さくらルート35
俺はさくらちゃんが入っていった試着室の前から動けないでいた。
いつさくらちゃんが俺に感想を訊きに来るか待っているのだ!
だってさくらちゃんは俺が(自分でつけると思って適当に)選んだエッチな下着をつけるんだぞ?
命を懸けてでも世界最速で拝まなければ。
他の客や店員、そして麻衣にも見せたくない!
麻衣は……店員と話してるな。さすがは我が妹。そのまま店員を引き付けておいてくれ。
他の客は試着室からは遠いな。棚が死角になっていて事故で見ちゃうこともないだろう。
完璧だ!
あとは時を待つだけ。
「りっちゃん……」
来たああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!
俺は高鳴った胸を押さえつけて声をかけられた試着室にクール! に顔を向ける。
「……どうしたの?」
さくらちゃんは試着室のカーテンから顔だけを出してた。
「少し恥ずかしくて」
あー。まあ、エロかったしね。清純派のさくらちゃんにはハードルが高かったか。
見てみたかったが、無理強いするのは良くないだろう。
「じゃあ別のをーー」
「だから一緒に中に入って」
………………はい?
「他の人には見せたくないから。早く、来てね」
赤い顔を隠すようにさくらちゃんは試着室に顔を引っ込めてしまう。
え、入って良いの?
通報されないよね?
店員さん、俺ら恋人だから合法だよね?
「え~と。失礼しまーす」
俺は周りを確認した後に遠慮がちに中に入った。
「ぬおっ!」
飛び込んできたのは(俺の性癖の)破壊の権化。
それは大質量の黒紫色だった。
たゆんたゆんと揺れるそれはまさに神が与えたもうた至宝。
恥ずかしげな上目使いもおつで、肴にしたら白飯三杯はいける。
ああッ! まさに鬼に金棒。さくらちゃんに黒紫ブラジャー。
「ど、どうかな?」
「生きててよかった……」
「りっちゃん、鼻血鼻血!」
俺の鼻血がさくらちゃんのティッシュで拭われる。
ふー。
さくらちゃんのエロさで失血死するところだった。
まさに童貞殺し。
「やっぱり私に似合わないよね。せっかくりっちゃんが選んでくれたのに……」
「そんなことないよ!」
落ち込むさくらちゃんの両肩を俺はがっしりと掴む。
「とてもエロ、じゃなくて可愛いよ! 似合ってる! ありがとう!」
「りっちゃんが喜んでくれるなら」
さくらちゃんに笑顔が戻る。
ん?
見つめ合ったときに気付いた。
さくらちゃんの瞳の虹彩がハート目になっている。
あ、これヤバイやつだ。
心臓がドクリと脈打つ。
自分の鼓動で破裂しそうだ。
「りっちゃん、この状態、キスするみたいだね」
さくらちゃんが俺の首に腕を回す。
「本当にしちゃおうか?」
熱い息がかかる。
さくらちゃんが目を閉じる。
唇が近付いてくる。
俺も覚悟を決めて目を閉じた。




