日常パート4
さくらちゃんが話してくれた過去はとても辛いものだった。
どおりで麻衣が怒るわけだ。
家族がそんな目に遭っては許せるわけがない。
だが、それ以上にどうして誰も二人を助けてあげなかったのだろうか。
これが今の陰湿ないじめの実態なのだろうか。
まさかギャルゲーの世界でこんな壁にぶち当たるとは思っていなかった。
さくらちゃんが苦しげに泣いている。
『さつかそ』のイベントスチルにはこんなのなかった。
さくらちゃんは皆に頼られる学級委員でいつも明るく笑っていた。
現実世界の俺は何度もその笑顔に救われた。
だから今度は俺がさくらちゃんを笑顔にしたい。
それなら俺がするべきことは何だろう?
相島 立花とさくらちゃんの関係を修復することだろうか?
ギャルゲーのヒロインなのだから彼氏と幸せになることだろうか?
そういえば俺が主人公ではないということは誰が主人公になるのだろうか。
そもそもそんな奴は存在するのだろうか。
だろうかばかりだ。
どうにか解決したいのに何も思い付かない。
「話を聴いてくれてありがとう、相島さん。少しスッキリしたよ」
そう言いながらも複雑な表情のさくらちゃん。
話したは良いが、記憶のないことになっている俺に対しての気持ちが定まらないのだろう。
「じゃあ仲直りしようか」
相島 立花本人には悪いが俺は二人の関係を戻したかった。
「え?」
さくらちゃんは目を丸くして呆ける。
「でも、私は相島さんに酷いことを……」
「あー、まー、そうかもしれないけど。ほら、私記憶喪失だからリセットされた~っていうことで。ダメかな?」
「ダメだよ! 私はだってーー」
「さくらちゃんは私が嫌い?」
「!?」
俺は彼女を名前で呼び、まっすぐに訊いた。
「-き……」
「え?」
「好きだよ! 相島さんのこと大好きだよ!」
「お、おお」
さくらちゃんの言葉に俺が動揺してしまう。
『さつかそ』では想いを伝えた主人公に柔らかく微笑んで『私も好きです』と返すところだが、まさかこんな強い『大好き』をもらえるとは思っていなかった。
ヤバイ。
今、めちゃくちゃドキドキしてる。
え、これって抱き締めて良いパティーン?
女子校生同士なら合法? 健全? 前科つかないよね?
と、思っているうちに右腕がさくらちゃんに伸びていたので左手で叩き落とす。
「危ない、危ない」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」
俺の奇行にまで心配してくれるさくらちゃん。
まじ天使。
え~ごほん。
一回落ち着こう。
つまりあれだ。
俺とさくらちゃんは両想い。
目を瞑りたくなるような過去があるが、本当の相島 立花はどうであれ俺はさくらちゃんと仲良くしたい。
なら答えは決まっている。
「私も好きだよ、さくらちゃん」
次回より、さくらルートです!




