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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
3年目の学園生活は留学の留学からスタートです。
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2度目。ーー約束の1年が経つので話し合います。・2

そんな感じであっという間に5日が過ぎ6日目の朝には学園に通っていた頃よりも早く目が覚めて……体力は落ちていたけれど眠気は無くなっていた。ちなみにロイスとお兄様は毎日1度は様子を見に来ていたけれど、お母様とお姉様はあの1度きり。でもそれで良いと思う。急に来られてもこちらも困る。それに……


ロイスからは私も歩み寄って欲しい、とお願いされて頷いたけれど。

デボラからの話でもお母様とお姉様が変わりつつある、と屋敷内で話が出ていると聞いたけれど。


なんで言えばいいのかな。


結局男性には分からないと思う。正確に言えばお父様にもお兄様にもロイスにも解ってもらえない、と思う。私のこの複雑な気持ちは。向こうが歩み寄って来ているのは分かるし、私も歩み寄ろうと思う気持ちは有る。これからそうしていくのだと思う一方で……


ただ同じ“女性”で、ただ同じ“お父様とお母様の娘”であるのに、自分とは違う存在の私を毛嫌いしていたお姉様に対して向こうが歩み寄ってきたのだから、と簡単に歩み寄れる気持ちになれるものでもない。

それに。

前世と1度目の記憶が有ったから戸惑う事は無かったけれど。もし、記憶がなかったら。第二次性徴期が現れた時や他にも女性だからこその不安な気持ちを同じ女性であるお母様に相談したかったのに、その相談も出来ない程お姉様にベッタリだったお母様に対しても、簡単に素直になれはしない。


精神年齢は結構年を取ってるのに。お父様の言う通り10代で2度死んでしまったからその先を知らない所為か、大人になりきれない。子どもっぽいな、と自分でも自覚はしている。でも、そう簡単に気持ちが切り替わるわけでもないのよね。


「おはようございます、お嬢様」


目覚めて体力は落ちてもスッキリしているからか朝からツラツラとそんな事を考えていたら、デボラが軽くノックした直後にドアを開けて入って来た。私がまだ寝てると思って返事を待たなかったのだろう。


「おはよう、デボラ」


「顔色が戻りましたね」


「滋養薬のおかげでね」


苦笑しつつ頷く。正直こっちの世界の医療では内臓の状態など調べようが無いから、私の状態がどうなっているのか分からないけれど。何となく感覚としてはどこもおかしい所はない。


「それはようございました」


「ねぇデボラ」


「はい」


「朝食は食堂で食べるわ。それまでに散歩に出る」


「体力が衰えているでしょうからご一緒致します」


「ありがとう」


そういえば、前回も今回もデボラがアウドラ男爵のスパイみたいな事をしていても、私はデボラを姉のように慕っていたわね。


「ねぇデボラ」


「はい」


先程と同じやり取りでも嫌な顔をしないデボラに、私は尋ねる。


「私……簡単にお母様とお姉様に歩み寄れる気がしないわ。家族、失格かしら」


デボラは無言で私の顔を見つめて。大きく溜め息をついた。


「ケイトリン様。それくらいで家族失格だったら、アウドラ男爵一家はどうなるんですか」


そう苦笑しつつ言って、それから「この家の誰もが失格だと仰っても、私は失格じゃない、と断言します」と笑ってくれた。それだけで肩の力が抜けた気がして。やっぱり私は大人になりきれない、ようです。

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