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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
学園生活2年目は婚約者候補者とのガチバトル⁉︎2
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閑話・1度目。ーー内定した王太子の座。

ノクシオ視点です。

コッネリ公爵はケイトに負けた事が相当悔しかったのだろう。捕らえられた時は「あの小娘がっ!」と散々ケイトに対して暴言を吐いていたという。けれど。暴言を吐くだけ吐いてスッキリしたのかその後は大人しくなり、素直に尋問に応じていると言う。その過程で、ラスピリア・コッネリ子爵令嬢及びプライアリ・コッネリ公爵令嬢の拐かしにも関与した事を認めた。先ずはそこからだろう。


そして僕と異母兄・ドナンテルを軟禁状態に押し込めた事も素直に認めた。本来王族に……次期国王になる王子達に対して行う事ではない。それを王城内で判っていながら使用人達が動かなかったのは、それだけこの男の権力が強かった事を示す。そのコッネリ公爵をケイトはあっさりと片を付けてしまった。


ーー本来僕、いや、父である国王陛下が行うべき事だったのに。


コッネリ公爵は粛々と父上の前で全てを素直に話している。その内容は到底我慢も出来ない内容もあって、公爵位返上どころか罪人として処罰乃至処刑されるような内容にまで及んでいた。父上は流石国王として表情は無で一切変わらない。僕かドナンテルが将来その座に座る時にはこうであるべき、と見せられているようで、僕の隣に居るドナンテルも食い入るようにその姿を目に焼き付けているように見える。


「ドナンテル殿下の母である側妃はーー」


その内容にハッとした。そう。疑惑が有ったのだ。ドナンテル異母兄上の母親が伯爵位の令嬢と言われていたが、あの伯爵家には父上に見合う年齢の令嬢がいなかったから養女として迎えられたが、本当はコッネリ前公爵の意を汲んだ令嬢を送り込むための養女だったという疑惑が。


結果から言えば。

真実だった。それどころかコッネリ前公爵の意を汲んだ令嬢を父上の元に送り込むために、伯爵家の令嬢を病に見せかけてその命を奪ったという。


ドナンテル異母兄上は、顔を青褪めさせながら話を聞いていた。自分の出自に関わる事だからだろう。自分が生まれて来るために、顔も名も知らないとはいえ、人の命を奪った上で生まれた来たと知ってどんな気持ちなのか、それは分からない。ただ、全てを話し終えたコッネリ公爵が引っ立てられた姿を見送ったドナンテル異母兄上が、僕を……私をジッと見てきた。


「ドナンテル異母兄上?」


「ノクシオ。話は聞いていただろう。俺は罪人の一族に良い様にされるために生まれて来た王子だ。俺が王太子になるのは色々と不味い。お前がなるべきだ。但し。ケイトから聞いた一度目の俺とは違う。お前を支えてこの国を守る。それを誓うとしよう」


ドナンテル異母兄上の言葉になんて返答をすべきか迷った時。父上が立ち上がった。コッネリ公爵に下す判決は後だ、と告げる。それから今度は此方を見てケイトについて話を聞かせろ、と場所を移動して僕とドナンテル異母兄上を呼び出した。


そして僕とドナンテル異母兄上の話を聞いた父上は……


「ケイトリン・セイスルート嬢には感謝しかない。だが、お前達が勝手に決めた事とはいえ、国内の貴族達にケイトリン嬢を“筆頭”婚約者候補者として示していた。それを事情が有っても向こうから断って来るのは我が国の王族に対して無礼に当たる。よって、ケイトリン嬢は我が国への留学から他国への留学へと変更する」


と、仰った。……何故。


「父上、何故です⁉︎」


僕の代わりにドナンテル異母兄上が尋ねれば、父上が教えてくれた事があった。


「ケイトリン嬢が探しているという令嬢の件だ」


ケイトリンが2度の人生を送っている、等は話していないが、ケイトリンがもう1人の留学生であるジュスト・ボレノーと共にとある令嬢を探している事は話した。我が国にいた、というからだ。


「父上は何かご存知なのですか?」


僕が尋ねれば父上が頷く。


「おかしな発言をしていた令嬢として報告が上がっていた。それで魔法に特化したあの国に助言を仰いだら向こうから、引き取りたいと言われて秘密裏に向こうの国へ令嬢を頼んだ。素性を調べたからタータント国出身だとは知っていたが、まさか前王弟殿下と関わりが有るとは思わなかった……。失敗したな。だが、ケイトリン嬢があちらの国に行ってくれれば、なんとかしてもらえそうだろう。更に頼むのは悪いとは思うが、私もお前達も動けん。頼むしかない」


反論のしようがなく。ケイトは、我が国からかの国へ留学する事が決まってしまった。内々に父上の密書として命が下る、そうだ。ジュスト・ボレノーはタータント国と話し合って、もしかしたらケイトと共にかの国に行くかもしれない、とも父上は仰っていた。


……僕が、私が、ドナンテル異母兄上と共に次に彼女に会えるのは、立太子式になるのだろうか。

今話で本章が終了です。

次章は学園生活3年目を迎えますが、一旦セイスルート家に帰ります。

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