2度目。ーー二人の殿下と王太子の位・4
「コッネリ公爵とどんな事を話した?」
「簡単に言えばですが。あの方拗らせまくりです」
「「は?」」
ノクシオ殿下の問いにそう答えれば素っ頓狂な返答が来た。まぁそうですよね。そうなりますよね。
「コッネリ公爵は、陛下を尊敬していらっしゃるようで。それも昔から。少なくとも陛下と我が父が出会う切っ掛けになった出来事の頃には、好いていたようですよ。何しろ我が父が陛下をお助けした事が気に入らなくて敵対心を剥き出しにしていたようですから。それ故に父に煮湯を飲ますような行動を起こしたそうです。陛下に対しては……おそらく自分が手助けするつもりだったのに、私の父上に手助けされて心を許した事に嫉妬を拗らせたんじゃないんですかね。殿下方に対する態度は陛下への尊敬を拗らせたまま陛下以上に辛く当たったんじゃないかな、と」
私の話に殿下方が唖然としている。……まぁそうですよね。唖然としますよね。私だって有り得ないと思いましたからね。
「「子どもか?」」
「そう思いますよね。私もそう思いました」
2人の感想に強く同意する。
「俺達は父上に憧れるコッネリ公爵の拗らせに付き合わされて軟禁されていたのか……」
「というか、コッネリ公爵と父上では父上の方が年下。その父上に憧れるって何が有ったのやら……」
そこまでは知りません。
「そんな事で俺達は身動きが取れず、結局ケイトリンに助けてもらって。……こんな状態にさせたのか」
随分と落ち込むドナンテル殿下に、私は苦笑する。
「ドナンテル殿下。ノクシオ殿下。私が毒を飲んだ事は気にしないで下さい。……まぁ気になるでしょうけれど。以前、お話致しましたね。私は1度目の人生でヴィジェスト殿下を狙ったように見える刺客の前に飛び出てヴィジェスト殿下を庇いました。その際に刃に塗られた毒によって命を落とした、と」
私の強調した部分に2人がハッとする。ヴィジェスト殿下を狙っていたのか、それとも隣にいらしたロズベル様を狙っていたのか。今となっては真相は闇の中ですが……。あの時はヴィジェスト殿下を狙っていたと思ったのですが。
ロズベル様が持っていらしたロケットペンダントの紋章が前王弟殿下の物だとノクシオ殿下に教えられた時から、あの時はどちらを狙っていたのだろう……? と疑問なのです。まぁ解決出来ない問題なので放っておくしかないんですけどね。
話を戻しますが、結局刺客の手に斃れたのは私です。扱われた刃物には毒が塗布されていた。だから。
「コッネリ公爵には、機会があれば毒を飲んでもらおうと思ってました。その機会が訪れて疑問を持たれない為に私も毒を飲んだ。その事に後悔は有りません。その毒の後遺症で私の身体に異変があっても、です。……クルスから聞かれたのでしょう?」
私が何を、と言わずとも2人の顔色が悪くなったので、やはり聞いたのだと解った。私が子を生せぬ身体になるやもしれない事。或いは長く生きられるか分からない事。……こればかりは、この先を生きてみなければ分からない。でも生憎と2度も20歳を超えていない人生を送った身。3度目の今は這いつくばってでも意地でも皺が出来て白髪も出来るおばあちゃんになるまで、生きるつもりですよ。




