かぐやルート1
ある日の昼休み。
「相島さん、何ニヤニヤしてるの?」
「え、何が?」
ただ後ろの席から教室の風景を見ていただけの俺に隣の席の友野が声をかけてくる。
「いや、だから。口許がニヤついてるって。ちょっと引くレベルだよ」
「酷い奴だな。お前、今日が何の日か知らないのか?」
「え、何かの記念日だっけ?」
ダメだこいつ。
俺はやれやれと首を振る。
「今日から夏服だぞ! 女子が皆、薄着になるんだぞ! なんて素晴らしき日だッ!!」
「相島さんも夏服じゃん」
「何言ってるんだ? 自分の夏服に萌えるわけないだろ? お前はそれでもヲタクか!?」
「俺が悪いの!?」
俺たちがやんややんや騒いでいるとーー
「相島さん、お客さんが来てるよ!」
矢沢さんが教室の扉のところで俺を呼んでいた。
誰だろうか?
麻衣か、金剛か?
矢沢さんに礼を言って廊下に顔を出す。
「………………へ?」
客は見知った顔だった。
でも、麻衣でも金剛でもない。
「アンタが相島 立花? 冴えない顔になったわね」
いきなり失礼なことを言ってくる少女。
肩まで流れる毛先にウェーブがかかった金髪で赤いリボンをバンダナのように頭に結んだ青いつり目の少女。
俺は彼女を知っている。
だって彼女はーー
「八重橋 かぐや……!」
『さつかそ』のヒロインだから。




