4-18
発表会当日。
午前中は試運転と、発表の為の説明文の作成に追われた。
と言っても、修理が終わってしまえば、後はベティさん達だけで何とかなる。
元々彼女たちの課題なのだから、本来私達が手を出すことではないだろう。
なので、私達は別の準備を始めた。
学院の食堂に行って、道具を借りてくる。
午後になり、発表会が始まった。
中庭にそれぞれのグループが作った魔法装置が並べられ、教師達が順番に見て回り、制作した学生が実演と説明をする。
制作は入学三年目の学生達が行う様で、それ以外の生徒は順番とか関係なく見学して回っている。
ある意味学園祭みたいな雰囲気だ。
「なんとか間に合ったようね」
アーネさんがやって来た。
非常勤講師の彼女は採点の担当ではなく、他の学生と同じように自由に見て回っているようだ。
「はい、ユキさん達のお陰ですわ」
ベティさんが答える。
「アーネ先生も一つ如何ですか?」
ボードに張られた説明文を見ているアーネさんに、ユキが小さな器に盛ったかき氷を差し出した。
冷蔵庫の試運転で作った氷を学食から借りて来たかき氷機で削って作った物だ。
氷室があるから、この世界でも夏にかき氷を食べることはある様で、かき氷機も有った。
上にかけるシロップはユキが働いている食堂の伝手から手に入れた。
「まあ、こんなものまで」
アーネさんが驚く。
「ちょっとしたサービスかな」
ユキがそう言った。
無料で配ったので、学生たちが群がって来た。
「ほんとはアイスクリームにしたかったけど、あれって冷やしながら何回もかき混ぜないといけないから難しいんだよね」
手回し式のかき氷機で氷を削りながら、私がそう言う。
「でも、繁盛してるしいいんじゃない?」
出来たかき氷にシロップをかけながらリーナが言った。
「別にこれが目的じゃないだろ」
かき氷を配りながら、カレンが呟く。
今はもう秋だが、天気が良く温かいのでかき氷はどんどんはけていく。
やがて、採点担当の教師たちがやって来て、ベティさん達が説明を始める。
「なんとか上手くいきそうね」
アーネさんがそう呟いた。
二日後、ユキが食堂の人達にうどんの作り方を教え終わったので、私達は一緒に王都を後にすることになった。
エリシアさんとアーネさん、それにベティさん達にも見送られて、私達四人は出発した。
「なんか、いつの間にか人数増えたな~」
私がそう呟く。
「いいじゃん、多い方が楽しいと思うぞ」
ユキが私に絡みながらそう言う。
「てんこちゃん家か、どんなとこなんだろうな?」
カレンがそう聞く。
「えっとね、結構山奥な感じかな~」
リーナが答える。
ワイワイ喋りながら、私達は歩いて行った。




