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《6,5周年ですよ! &120万PV大感謝! これからもよろしくお願いします!》 ギャルゲー転生 ヒロインたちを攻略しようとしたら俺が攻略対象でした!?  作者: mask
さくらルート編

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さくらルート 選択の瞳

 苦しい。

 苦しい。

 身体が空気を求めている。

「だはっ。はあ、はあ、はあ」

 俺は空気を貪った。

「あれ? 俺は、何を?」

 気付くと《絆の結晶》が散らばった真っ暗な世界に戻っていた。

「お帰り」

 声に振り返ると、相島 立花が立っていた。

「どうだった、真実は?」

「真実? 今のが?」

 まるで夢のような、だが現実味の強いもの。

「人がよく言う記憶と違って、私たち身体は脚色も風化もしない。ただ、あったことをそのまま《絆の結晶》に記録しているだけ。だから当時の私が見たモノ、聞いたモノ、触れたモノ、感じたモノ全てをあなたは体験した」

「じゃあ俺が今見ていたものは本当にあったってことか?」

「そう」

 相島 立花は頷くと表情を険しくする。

「それで? あなたは今のを見てさくらちゃんをどうするの?」

「どうって?」

「私を殺しかけたさくらちゃんを赦すの?」

「あれは不幸な事故だ。揉み合いになって相島 立花が階段から足を滑らせた」

「それは違う。あなたも見たはず。さくらちゃんの目を見た瞬間、私は転落した。あれは今、さくらちゃんがいじめっ子を殺そうとしたときに見たものと一緒。さくらちゃんは私を殺そうとした」

 相島 立花との問答。

「君だって見たはずだ。さくらちゃんが相島 立花を助けようとして手を伸ばしたのを」

「あくまでもさくらちゃんを庇うつもりなの?」

「だってさくらちゃんは悪くないからな!」

 俺の堂々とした言葉に相島 立花は目を丸くし、そして溜め息を吐いた。

「恋は盲目ってやつか」

 やれやれと苦笑する彼女は何処か嬉しそうだった。

「なあ、魂の方? の相島 立花はさくらちゃんを赦せなかったのか? だから彼女を避けるようになったのか?」

「赦す、赦さないじゃないよ。初めから私はさくらちゃんに罪なんて求めていなかった」

「じゃあ何で?」

「私がさくらちゃんを正義の味方のように助けるのが、いじめっ子たちは気に食わなかった。だから関わらないようにした。実際にいじめは減ったし、時間が経つに連れてさくらちゃんの周りには人が増えていじめっ子たちは手出しが出来なくなったから」

 と、いうことは。

「相島 立花は転落事故のとき記憶喪失になんかなっていない。むしろ、さくらちゃんを助けてくれたのか?」

「正解」

 相島 立花は微笑む。

 とても辛そうに。

 誰にも知らせることのなかった真実。

 本当に相島 立花は何処まで優しいんだろう。

 たとえ死にかけたとしても自分の心を犠牲にして友達を想うなんて。

「さくらちゃんに伝えないと。相島 立花は君を想い続けていたんだって。でも、俺は死んだ。もう無理なのか……」

 俺は肩を落とす。

 ゲームをしていた俺ならセーブポイントに戻って選択を選び直せる。

 でも今はゲームの世界に居るキャラクターだ。

 つまり今の俺にとっての現実。

 RPG系なら復活魔法とかで蘇れるかもしれない。

 でも『さつかそ』は違う。

 もし本当のゲームみたいにやり直せるなら。

「もし」

「え?」

 俺は顔をあげる。

 相島 立花の顔がすぐそこに。

「もし、あのときの選択を選び直せるなら」

「必ずさくらちゃんを救ってみせる」

 俺の即答に、ふふっと相島 立花は柔らかく微笑む。

 彼女の瞳には天秤のマークが刻まれていた。

「!?」

 そして俺と彼女の唇が重なる。

 突然のことで俺の身体は硬直していた。

「あとはよろしくね」

 トンと軽く胸を押される。

「へ?」

 初めて味わった足元が消える感覚。

 俺は真っ逆さまに落ちていった。

 だからーー

「約束だ! 俺がさくらちゃんを救ってみせる! だから待っていてくれ!」

 遥か頭上に消え行く相島 立花。

 彼女は笑ってくれていただろうか。

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