんてないけど。でもあれは予定を確認するためにも必要な事なんだよね。そして居場所も直ぐ判明するし。まぁ多分朝食から時間が経ったしお兄様とロイスを連れて訓練にでも行っているだろう。3人が一緒なら纏めて話せば良いか。


その考えが当たって。私は思った事を話して。そうして最後に一言告げる。


「だから。やっぱり私は2人と距離を置きたいの。家族として間違っているかもしれないし、ロイスの言葉を丸無視することになるけど。そんなに簡単な事じゃないの」


「姉上……すみません。僕は家族だから当たり前のように仲良くしてもらいたくて。でもそうですよね。姉上の気持ちも有りますよね」


ロイスがショボくれる。ごめんね、弟にそんな顔をさせる姉上で。


「そう、だよな。母上はキャスにばかりかまけていて俺も相談したいなって思っても相談出来ない事があった。でも男の悩みは同じ男の父上がいたから何とかなったけれど。ケイトは女として聞きたい事を母上に尋ねる事すら出来なかったもんな……」


お兄様が溜め息と共に私の気持ちに共感してくれる。


「無理に仲良くなろうとしなくていい。朝食の時間で思ったが、あれはあまりにも居た堪れん。無理やり仲良くなろうとするあまり空気が重い。ケイトがかなり譲歩してあれではな……。いつもケイトがしっかりしていたから失念していたが、まだ15歳だったな。ケイトに我慢させてまで仲良くさせるのは間違いだな。すまん。今まで通りにしよう。シュシュとキャスにも話しておく」


お父様が重々しく頷いて好きにさせてくれる事になった。ホッとして礼を述べた。それから……私はお母様にもお姉様にも話しかけられる事なく、今まで通り必要最低限の会話だけで乗り切る事が出来た。そんな日々が5日を超えてようやく毒を飲む前と同じくらいの体力が戻ってきた。


体力が戻っただけで、まだ戦う力は戻っていないのでその直後からクルスを相手に手合わせをする事2日。なんだかんだでヴィジェスト殿下とのお茶会が目前になってしまっていた。その前日である本日。珍しく辺境領は雨が降っていて、私はデボラにお茶会に着るドレスの選定のために着せ替え人形と化していた。

って、いやいやいや! なんでヴィジェスト殿下に会うためにオシャレする必要が⁉︎


「偶には侍女としてお嬢様を飾る楽しみを味わわせて下さい。というか、お嬢様に拒否権は有りませんから」


にっこり笑うデボラの目は全く笑っていない。逆らったらいけないやつ。と本能で察した私は、大人しく着せ替え人形に徹した。絶対毒を飲んだ事を根に持っている。心配かけさせたんだから、これくらい我慢しとけって言うデボラの無言の圧を感じる。そうして今回のお茶会ではロゼのドレスに決まった。……こういう色ってお茶会より夜会向きじゃない? 少なくともデビュー前の少女が着る色では無いよね? なんで?


「だってお嬢様、()()()をされるのでしょう? 赤って戦闘には持って来いの色ですよ?」


「……成る程。出来る侍女を持って私は幸せだわ。確かに私が持っている赤ってコレくらいだもんね」


オレンジ系が強い赤とか、ピンク系が強い赤だとか、赤らしい赤のドレスなんて全く持ってないわ……。でもさ。最初からロゼのドレスにするって決めていたなら着せ替え人形と化す必要なかったんじゃないかなー。


「お嬢様、何か仰いました?」


怖っ。今絶対心の中を読まれたよっ!

ーー大人しくこのドレスを着させて頂きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ