表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
学園生活2年目は婚約者候補者とのガチバトル⁉︎
122/400

2度目。ーー婚約者候補者達とのバトル・16(ヴィジェスト編)

「どうかしたかな」


「これは殿下……。お騒がせを致しまして失礼を。折角の殿下主催のお茶会ですのに」


ヴィジェスト殿下、結構公式では確りしているんですね。前回、私への態度が酷かったので公式の場がどうなのか知らなかったのですけど。前回も公式の場ではきちんと“第二王子”を務められたのでしょうか? 今回を見る限り、きちんと務められてビックリですわ。ニコニコと笑みながら目が笑っていないヴィジェスト殿下を見て、私はそんな事を思いつつ頭を下げた。ナイゼルヌ侯爵令嬢も直ぐに礼を取ったけれど、私に突っかかっていたエルネン伯爵令嬢は、咄嗟に礼を取れなかったらしい。


「エルネン伯爵令嬢? 何かあったのかい?」


ヴィジェスト殿下に目を付けられていた。……えっ。ねぇ本当にこの令嬢が、ウチと隣国を唆したの? こんな事くらいで貴族令嬢の仮面を被れなくなるって、どんだけ場数を踏んでないの⁉︎ 動揺しまくりな気配しかしないんですけど⁉︎


「い、いいえ。失礼致しましたわ、殿下」


「そう。それでは楽しもうか」


エルネン伯爵令嬢がようやく一応の対応を見せてヴィジェスト殿下が促す。予定されている時間はもう僅か。ヴィジェスト殿下が座った所で、侍女がサッとお茶を出した。……この侍女、最初から居た侍女ではないわ。普通こういうお茶会で侍女が変わる事なんて無いはずなのに。


ヴィジェスト殿下が疑わないで、カップを手に取ろうとしたので、私は制した。


「殿下。失礼を」


毒見をするためにカップに少しだけ口を付ける。


「ケイト!」


私の咄嗟の行動にヴィジェスト殿下が慌てて私の愛称を呼ぶ。お茶にしては少し舌が痺れる。毒では無さそうだが、何かの薬は入っているようだ。


「其方、何者です!」


殿下に茶を給仕した侍女に視線を向ければ、侍女は逃げ出そうとしたので、殿下の護衛が取り押さえた。


「連れて行け」


ヴィジェスト殿下が護衛に命じた後、私を見る。


「大丈夫ですわ。一口でしたので舌が痺れる程度です」


「痺れる程度では無いだろう! なんでこんな無茶をした!」


「寧ろ怪しい侍女に気付かず、お茶を口にしようとした殿下の危機管理の無さに唖然と致します」


根性で言い切ったが、実は舌が痺れるのであまり口が回らない。慌てて解毒剤をデボラが持って来てくれたのでそれを飲んでホッとした。此処でデボラを疑う事などしない。彼女は私に忠誠を誓ったのだから。少しすると効き目バッチリで、舌の痺れが治まった。


「……済まない」


「大丈夫ですわ。それよりも」


ヴィジェスト殿下が微かに謝罪をされたので、私はこのお茶会をどうにかして下さい、と目線で訴えた。ヴィジェスト殿下が「騒がせて済まない。後日詫びをする。本日は帰ってくれ」とご令嬢を促し、当然だがこの件は口止めされた。まぁ大体の令嬢は何かがあった程度で何が有ったのかまでは解っていないだろう。


私と殿下のやり取りは小声だったので、精々同じテーブルに居た令嬢達くらいだ。横目で確認すると、同じテーブルのどの令嬢も顔を青褪めさせてはいた。まぁそうだろうけど。ナイゼルヌ侯爵令嬢もエルネン伯爵令嬢もその動揺ぶりを見るに、ヴィジェスト殿下の件には関わっていないみたいね。


それにしても……結局エルネン伯爵令嬢との対決が宙ぶらりんになっちゃったなぁ。思い出したからには、きっちり落とし前を付けてもらいたかったんだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ