さくらルート40
俺と麻衣はトイレから出てさくらちゃんと合流するーーはずだった。
「あれ?」
映画館のそばで待ち合わせのはずだったのだが、さくらちゃんが何処にも居ない。
「トイレに行った、わけじゃないよね」
麻衣に確認するがそうでないことは分かっている。
映画館のトイレは相変わらずの混雑だし、俺たちが行ったトイレですれ違ったりはしなかった。
「電話してみれば?」
「ああ、そうだね」
俺はスマホを起動してさくらちゃんに電話を掛ける。
「………………」
プルルルル、と何度もなるがいっこうに繋がる気配がない。
結局、通話が止まる。
「おかしいな」
トーキングアプリに切り替えてみる。
『今どこ?』
すると、
『ごめんね』
『用事出来た』
『帰って』
続けざまの短文が返ってきた。
「はあ? 何様につもりなの、アイツ!」
俺のスマホを覗き込んだ麻衣が憤る。
「最低ッ! もう帰っちゃおうよ」
「え、ああ。うん……」
内容に俺は落ち込んでいたが、何かが引っ掛かった。
さくらちゃんがこんな失礼で素っ気ない返事を返すだろうか?
『用事って?』
数分待つが返事がない。
既読にもならない。
「捜してくる」
「何で? 帰ったんでしょ?」
「嫌な予感がするんだ。ごめん、麻衣。私はさくらちゃんを捜してくる」
「なら私も一緒に捜すよ」
「え、良いの?」
俺は目を丸くする。
麻衣はさくらちゃんには関わりたくないと思っていたから。
「お姉ちゃんまで何かあったら私が嫌なだけだから。それで? どこ捜す?」
麻衣に言われて少し頭を冷やす。
確かに。
ショッピングモールなんて広い場所から人を一人捜すなんて大変に決まっている。
手分けして捜すか?
でもショッピングモールは三階まであるし、すでにさくらちゃんが駅の方に向かっていたら店を一つ一つしらみ潰しに見ていくわけにもいかない。
……そうだ!
神様を呼んで時間を止めてもらえば良いじゃん。
それで俺だけが動けばさくらちゃんを見つけ出せる。
神様!
………………あれ?
反応がない。
いつもは心の中で呼べば来てくれるのに。
あ、そういえば試着室でさくらちゃんと居たときに彼女のハートの瞳について調べるって言ってた。
もしかしてそれから戻っていない?
こんなときに……!
「麻衣は二階を捜して! 私は駅に向かう!」
そこからの判断は早かった。
帰り道の駅を最速で俺が押さえ、そこに続く道である二階を麻衣に捜してもらう。電車で帰ろうと思ったら必ずこのルートを通るからだ。
「さくらちゃん、今行くから!」
俺は人目を憚らずショッピングモール内を駆け出した。




