かぐやルート17
さくらちゃんがぐっすり寝ていることを確認すると、俺は彼女を呼ぶ。
「神様」
「はい」
いつものように死神風の衣装を纏い、無表情で俺の隣に立つ少女。
「ずっと傍で見てた?」
「はい。あなたの観察が私の役目なので」
「じゃあ天は、今日会った一年生の子は俺に何したの?」
天の瞳にあった三本爪のマーク。
あれはさくらちゃんと同じ何かの特殊な力だ。
天本人が認めていたのだから違いない。
そして俺を自分のものに、なんてことも言っていた。
だけど、さくらちゃんのように相手を魅了する力ではないと思った。
あれは相手から大事なものを"奪う力"に思えた。
神様が口を開く。
「あなたからいくつかの《絆の結晶》が奪われました」
その言葉に俺は納得してしまう。
やはり天の能力は他人から奪うものだった。
そして《絆の結晶》が奪われたから、あんなにも胸が痛かったのか。
天がどうして《絆の結晶》を狙っているのか分からない。
でもまあ、さくらちゃんを守れた。
今は良かった。
「………………ん? もしかして成長させてた《絆の結晶》も奪われたのか?」
「いえ。それは無事ですよ。それにもし奪われそうになったら私が保護します」
「そうかぁ」
ものすごく焦ったわ。
この身体を相島 立花へ返すから《絆の結晶》を育てているのに奪われたら全てが水の泡だ。
今度から気をつけないと。
でも、目が合っただけで奪われてしまうから恐ろしい能力だ。
さくらちゃんの相手をドキドキさせて自分を好きにさせる『魅了の瞳』。
天の《絆の結晶》を奪う『略奪の瞳』? とでも言うべき力。
本来、俺がプレイしていた『さつかそ』にはなかったもの。
だから対処法など全く分からない。
さくらちゃんには釘を刺しておけば良いが、天には無駄だろう。
あの子は"敵"なのだろうか?
そうだとしたら何の?
俺たちの生活を脅かす悪?
だとしても戦うことも排除することも俺はしたくない。
だってこんなおかしな状況になっているとしても、あの子は俺が好きなギャルゲー『さつかそ』のヒロインなんだ。
平和に解決したい。
「味方が欲しいな~」
溜め息混じりに出た言葉。
神様が小首を傾げる。
「味方、ですか?」
「ああ、うん。俺が知ってる『さつかそ』にはなかった瞳の力。これに詳しい人か、天にも対抗出来る強い能力を持っている人が味方になってくれればと」
さくらちゃんの『魅了の瞳』と彼女を助けるときに使ったゲームのように選択肢が表示される『選択の瞳』。どちらも戦闘向きではない。
『魅了の瞳』なら天を倒せるかもしれないが、俺は望んでいない。
なら、他の味方が欲しいところだった。
天を止めるにはそれしかない。
「ふぁあ~」
身体も頭も疲れたからか眠たくなってきた。
前みたいに寝過ごさないようにアラームをかけて俺はさくらちゃんを胸に抱く。
「ちょっと寝るね。お休み、神様」
「はい。お休みなさい」
俺はゆっくりと瞼を閉じた。




