日常パート2
「相島さん、今日はどうかな?」
放課後、帰り支度をしていた俺に声がかかる。
相手は『さつかそ』のヒロインである神崎 さくらちゃんだ。
「あ、うん。学校の案内だよね。行けるよ」
「麻衣ちゃんは?」
さくらちゃんが少し不安げに訊いてくる。
昨日のこともあり、顔を合わせ辛いのだろう。
「今日は部活に行ってるから来れないよ」
「そ、そうか」
文字通り胸を撫で下ろす、さくらちゃん。
こうして見てしまうと、相島姉妹とさくらちゃんが幼馴染みだったとは思えなくなる。
麻衣には格好つけて言ってしまったが、やはり過去に何があったのか知らなくては駄目かもしれない。
教室を出て校内を巡る。
さくらちゃんがひとつひとつ丁寧に案内してくれる。
だが、その間は案内以外の会話らしい会話がない。
「ねえ、神崎さん。記憶をなくす前の私ってどんな人だった?」
このままではチャンスを失ってしまうと思ったので俺から話題をあげる。
「格好良かったよ」
さくらちゃんが初めて自然に笑う。
「一見近寄りがたいけど、困っている人を見過ごせない。王子様のようで私の憧れだった人」
懐かしむように語るさくらちゃん。
声音から今でもさくらちゃんは相島 立花に好意を寄せているように思える。
「それなのに私が壊しちゃった」
声に悲しみが混じり始める。
「私の心が弱かったから。私がりっちゃんを信じられていたら。ごめんね、りっちゃん……」
さくらちゃんは堰を切ったかのように言葉を吐き出す。
りっちゃん。
相島 立花のあだ名だろう。
二人は間違いなく親しかったのだ。
「ごめんね、記憶のない今の私じゃ許してあげられない。だから教えてくれるかな。私とさくらちゃんの間に何があったの?」
目を丸くする、さくらちゃん。
「……分かった。聴いて、りっちゃん」
さくらちゃんは涙を拭うと語り出した。




