かぐやルート8
「八重橋さんの髪って綺麗だよね。それって地毛なの?」
「ふふっ。そうなの! お母様と一緒よ!」
「もしかして八重橋さんってハーフなの?」
「ええ、そうよ。お母様はフランスなの。といってもアタシ自身は日本育ちだからフランス語はほとんど話せないけどね」
二人仲良く並んで談話しながら登校する、さくらちゃんとかぐや。
俺は完全に蚊帳の外である。
まあ、でも楽しそうだから良いか。
ていうか、かぐやのナチュラルブロンドは良いとして、さくらちゃんのナチュラルピンクにツッコミが入らないのはギャルゲーだからか。普通だったら髪をピンクに染める奴はヤバいからな。
ん?
そういえば、かぐやも『さつかそ』のヒロインだから助けるべき対象なのか?
「神様」
俺が呼ぶといつものように時間が止まり、神様が隣に立つ。
「何でしょうか?」
「ああ、ええと。かぐやも何か苦しんでるの?」
「……いえ、特には《絆の結晶》におかしな点はありません。少々奇妙な形をしてはいますが」
かぐやの《絆の結晶》を見たのだろう。大丈夫だと神様は言う。
「それでも相島 立花の《絆の結晶》を大きくするために交遊関係は増やした方が良いと思います」
「うーん。なるほどな。分かった。やってみる。ありがとう」
神様は会釈だけすると消えた。
目の前の二人が歩き出す。
まあ、かぐやなら大丈夫だろう。
メンタル強そうだし。
あと二人のことを気にかけた方が良いのか?
「あっ」
そう思っていたら見つけた。
俺たちと同じように登校する一団。
その中に『さつかそ』で四人目に会うヒロイン。
二階堂 天。
昨日、ゲーセンで会ったときとは別人のように明るく周りの友人たちと談笑している。
でも、見間違いじゃないよな?
何で昨日はあんな怖い感じだったんだ?
ストレス?
それともあっちの方が素だったりして。
犬系だけど実は猫被り。
本当にこの世界のヒロインたちは俺がやっていた『さつかそ』とは似ては非なるものな存在の気がしてならない。
やはり相島 立花という存在が影響しているのだろうか?
「!?」
今、天がこちらに嗤った気がした。
しかも、瞳に何かーー
「りっちゃん?」
名前を呼ばれて俺の意識が引き戻される。
「どうしたの? 早く行こ?」
「あ、うん」
再び見たときは天は友達と普通に話していた。
まさか天もさくらちゃんのように瞳の力が?
あれはゾッとする瞳だった。
まるで無邪気な子供が面白そうな玩具を見つけたような、捕食者が獲物に目星をつけたような。
ただ言えることは天という何かを隠している子が俺を見ていた。
悪い予感しかしない。
何事もなければ良いが。




