さくらルート5
「ふふふ、金剛くんったら」
「いや、すまねえ」
ある日、さくらちゃんと金剛が廊下で仲良く談笑していた。
二人に見つからないように俺は陰に隠れて様子を伺う。
相島 立花の件が落ち着いたからか心の底から柔らかく微笑んでいるように見える。
やはり二人は美男美女でお似合いなのだ。
これで俺の役目は終わる。
と、いっても大したことはしてない。
きっと運命というものがあるんだ。
さくらちゃんが金剛と結ばれる運命があるように俺にも。
「ああ、そうか」
さくらちゃんの幸せそうな笑顔を見て確信した。
俺が相島 立花になったのはさくらちゃんが悲しい過去に縛られて未来へ進めなくなってしまうのを防ぐためだったんだ。
俺は彼女のために役に立てたんだ。
だから、この頬に流れるものは男の汗だ。女の子だけど汗だ。
「先輩、これを」
金剛が封がされた白い洋封筒をさくらちゃんに手渡す。
さくらちゃんもそれを大事そうに受けとる。
どう考えてもあれはラブレターだ。
相手が目の前に居るのだから直接言えば良いと少し思ったが、告白というものはやはり勇気と覚悟が必要なのだろう。
だが、きっと手紙への答えはOKだ。
「おめでとう、さくらちゃん。金剛も、悔しいけど、さくらちゃんを幸せにしてくれよ」
俺は堪えられなくなり、その場を後にした。




