さくらルート17
「お、美味い!」
店を開けるんじゃないかと言うほど美味いぞ!
しかも好きな女の子の手作りが俺の口の中に入るってヤバいな!
人生勝ち組だろ。
「でも何でホールケーキ? 何かのお祝い?」
「りっちゃんと金剛くんの仲良し記念!」
ふふっとさくらちゃんが嬉しそうに笑う。
「え、私たちの?」
俺と金剛は呆ける。
まさかそれでさくらちゃんは作ってくれたのか。
「何か照れるっすね」
「確かに。でも嬉しいよ。ありがとう、さくらちゃん」
俺が素直に礼を言うとさくらちゃんが頬を染める。照れるさくらちゃんも可愛いな。
「でもケーキって短時間で作れるんですか?」
「スポンジはね、昨日作ってたんだ。今日は帰ってきてクリームと苺を並べただけだから」
「昨日から!? 良し、金剛! 残さず食べるぞ!!」
「はい!」
俺と金剛はフォークを片手にホールケーキを食べ崩していった。
十分後。
「今日の夕飯は要らないかも」
「そうっすね……」
二人でホールケーキを何とか食べ終わったが、さすがに無理をしすぎた。腹のスペースが無くなり、少し気持ち悪い。
甘いものは嫌いではないが量は食えないのだ。
「わあ! 全部食べてくれたんだ!」
「う、うん。美味しかったよ。な!」
「はい!」
だが、そんな顔をさくらちゃんに見せるわけにはいかないので努めて明るく振る舞う。金剛もそこは分かってくれているらしい。
「ふふ。二人はお似合いだね」
「え?」
さくらちゃんの言葉に俺は首を傾げる。
それじゃまるで俺と金剛が付き合っているみたいな……
「だって二人は……恋人同士に、なったんでしょ」
さくらちゃんは笑う。今にも泣きそうな顔で。
「……は?」
ちょっと待て。
まさか、さくらちゃんは手紙のこと勘違いしてる?
「金剛くんからのラブレター。OKしたんでしょ?」
確かに手紙をラブレターって言ったのは俺だし、内容も呼び出しだったのであれだが。
「金剛、お前さくらちゃんに何て言って手紙を渡したんだ?」
「手紙? ああ! あれですか。姐さんと仲良くなりたいので取り持ってほしいと」
「つまり、舎弟の件はさくらちゃんに伝えてないんだな?」
「え? はい」
そういうことか。
俺は納得して拳を握る。
「よーし金剛、歯を食いしばれ」
「ちょっ、急に何ですか!?」
「さくらちゃんを悲しませた罰だ! こんちきしょう!」
「ストップ! ストップ!!」
俺と金剛の間にさくらちゃんが割って入る。
「どういうこと? 二人は恋人同士になったんじゃないの?」
困惑した表情のさくらちゃん。
俺は深呼吸をして心を落ち着かせる。
「悪い、金剛。一度外に行っててくれないか。さくらちゃんと二人きりで話がしたい。終わったら呼ぶから」
「……分かったっす」
金剛は察してくれて静かに家から出ていく。
「さて、さくらちゃん。まずは誤解を解こう。私と金剛は恋人じゃない。ただの友達」
舎弟云々はややこしいのでこの際良いだろう。
「本当に?」
「本当だよ。私はさくらちゃんが好きだもん。さくらちゃんは?」
「大好き」
「うん。私も大好き。だから、さくらちゃん以外と付き合う気はないよ」
「良かった~」
胸を撫で下ろすさくらちゃん。先程までの悲しみなど吹き飛んでいた。
「今の反応は私にとって都合良く解釈して良いんだよね?」
「え、あ……うん」
さくらちゃんは俯く。彼女の耳は赤くなっていた。




