さくらルート3
「どうしたの、お姉ちゃん?」
次の日の朝、登校の道で麻衣が心配している表情で俺を見る。
さくらちゃんの相手として現れた金剛が彼女に相応しいと思ってしまったからだろうか。
俺は相当落ち込んでいるらしい。
「もしかして、またアイツが何かしたの!?」
麻衣は勘が鋭いらしく俺を思って憤る。
「何でもないよ。ただ、ちょっと疲れただけで」
「具合が悪いの? なら、家に戻る?」
「平気、平気。それに何かあったら保健室で休むから」
「そう? 無理しちゃダメだよ?」
俺は本当に優しい妹に恵まれたと思う。
だからこそ、これ以上は心配させないようにしないと。
「ほら、お姉ちゃん」
麻衣が俺に手を出してくる。
「何これ?」
「お姉ちゃんフラフラだもん。だから私が手を握ってあげる!」
「いや、良いよ。別に気分が悪いわけじゃないし」
「遠慮しないの!」
麻衣は俺の手を取ると上機嫌に鼻歌を歌い出す。
手を繋ぎたくて理由付けをするなんて可愛い奴だ。
学校に到着し、麻衣と別れる。
今日は部活があるらしいから自慢の妹に会えるのは家でだろう。
「おはよう、りっちゃん!」
教室の扉を開けると飛び込んできたのは桃色の波と豊かな温もり。
俺はその両方に包まれる。
「おはよう、さくらちゃん」
来るとは分かっていたが実際に会うと少し気まずい。
その表情を見られたくないので、さくらちゃんから離れ……
「ちょっと、さくらちゃん?」
ハグを解除しようと試みるがびくともしない。
「どうしたの、さくらちゃん? 今日は長いね?」
「ずるい」
さくらちゃんが俺の耳元で呟く。
「朝、麻衣ちゃんと手繋ぎデートしてた」
「え? ああ、あれは私のことを心配して麻衣が手を引いてくれただけで」
「でも、ずるい! 私もりっちゃんの妹になりたい!」
駄々をこねるさくらちゃん。
俺的には美少女の妹が増えるのは万々歳だが、彼女はギャルゲーのヒロインであり、相応しい相手が居る。
俺は彼女を幸せにしたいのだ。
……まあ、まずは現状をどうにかしないといけないが。
「さくらちゃん、そろそろ。皆が見てるし……」
「まだ今日の分のりっちゃんが充電されてないもん」
何それ! 不貞腐れても可愛すぎる!
ていうか漫画のイチャイチャカップルの台詞やん!
あ、これギャルゲーだわ。
いや、でも好き好きアピールが凄い。
どうにかしないと。
「ねえ、さくらちゃん?」
「何?」
「私、さくらちゃんと手を繋ぎたいな~。あ、でもこの状態じゃ無理だね~」
俺の白々しい演技。
だけど、さくらちゃんには効果てきめんらしく、すぐにハグを止めて俺の手を握る。
「えへへ」
とても嬉しそうにさくらちゃんは頬を緩ませる。そして指を絡ませて一言。
「へへ。りっちゃんと恋人繋ぎ~」
「おふッ」
その台詞と笑顔は童貞には殺傷力が高いよ……。
て、いやいや。さくらちゃんの可愛さに悶えている場合じゃない。
どうにかして二人をくっつけないと。




