2度目。ーー久々に皆様のお顔を拝見しました。・7
進級式が終わり、新しいクラスへと足を向けていると、前方にボレノー様が見えました。同じタータント国からの留学生ですし、ご挨拶をしておきましょう。そんなわけで少しばかり早足でボレノー様の背後に近づき「ボレノー様」と声をお掛け致しました。なんだか鬱陶しそうな顔でこちらを振り向き、私を見て驚かれました。……何故ですか。
「あなたでしたか、セイスルート嬢」
まるで安堵したように息を吐き出しましたね。何事ですか。私はご挨拶をしようと思っただけですよ。
「お久しぶりでございます。また1年、宜しくお願いしますね」
3年目からは、自分の勉強したい科に変わるため、ボレノー様とのクラスは違うでしょうが、今年は未だ一緒です。留学生は暗黙の了解で、2年間は同じクラスで過ごすそうです。ですから今年もボレノー様とは同じクラス。殿下方とは、今年は離れたいですわね……。
そんな事を思っていた所為でしょうか。やはり殿下方とは今年も同じクラスになってしまいました。何故ですか……。そしてドナンテル殿下は、病弱設定が未だに続いているんですか。あなた1才上なんですから学園側と話して、3年目の生活を送れば良かったんじゃないですか。王族なんだからそういった裏でのやり取りは得意でしょ。
口にはしませんけどね!
そして、1年目で同じクラスだった何人かの男女が今年もご一緒です。女性の方達は、1年目で何度かお話した事もある、私としては仲良しだと思っている方達です。実際、長期休暇中に手紙だけでしたけど、連絡は取っていましたから、きっと私だけが仲良しだと思っているわけではないと思いますが。
「セイスルート様」
お手紙のやり取りをしていた1人、ヤソト子爵令嬢様がお声を掛けて下さいました。ちなみに、爵位の関係で殿下方の婚約者候補者にも選ばれていないから、と、私と距離を置く必要もないとばかりに距離を縮めて下さいました。嬉しいです。
これが、お父君が子爵ではなく伯爵位だったら、殿下方の婚約者候補者に選ばれていたかもしれないので、そうすると、親の意を汲んで私と距離を置く必要があった、と去年お話されていました。確かに貴族の令息・令嬢は親の駒という部分が有りますからね。親の意に逆らうわけにはいかない事も有ります。
でも。学園内での言動くらい、自由でいたいですよね。
ヤソト子爵令嬢様は、ハキハキとした口調と物怖じしない性格なので、私は好ましいと思っています。だから私と距離を置く必要が無かった事に感謝しています。……本当は、婚約者候補者とかそういった柵に関わらず、友人として接したいくらいの方なんですけどね。
ヤソト子爵令嬢様、友人になってくれないかしら。
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