さくらルート18
「さくらちゃん、顔を見せて?」
「駄目……恥ずかしいから」
両手の甲で顔を隠しながら掌で俺を拒もうとするさくらちゃん。声も震えているように聞こえる。
可愛すぎる。
お願いだから俺のSの部分を刺激しないでよ。
「さくらちゃん? 私の顔を見て?」
「無理。だって……ドキドキが止まらない。心臓に悪いよ……」
俺はさくらちゃんの手に触れる。びくんと反応したそれは確かに熱い。まるで風邪で熱でもあるようだ。
俺の指先がさくらちゃんの手から腕、肘まで行ったとき、俺は自覚した。
心の奥底から純粋な恋心とは違う。
支配欲とか独占欲のようなドロついたものが湧き出していた。
このまま押し倒してしまおうか。
さくらちゃんのことだ。抵抗などしないだろう。
それにしたとこで俺が本気を出せば。
そしてそのままーー
「…………」
俺のスマホから着信音が流れる。
そのおかげで俺の自制が働いた。
「何、麻衣?」
『あ、お姉ちゃん。帰り大丈夫だった? 金剛さんに絡まれたりしてない?』
「大丈夫だよ。一緒には帰ったけど、特に悪いことなんてされてないから」
『そう? なら良いけど……何か疲れてる?』
俺の声音で察したのだろう。麻衣が心配してくれる。
「何でもないよ。気を付けて帰りなよ」
通話を切る。その流れで俺は立ち上がった。
「じゃあ帰るね。金剛には今日は解散って伝えとくから」
リビングの扉に手をかける。
「……私がさくらちゃんを好きなのは間違いないから」
その言葉を残して俺は玄関へーー
「おっと!」
制服の裾が強く引っ張られる。
俺は振り返る。
「……どうしたの?」
「良いよ」
さくらちゃんが顔をあげる。
潤んだ瞳が俺を見つめる。
「りっちゃんなら……良いよ」
その言葉は俺にとって麻薬だ。全ての衝動の免罪符になってしまう。
「もっと触って。痛くても傷つけても良いから私を放さないで……!」
俺は泣き崩れそうなさくらちゃんの手を取る。
「これ以上は駄目だよ。ここを間違えちゃいけない」
さくらちゃんの額に俺の額を当てる。俺の想いが伝わるように。
「一歩一歩で良いんだ。さくらちゃんが私を放さない限り、私はこの手を握るから」




