さくらルート16
放課後になり、さくらちゃんと下校する。
「え~と、それで今日は何かあるの?」
友野からの話を聞いてしまったので警戒してしまう俺。
「ふふふ、何でもないよー」
さくらちゃんはそれには気付いていないらしく俺との恋人繋ぎにご機嫌だ。
「今日もラブラブっすね、お二人とも」
後ろから声をかけてきたのは金剛だった。慣れてしまったのか、彼の笑顔が爽やかに見える。
「金剛くんもちょうど良かった。これから私の家に来ない?」
「え、良いっすけど。どうかしたんですか?」
「秘密~」
俺と金剛は首を傾げた。
「ちょっと待っててね!」
家に着くなり、さくらちゃんはキッチンに行ってしまった。
俺と金剛はリビングのテーブルに着いておいてけぼり。
「何で俺ら呼ばれたんですかね? 心当たりありますか?」
「いや全く。笑顔だったから悪いことではないと思うけど」
金剛も居るので襲っては来ないと思うが……。
いやまさか三人でとか。
そうなったらこの非力な身体じゃ。
「そういえば今朝はすみませんでした」
「あ? 何かあったけ?」
さくらちゃん対策を考えていた俺の意識が引き戻される。
「朝、迎えに行ったことです。ご迷惑だったみたいで」
「まあ、確かに驚いたけど。気にしなくて良いよ。こっちこそごめんね。妹が強く言って」
「俺は大丈夫っす。でも何かあったらすぐに呼んでください。どこでも駆けつけますから!」
「それは私の連絡先が欲しいってことかな?」
悪戯心で訊いてみると金剛は顔を真っ赤にした。純粋な奴め。
俺はスマホを取り出すとさっそく金剛と連絡先を交換した。
金剛は自分のスマホを崇めるように俺の連絡先を受けとる。
「じゃーん! 見て見て! 二人のために作ってみたんだ!」
声に振り返ると目の前に現れたのはホールのショートケーキ。
「………………」
「………………」
「………………あれ? 反応が悪い……?」
そりゃまあホールのケーキが出てきたらビックリです。しかも手作りってやべえな。この世にマジでパティシエ並の能力がある女子校生が居るとは。
二次元かよ。
……いや、二次元か?
そういえば、さくらちゃんは料理上手だった。
「ううっ。重かったよね……捨ててくる」
「わーわーわー!? 嬉しいな! ケーキ作れるなんて凄いな!」
「そうですね! さすが神崎先輩!」
涙目のさくらちゃんが落ち込んでキッチンに戻ろうとしたので金剛と一緒に引き止める。
「……食べてくれる?」
「食べる! 食べるから! 泣かないで!」
「じゃあ、あーん」
「え、ここで!?」
隣に金剛が居るんだけど!
「あーん!」
「姐さん、俺は見てないので!」
いや、ここで空気を読まれても困るんだけど!?
「あーんして!」
「はいはい、分かったよ」
俺は諦めて口を開いた。




